第16話 ネットニュースの驚き

博多の冬の朝、街は冷たい風が吹き抜ける中、「中華料理ジャン」は温かい雰囲気に包まれていた。店内には常連客が集まり、いつものように和やかな時間が流れていた。


その日、常連客の一人である田中さんが、興奮気味に店に駆け込んできた。「玲子さん、美咲ちゃん、大変だよ!この店がネットニュースに取り上げられてるよ!」


「え、本当ですか?」美咲が驚きの表情で尋ねた。


「うん、見てこれ!」田中さんはスマートフォンを見せ、ネットニュースの記事を表示した。


記事には「家族経営の温かい中華料理店『中華料理ジャン』、地元で愛され続ける理由とは」と書かれており、店の温かい雰囲気や家族の絆、美味しい料理について詳しく紹介されていた。


「どうして突然こんな記事が…?」玲子は驚きとともに、喜びの表情を浮かべた。


その時、他の常連客たちも次々と記事を見つけ、店内は一気に賑やかになった。「これ、すごいことだよ!」「やっぱりこの店は特別だってことが広まるね!」


明も厨房から出てきて、記事を見ながら微笑んだ。「この記事を書いた人は、きっと私たちの思いを感じ取ってくれたんだな。」


記事には、店の歴史や家族の温かいエピソード、そして地元の味を大切にする姿勢が詳しく綴られていた。特に、たまごスープと辛子高菜の特別な理由や、キャッシュレス決済を導入しない理由についても触れられており、それが多くの読者の心を打ったことがわかった。


「この記事を読んで、たくさんの人がこの店に来てくれるといいな。」玲子は感激の涙を浮かべながら言った。


その日の営業は、いつも以上に多くのお客様で賑わった。新しいお客様も、ネットニュースを見て興味を持ち、訪れたことを話してくれた。


「ネットニュースを見て来ました。本当に温かい雰囲気ですね。」一人の新しいお客様が笑顔で言った。


「ありがとうございます。これからも皆さんに喜んでいただけるよう、頑張ります。」玲子は心からの感謝を込めて答えた。


その夜、店が閉まると、家族全員が集まり、この記事について語り合った。


「私たちの思いが伝わって、本当に良かったね。」美咲が嬉しそうに言った。


「うん、これからも家族全員で力を合わせて、この店を続けていこう。」明は静かに、しかし力強く語りかけた。


「私たちの料理とサービスで、たくさんの人に笑顔と幸せを届けていきたいね。」玲子も同じ気持ちを込めて答えた。


その日から、「中華料理ジャン」はさらに多くの人々に愛される場所となり、家族の絆と美味しい料理が、訪れる人々の心に深く刻まれていった。ネットニュースに取り上げられたことで、新たな思い出が加わり、店の物語は感動的なフィナーレを迎えた。

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【完結】家族の味、中華料理ジャン 湊 マチ @minatomachi

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