突然の声
ガニアン卿、そしてテールがそれぞれの部隊を先行させて森に入っていく中、僕も従士のオリビアとコールと共に、森の中へと入っていった。
「ニック様、お気を付け下され、この森からは危険な雰囲気が漂っております」
「ああ、僕は実戦は初めてだけど、この森はたしかに危険そうだ」
「ニック様、申し訳ありません、本当はニック様は視察のみの予定でしたのに、実戦をこのような形で経験する事になってしまい……」
「オリビアが謝る事じゃないよ、まあオリビアやコール、それにゲインも付いてくれているし心配はしていない」
僕も今日1日でいきなり魔物との戦いなんて想定していなかったし、ここまで深入りするとは思わなかった、それでも護衛がいるし、彼らを頼るほかないんだよな。
「ニック様、さっき父上にも言われましたが、父上やテール様に万一の事があれば俺達は意地でもニック様を領地まで帰さなければならないんです」
「最悪の想定はそうだろうけど、ガニアン卿もテールも強いし、そう簡単には……」
「ニック様、一度は俺達危険を感じて逃げたんですよ、それで兵が加わったから討伐を続行する事にはなりましたが……」
少しづつだがコールの表情が曇っていき、そしてどこからともなく声が聞こえた!
「きゃあああ!」
「うわあああ!」
声の主はテールだ!それに兵士も叫んでいるぞ!
「みんなテールの声だ!急ごう!」
「はい!」
「ニック様、私が前衛に……」
「いや、俺が前衛に立つ、ゲインはそばで守っていろ!」
コールは自ら前衛に立ち、急いで声の聞こえた方に駆け付けようとし、僕達も急ぐコールを追いかける。
そして到着するとテールがいて膝から出血している様子が見られる。
「テール!」
「ニック様!」
「テール、大丈夫、そのケガ」
「大したケガではありません、それよりあれをご覧ください」
「あれは兎の魔物⁉」
「アルミラージと言い、普通の兎より大きめの魔物ですし、数も多いので」
アルミラージ、兎のような魔物、あの歯が厄介そうだな。
「テール様、父上は?」
「分からない、私が通った道では見かけなかったわ」
「そんな……」
ガニアン卿が行方知らず、しかしどうやってこの状況を、ん?何か声が聞こえてくる
『聞こえますか?ニック・テリナン』
「え?」
「いかがなされましたかニック様」
「あ、いや……」
『失礼しました、あなたの頭の中に直接呼びかけているので、あなたも思うだけで問題ありません、ニック私の申す事をお聞きください』
何なんだ何が僕に?
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