13歳の誕生日

 ボートルト王国の一地方であるクッキ領を治める公爵家であるテリナン家の嫡男として生まれた僕はニックと名付けられ、時が流れて13歳になっていた。


 公爵家にして将来領主になる為に僕は領主の心得のような学問や剣術、兵法、騎士道、魔法を学んでいた。


 13歳の誕生日に僕は家族や使用人から盛大に祝われていた。父であるガリアスがその僕の誕生日会の乾杯の音頭をとっていた。


「ここに我が嫡男ニックの13歳を祝う!乾杯だ!」


 家族並びに使用人が乾杯をし、食事を楽しんでいた。食事も終えて1人1人の使用人が僕にお祝いの言葉をかけてくれる中、1人の女の子の番が回ってきた。


「ニック様、13歳のお誕生日おめでとうございます」

「ありがとうミア」


 彼女の名はミアと言って、僕より1歳下の12歳だ。僕を取り上げた助産師さんのキャシーの娘だ。僕が生まれてから1年も経たずに彼女が誕生しているから母のお産に立ち会った時は既に彼女を身ごもっていたのだ。


 ミアはキャシーの娘という事もあり、うちに使用人として仕えてくれており、10歳から使用人見習いとして働いているのだ。


 あ、ちなみにキャシーの旦那さんでありミアのお父さんはうちの警護兵をしてくれている。


 そうして使用人の人達が僕への挨拶を終えると続けて父が僕に声をかける。


「ニックよ、13歳になった今、今後は我が領内を治める為により本格的に学問や剣術に励んでもらうぞ」

「はい、父上」

「ニック、ここまで成長されて母はとても嬉しく思っています。お父様のお姿から領主として領民を守れるような立派な領主になるよう、そして元気に育つ事を母は願っています」

「ありがとうございます母上」

「兄上、お誕生日おめでとうございます、えっとファルから兄上にプレゼントがあります」


 この女の子はファルといって8歳で僕の妹だ。そういえば前の世界での僕の妹はどうしているのかな?研修医になったと聞いてはいたけど、あいつも獣医志望なんだよな。


 この世界での妹であるファルが渡してくれたのはビーズを使ったネックレスだ。


「あの、ミアがね教えてくれたんです、ファルがプレゼントしたいって言ったら」

「ファル様結構頑張っていらしたし、私も頼っていただき嬉しく思いました」

「そうか、ありがとうファル、ミアもお疲れ様」

「兄上が喜んでくれた、ありがとうミア」

「いいえ、ファル様のお気持ちがニック様にもしっかり伝わったからですよ」


 こうして和やかな誕生日会が終わり、翌日より僕の領主を継ぐための本格的な学びが始まるのであった。

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