02_タオルで拭き合い ~大人びた彼女~
//SE 濡れた地面を立ち上がる音
(彼女がこちらに近づく)
「はい、私が先にタオルで髪拭いてあげるから」//声が近づく
「いいから、いいから!」
「えっ? 服が透けてる?」
「そ、それは恥ずかしいからあんまり言わないでよぉ……」
//SE 車の走行音(濡れたアスファルトを走る音)
「うぅ、胸のとこ透けているの見られたぁ……」//小声
「と、とりあえず私のことはどうでもいいから!」
「ほら、頭こっちに傾けて!」
//SE タオルで髪を拭く音
(彼女に髪を拭いてもらっている)
「……お客さんどうですかー?」
「美容師の真似っ子してみた」
「気持ち良い? じゃあ良かったぁ」//嬉しそうに
//SE タオルで髪を拭く音
「髪、伸びた?」
「そう? じゃあ気のせいかな」
「ううん、特に深い意味はない。なんとなくそう思っただけ」
//SE タオルで髪を拭く音
「はい、これでちょっとはマシになったでしょ?」
「服は気持ち悪いけど我慢するしかないよね」
「んっ、私も拭いてくれるの?」
「じゃあお願いしちゃおうかな」
//SE 彼女の体勢が変わる音
//SE タオルで髪を拭く音
(彼女の髪の毛を拭いている)
「誰かに髪を拭いてもらう機会なんてないから新鮮だなぁ」
「んっ……」
「本当だ。誰かに拭いてもらうのって気持ち良いね」//楽しそうに
//SE タオルで髪を拭く音(強め)
「……でもなんだかなぁ」
「髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃった」
「今日はせっかくおしゃれにしてきたのに」
「私がくせっ毛なのは知ってるでしょ?」
「湿気は大敵なんだからね。いつもアイロンで伸ばしてるんだから」
「結局、こういう日はいつもくるんくるんになっちゃうんだけどね」
「――えっ? 大人っぽくなった?」
「そ、そう? 君が向こうに行ってから少し髪を伸ばしたからかな」//照れながら
「うん、髪の毛は染めないよ。だって君が私の真っ黒な髪、綺麗だって言ってくれたから」
//SE 衣擦れの音
(彼女にタオルを取られる)
「は、恥ずかしくなつてきたからタオル没収!」
「なんでもったら! なんでも!」
「はい! もう一度私が君のこと拭いてあげるから!」
「い、いいから! 頭、ちょっと下げて!」
//SE タオルで髪を拭く音(優しめ)
(彼女に髪を拭いてもらっている)
「……一枚しかないからタオルも湿っぽくなっちゃったね」
「まぁ、ないよりはマシってことで」
「え? それでも気持ち良い?」
「えへへへ、そう言ってもらえるとやりがいあるなぁ」
//SE タオルで髪を拭く音(優しめ)
「どう……? 私、ちょっとは彼女らしいことできてる?」
「お仕事って毎日大変だよね」
「私の存在がちょっとでも君の癒しになればいいなぁって思ってるんだ」
「そういう私のほうが、君と会うと癒されちゃったりしているんだけどね」
//SE タオルで髪を拭く音(優しめ)
「……やっぱり、髪の毛伸びたよ」
「うん、やっぱりちょっと伸びてる」//寂しそうに
「私ね、不安なんだ」
「遠距離恋愛だと彼女らしいこと全然できないから」
「お仕事終わりの“お疲れ様”も“おかえり”も直接言えないから」
//SE 雨音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「おかしいなぁ……」
「雨が降っているからか、どうしても話が湿っぽくなっちゃうなぁ」
「えっ? 素直に話してくれて嬉しい?」
「えへへ、そう言ってもらえると助かる」
「電話とかメッセージでは毎日言ってる?」
「それとこれとは話が違うよ~。君の彼女としてはやっぱり直接、顔を合わせて言いたいの」
「ん? じゃあ今言って欲しい?」
「……」
「……すぅ」//深呼吸
「いつも本当にお疲れ様。そしておかえりなさい」//とても優しく
//SE 雨の音(どんどん強くなっていく)
※しばらく雨の音が続く
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