田舎の黒髪彼女はびしょ濡れでもあなたを癒したい ~夏の雨、バス停のトタン屋根の下で~
丸焦ししゃも
01_雨宿り ~夏の雨と濡れた服~
//SE 雨の音(強め)
濡れた地面を走る音
「はぁはぁ……」//息遣い
//SE 雨の音(強め)
「いきなり降ってくるなんて聞いてない!」
//SE 雨の音(強め)
「丁度良い所にバス停があって助かったぁ……」
「天気予報では晴れだって言ってたんだけどなぁ」
「夏の雨は分からないっていうけどさぁ……」
//SE 足音(濡れた地面を歩く音)
「結構年季の入ったバス停だね」
「今どき木の壁に木のベンチって珍しいね」
「屋根なんてトタンの屋根だし。後ろのポスターなんていつのやつか分からないよ。時刻表だってサビてるし」
//SE 雨の音(トタン屋根に雨が当たっている音)
//SE ベンチに座る音
「ふぅ」
「はぁ……完全にびしょびしょ……」
「下着まで完全に濡れちゃってるんですけど……」
「着替えなんてもってきてないのに」
//SE 雨音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「君って雨男じゃない?」
「だって、君が帰ってくるまではあんなに晴れてたんだよ!」
//SE 雨の音(トタン屋根に雨が当たっている音)
※雨が次第に強くなっていく
「うわー、どんどん雨が強くなってくね」
「これはしばらく止みそうにないなぁ」
「うん、しばらくここで雨宿りさせてもらおっか」
//SE 雨の音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「せっかく久しぶりに会えたのに……」//残念そうに
「だって、君が都会に行ってからしばらく会えなかったじゃん」
「中々、こっちにも帰ってきてくれないしさ」
「付き合うときは遠距離でも大丈夫って思ってただけど、やっぱり寂しかっていうか――」
「……」
「今のなしなし! こんな話してたら湿っぽくなっちゃうね。今日は久しぶりに会えたんだから君と楽しくお話したいと思ってたんだ」
「都会はどう? 楽しい?」
//SE 車の走行音(濡れたアスファルトを走る音)
「そっか。いいなぁ、私も早くそっちに行きたいなぁ」
「分かってるよ。学校、卒業してからって言うんでしょう」
「はいはい、分かってますー」
「君は心配性なんだから」
//SE 強めの雨の音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「心配といえば、君、こっちに帰ってきたときに少し疲れた顔してたよ」
「大丈夫? 無理してない?」
//SE 車の走行音(濡れたアスファルトを走る音)
「……そうだよね。そっちはそっちで大変だよね」
「ごめんね、いつも傍にいてあげられなくて」
//SE 雨音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「せっかくこっちに帰ってきたんだから、めいいっぱい骨を休めていってほしいな」
「都会も良いけどさ、田舎は田舎で悪くないよね」
「私、こういうのんびりした時間って嫌いじゃないよ。このバス停の風情があっていいなぁって思うし」
「それに、雨の音ってとても落ち着くよね?」
//SE 雨音(トタン屋根に雨が当たっている音)
「あはは、ここはトタン屋根だからちょっとうるさいかもね」
「でもさ、よーく聞くと味があるものに聞こえない?」
//SE 雨の音(トタン屋根に雨が当たっている音)
※しばらく雨の音が続く
「へっくしょん」
「失礼しました~」
「夏の雨といえどちょっと冷えてきちゃったかも」
「あっ」
//SE バックからタオルを取り出す音
「しまった。タオル持ってきてたんだった」
「えっ? 一枚しかない? 私が使えって?」
「別に二人で使えばいいじゃん、恋人同士なんだし」
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