第37話 性別
「いや…三風、女じゃねぇか?前髪をよく弄る仕草とか絶対に女だろ。」
僕はそう呟いてみる。すると、それに敏感に反応した大久保さんが、
「そんなこと無いはずのら!だって、一人称僕だし、体つきとか完全に男のら!」
「そうかなぁ…ちょっと、三風が起きるまで証明できるやつがいねぇからな…この話が永遠に続くことになるけど。大丈夫そうか?」
これ以上この不毛な時間を過ごしていても意味がないため、そう提案してみる。だが…
「そっちが折れるか、三風さんの口から聞き出すまで終わらせないのら!だって、ここで私が折れたら、初恋の相手が女なんて悲しすぎるのら!せめて、三風さんから聞くまでは、三風さんを男だと思い続けるのら!」
はぁ…これは引いたほうが楽かもな…
「分かったよ…やっぱ、三風は…」
「あの〜、ちょっと、良いですかねぇ?」
絶対に僕たちの声じゃない声が聞こえる。あ、これ逃走者だ。そう考えていたときには、もう臨戦態勢に入っていた。どうやってここまで気配を消してここまで来れた?僕たちが話していたってことはあるかもしれないが…。というか、この人、見たことがある気が…
「あ、そんなに警戒しないでも大丈夫ですよ。私、役職が【裏切り者】なんで。あと…鬼の人はまた会いましたね。」
あ。やっぱり会ったことがある人だ。こっちのことを知っているもんね。えーっと、えーっと…誰だっけ…あ!そうだ!
「あぁ!三風の連れか!名前は…飛鳥だっけ…?」
「そうですそうです!忘れられていると思ったけど、全然覚えていたんですね!」
こちらに笑顔を向けてくる。それと裏腹に、僕の後ろの方からは、何故か禍々しい邪気を纏った笑顔が向けられてある。
「飛鳥さんって、三風さんとはどういう関係なのら?」
突然質問を飛ばしてくる。まぁ…そうだよな…恋敵って考えるよな…
「あ、はじめましてですね。関係ですか。普通に友達ですけど。」
普通のらか…。と、隣でボソって言っている声がする。そろそろやばいか?友達なら性別ぐらい知ってるだろ!そうだ!ここで決着をつけよう!
「なぁ、三風の性別ってどっちだ?正直分からんのよな。教えてくれるか?」
よし。これで三風が男だったときが一番やばいが。どうなるんだろうか…
「あぁ。よく聞かれますね。楓の性別は…」
大久保が身を乗り出す。どっちだろ…
「すっごい男っぽく見えるんですけど、実は女の子なんですよね。ほんと、最初に会ったときは驚きましたよ。入学当初、男の人だと思っていた人が、突然メイクの話をしてきたから、『女の人なんですか?』って聞いたら、『そうです』って言うんだもん。あのときはすっごい衝撃的でしたね!ははっ!」
笑顔で話す飛鳥とは逆に、座り込んでしまう大久保がいた。
「もう…実質失恋じゃないかのら…私…同性愛とか興味ないし…」
まぁ…どんまい…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
実は女の子なんですよね。
Happy Birthday to me~ Happy Birthday to me~
happy birthday dear mulu~
Happy Birthday to me~
家ーーーーーーい!
以上!
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