第21話 自己紹介…だよね?

「はい…気を取り直して、これから会議を始めたいと思います…はぁ…長かった…」


結局、言い争っている僕らを氷室さんが全員を氷漬けにして、その場は収まった。あのー、寒いんですけど…


「はい…自己紹介でもしてください…疲れた…」


ごめんね!影鬼くん!こんな年上の人たちで!


「クッソ…後でぶっ殺すからな、ゴンザレス!まぁいい。俺の名前は、雁木 勇仁。 役職は【瞬鬼しゅんき】だ。迷惑さえかけてくれなきゃいい。だが、ゴンザレス!お前…」


氷室さんが口を氷で塞ぐ。容赦ないね…


「これ、強さ順か?強さ順なら次行くか…僕は、氷室 雅。役職は【氷鬼ひょうき】だ。もう、特段自分の中では争う必要なんてないんだよな。自分の特定の人のは復讐できたから。まぁいっか。他のやつのことも手伝ってやるか…。」


気だるそうに言う。すると、雁木さんが口の中に入れられた氷をすべて溶かして叫んでくる。


「おい!雅!苦しかったじゃねぇか!どうして…もぐぐっ!」


「雅さん!?流石にこの人でも口と鼻に氷入れたら死んじゃうよ!?ただ、有力な鬼を1人失うことになるよ!?」


え?本当に容赦ないねぇ!?そこまでする?


「大丈夫だな。僕が話していた一分で口の中の氷を溶かしてたから。それくらいは息続くだろ。」


仲間割れすんなって話だけど…まぁいっか!


「なぁ、あいつが来てなくないか?何だっけ、霜村か、霜村はどこ行ったん?」


背が高い男の人が影鬼くんに話しかける。水鬼の人、霜村さんって言うんだ。


「それがね。電話をしても出ないんだよ。どうしてだろう…」


「あぁ、そのことか。それなら、あいつが水鬼だぞ。」


氷室さんがまだ寝ている大久保さんの方を指す。


「え?いやいや、そんなこと…」


全員戸惑っている様子だった。まぁ、そうだよね。知らない誰かが鬼を倒したんだからね…


「ちょっとこいつに自己紹介でもさせるか。というかなんでこいつ雷の電気喰らって寝ていられるんだ?バケモンだろ。」


氷室さんがブツブツ言いながら起こしに行く。すごい、すやすや寝てるよね。死んでるのかなってぐらい。


「おーい。起きろ。」


体をゆさゆさと揺らされているのに、なかなか起きない。眠り深いな、おい。


「はぁ…仕方ない…これで起こすか…【氷鬼】使用。」


Tシャツの中に氷を生成する。なんかさっきから手荒だねぇ…あ、いつもか。


「うーん…寒いのら…やめてのら…氷室


え?もしかして雅さんのことを女の人かと思ってたの!?確かに女性みたいな顔立ちしてるけど、声とかで男の人って分かるでしょ!それにそれは禁句なはず…


「氷室だと…?大久保ぉ…!お前、覚悟しろ。死ぬ程度に殺してやるからな…」


氷室さん…それは殺すってことだよ?あっ!ちょっと!氷の剣をもって刺しに行こうとしてるよね!?それはマズイ!


「ん?えっ?なに のら!なんで剣を持ってるのら!」


「とぼけんな!僕をちゃん呼びしやがって!」


「そんな記憶無いのら!多分寝ぼけてたのら!そんなにちゃん呼びされるのが嫌だったのかのら?じゃあなんて呼べば良いのら?!雅さんとか?」


「僕は女子じゃねぇ!普通に呼び捨てで構わねぇけど、ちゃんを絶っったいに付けるな!」


「分かったのら!分かったから追いかけてくるのはやめてのら!」


「許したとか言ってねぇからな?そこんとこ勘違いすんじゃねぇぞ?」


あーあ。終わったな。愛理ちゃん…でも氷が溶けてきたから、動けるようにはなってきたけど、止めるすべが…あ、ある!


「【雷鬼】使用!0.02Aの電流!」


氷室さんの体が止まる。0.02Aって、人が痙攣を起こして、自由が効かなくなるぐらいだからね。


さて、私も自己紹介しておいたほうが良いですかね。2人があんな状況だから。


「こんにちは。先程【雷鬼らいき】を取って、鬼になった、三風 楓です。何卒よろしくお願いします。」


僕は鬼に向かってお辞儀をする。このあと元雷鬼に殺されかけたのは言うまでもない…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る