第16話 協力の手立て
「私達は天変地異の『いべんと』で貴方を見かけたのら。見かけたときは貴方がハゲの人と一緒に行動していたときだったのら。私は見ていたのに助けてあげられなかったのら。そしてさっき、私は妖と、裏切り者の役職を持っていると聞いたのら。だからあいつを連れてきて、妖を奪還して、どちらかを市民陣営にしようと思ったのら。まぁ、単純すぎる理由なんだけどね。安心するために市民陣営を1人増やそうとしただけのら。」
そう、気が抜けた彼女の口から語られた。ちょっと語尾の『のら』が気になりすぎて、半分ぐらいしか頭の中にしか入ってこなかったけど、大体言いたいことは分かった。
「だからさ。正直言っちゃうと、妖は欲しいのら。だけど、そっちが正直に渡すことはないでしょ。どうしようのらねぇ…」
そう彼女がこちらを見ながら呟く。いやぁ〜…。そんなに欲しいみたいな感じでこちらを見てもらっても困るんですよ…。どうしようかな…
そのとき、僕の頭の中に電流が走った。
楓に電流走るっ…!
「確率低いかもしれないけど行ける方法を思いついた。この作戦は危険を伴うけど大丈夫そう?大久保さん?」
その話をした瞬間に彼女がこちらに飛びついてくる。
「どんな作戦なの?!早く教えて!実行したいのら!」
お、おう…グイグイ来ますねぇ…
「よし。じゃあ、今から説明するね。」
そうして僕は彼女に内容を説明して、妖を手渡した。
「行ってくるのら!」
彼女が走り出す。作戦、成功してくれればいいけど。
「なぁ、どうしてあいつに渡したん?メリットないだろ。」
不満そうな声で僕に話しかけてくる。
「まぁ、あとで分かるよ。一緒に勝つための方法だからね。」
僕は静かに言う。氷室さんは少し考えた後、
「あぁ、そういうことか。ほんっと。よくそんな考えが瞬時に思いつくよな。」
ため息交じりに言葉を吐き出してくる。こんな性格で悪かったね!
【大久保視点】
貰って走り出したのはいいのらが…
「ここどこのら?」
気づいたら変なところにたどり着いていた。えぇ…。これじゃあ作戦が遂行できないじゃないかのら。
「あの!助けてください!」
どこからか男の人の声がする。え?どこのら?見えないのら。
「あ、すいません。僕【忍者】で今能力を使ってて、見えてないんですけど、あっちのほうでめちゃくちゃ強い鬼がいて…」
よしよしのら。これであの作戦が実行できるのら。あの二人の仲間になって支えるのら!
「そうのらか。なら私は役職が【騎士】だから援護するのら!」
「ありがとうございます!では、こっちです。」
「そういえば、鬼はどんな能力をもっているのら?」
走りながら聞いてみる。これでなんか面倒な役職を持っていたら困るし。
「なんか、【水鬼】って言ってましたね。周りの水を操れる能力みたいです。その鬼に対しては【騎士】が1人、僕を含めて【忍者】が2人、【貴族】が1人、【囚人】が1人、相対しているんですけど、それでも押されていて、騎士か、メンタリストを探していたんです。ちょうど来てくれてありがとうございます。」
うーん…この人たちを裏切るのは申し訳ないけど、これでも自分が生きるために必要なんだのらねぇ…
もう少し走り続けていると、途端に道が開ける。そして、そこにはボロボロになった4人と、鬼がいた。
「あぁ…、そっち側から来てくれたんだ…。僕の家族を殺した張本人が…」
鬼がこちらの方を見て微笑む。あ、来ちゃいけない戦場だったかもしれない…。
「とりあえず…死んでくれ。」
体中が冷たい。目がしみる…
「お前は絶対に脱出できない水瓶の中に入っている。なぁ、知ってるか?溺死っていうのはな、膵臓がん、焼死に続いて、苦しくて、痛い死に方なんだよ。あははっ!僕の家族を殺したことを憎むんだな!」
マズイのら…なぜかは知らないけど、相手の逆鱗に知らず知らずに触れてしまってるのら…
こ、怖い…のら…
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