第15話 交差する考え
【楓視点】
襲撃の数分前…
「ちょっといいか?」
氷室さんから声をかけられる。なんだろう。重大なことでもあったのかな?
「さっき僕たちが話していたときがあっただろ。そのときに誰かが聞いていたような気がしたんだ。だから一応妖を移しておいたほうが良いんじゃないか?これで妖が取られても困るし。」
すごいね、氷室さん。そんなの気づかなかったよ。
「まぁ、そうですね。一応飛鳥の指に送っときます。」
「毎回思うんだけど、指持ってるのこわくn…」
「おっとぉ!それ以上は言っちゃいけないよ!仕方なくだからね!そうじゃないと妖の置き場がなくなっちゃうからね!」
そうして現在に戻る。
えぇ〜、氷室さんスッゴ。勘がいいな。まぁ、とりあえずこの子の話を聞こうかな?
「ちょっと話を聞かせてくれるかな?」
僕は笑顔で話しかける。あっれ〜?なんでそんな怖がってるんだろ…まぁいいや。
「そういえば、貴方の名前を聞いていなかったね。名前はなんですか?」
「あ、あ、あ、わ、わたしのなまえは、大久保 愛理…な、なのら…」
テンパり過ぎじゃね?僕のことおぞましい目で見てるし。大丈夫か?
「大丈夫?なんかすごい汗かいてるけど。ちょっとまってね。今、ハンカチ取るから。」
僕はハンカチと水を肩掛けバックから取る。本当に大丈夫かな?
「はい。どうぞ。」
「あ、あ、ありがとう…ございます…」
うーん。何に怯えているんだ?僕と氷室さんには怯える必要はないし…他に人とかいるのかなぁ…?
「ねぇ、氷室さん。ここの周りに人って居たりする?」
「んあっ?人か?人なら居ないが。どうした?」
「いや、この子がなんで怖がってるんだろうなぁ〜、って。」
二人で話しているうちに、大久保さんの顔色が悪くなっていく。
「大丈夫?なんか顔色が悪くなっていってるけど。」
「あ、ぁ、コロサナイデ」
「え?聞こえなかった。ちょっともう1回言ってくれる?」
そう聞いたとき、大久保さんが覚悟を決めた顔をした。
「こ、殺さないでのら〜〜〜〜〜っ!」
「え?別に、殺す気はないけど?」
どこでそう判断したんだろうか?笑顔で接したし、しっかりと周りの配慮もしてきたし、不安要素一つもないような気がするんだけど…?
「…ぇ?そうなの…?嘘ついてない、のらよね?」
「うん。ここで嘘つく意味ないじゃん。というか、どこで僕たちが殺してくるって思ったの?別に僕は不安要素一つも作ってない気がするんだけど…?」
「だって、笑顔とか怖かったし…なんか、哀れむような、笑っているような微妙で不気味な顔だったし…」
おう…僕の笑顔そんなに怖かったん?そんな感じで接してない気がするんだが…
「あと、さっき周りに人が居ないか確認してたし…絶対に殺しに来るって思ったのら。」
「いや、あれは何故か怯えていたから周りに人がいるのかなぁって思って氷室さんに言っただけだよ?だから別に殺そうと考えていないし。だからさ。話を聞かせてくれるかな?」
「……わかったのら。そんなに大層なことじゃないけど、そっちに関与したことはたしかだからね。話すのら。」
そうして彼女は話し始める。
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