第5話 開戦〜黒縄地獄〜
「…っはぁ…はぁ…はぁ…」
どのくらい走ったのだろうか。ゴンザレスさんのところから離れて、10分は走った。
そこまでで誰とも会っていないというのも逆に怖い。皆集団行動しているのかな…?
めちゃめちゃ不安なんですけど。
僕の役職柄、絶対に脱落してはいけないんですよね。だって…
僕の役職【双子】なんですもん。もう片方が死んでしまったら自分も死んでしまうから。ほんっと。損な役職ですよ…
僕はおもむろにスマホを確認する。脱落者の一覧。というところを開いてみる。ゴンザレスさんが脱落していなければいいけど…名前の一覧を見る。そこにはこう書いてあった
。
【逃げ陣営10/30】
藤堂 紫苑 大塚 怜央 大岩 涼成 獅子 涼介 水頭 雪 大井 零
井上 秋良 浅塚 高貴 猫田 海 大宮 涼香 清水 遥 緑野 蒼
宍戸 伸之 佐藤 三春 大道 優香 獅子 涼気 島村 愛 大島 唯
中岡 冷泉 上原 五月
良かった…ゴンザレスさんは死んでいない。
僕の相方。佐世保 信士さんがつかまったら本当に自分も死んじゃうからやめてほしい。
そう思っていたら、逃げ陣営の人数が1人減る。そして、そこに現れた人物の名前は…
佐世保 信士その名前だった。自分の脳が理解を拒む。すると、自分の腕がポロポロと崩れ始める。
「え…?うそ…僕死んじゃうの?いやだ!いやだいやだ!死にたくない!」
そう嘆いているうちに左腕の肘までがなくなる。このままだと死ぬ…なにか…なにか解決策が…
「よお。いいとこにいんじゃねぇか。ごめんな。妖を使わせてもらうぜ。この役職、1時間に1回交換しないと死ぬからな。ちょうどいい。ここで使わせてもらうぜ。」
名前も知らない誰かが僕をタッチして役職を交換する。すると、自分の腕の腐食が止まる。
「よし、交換した役職は…双子…あれ?なんで自分の体が腐食してるんだ…?死にたくない!お前!何をした!」
こちらに向かって叫んでくる。あなたが交換したんでしょうが!
「いや、自分が双子でもう片方が死んだからですよ。おかげで自分が死ぬことが無くなりましたからね。…すいませんが、僕はここで。」
「お前!ふざけるなぁ!お前なんか地獄に堕ちてしまえ!ふざ…」
言葉を言い終わる前に彼の体がすべて崩れて風に乗って飛んでいく。
「助かった…」
ヘナっとその場に座り込む。助かったとはいえ、自分の左腕が肩までなくなったし。
「僕。これからどう生きれば良いのかな…」
自分は考え込む。
「飛鳥とも会えないし…。もう生きている意味あるのかな?はぁ…」
僕は涙が溢れた。悲しいとかの感情でもない、無の感情の涙が出てきた。
【GM視点】
「あれ…思ったより脱落が早くないか?体の一部が欠損しているやつもいるし。これめちゃめちゃ早くゲーム終わっちゃうんじゃないか?ちょっと待ってそれだけは避けたい。」
これを成功させたら私の給料が1時間あたり500円増えるから絶対に落とせない実験なのだ。
「仕方ない…これはあとで取っておきたかったが…今このいべんとを使わないと…このペースだと全滅する。」
私は仕方なく、いべんとの準備をする。鬼の役職強くしすぎたかなぁ…
【三風視点】
僕が路地裏で呆然としていると、スマホからけたたましい音が鳴る。
「うわっ!びっくりしたぁ…緊急地震速報の音流すなよ…」
そう言いながらも僕はスマホを確認する。
『いべんとのお知らせ』
そこにはそう書いてあった、そのまま下にスクロールする。
『参加者の人数が想定より少なくなってしまったので、これからいべんとを始めます。そのいべんと名は…』
深い不安に駆り立てられながらも、僕は指を動かす。
『天変地異です。』
読み切った刹那、僕は宙に浮かんでいた。
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