第4話 開戦〜想地獄〜

【鬼視点】


「許さない…絶対に許さない…」


俺はそう呟く。俺等が行動できる時間まであと10分。


「絶対に…絶対に…俺等の家族をぶっ殺したやつを今ここで殺す…顔は覚えている。殺したやつはこのゲームに参加している。だから、このゲームで絶対に復讐を!」


「騒がしい人ですね。」


淡々とした声が上から聞こえる。


「誰だ、お前。」


「あー、僕ですか。僕の名前は霜村 瞭平。鬼陣営ですよ。安心して下さい。」


「なんでお前はそんなに淡々としているんだ。お前も親とかを殺されたんじゃないのか?」


「親…?あー、てっきり忘れていましたよ。親ねぇ…あんなのは親じゃないからな。特になんにも感じませんね。こんなゲームに巻き込まれて最悪ですよ。」


このガキ…あんな口を叩いてるが、殺気を隠せてねぇぞ…


まあいい。こんなチャンスが巡ってきたんだ。絶対に使わないわけには行かない。


「ははっ…地獄に堕ちようが殺ってやるぜ。この理不尽な世界をな。」


時計の秒針が12に近づく。そしてその秒針がビッタリ12を指した時、俺達はどこかの場所に飛ばされていった。


【三風視点】

ここにきて動き回ることによって分かったことが3つある。


1つ目。ここは東京都である。

2つ目。民間人が1人もいないため、ここは別の空間だということ。

3つ目。今とてもやばい状況にあるということ。


「嘘でしょ…」

初っ端から鬼と出会ってしまった。しかも相手が敵意マシマシ二郎系ラーメン…はい。ふざけました。とにかく!相手が敵意と殺意しか無いということは分かった。


「よお…見つけたぜ…山田ゴンザレス。」


「僕にナンのyouダイ?」


「とぼけんな…お前は絶対にここで殺すって決めたからな。よくも俺の家族を殺しやがってよぉ…」


「あなたがナニを言っているかはわかりませんが、とりあえず三風さん。逃げてくだサイ!あなたが危険にさらされてはいけません!」


そうゴンザレスさんが叫ぶ。僕は返事をするよりも前に体が動いた。


「任せましたよ…絶対に死なないで下さい…」


僕はその場から立ち去った。


【ゴンザレス視点】

まずいデスね…三風サンは逃がせたから良かったものの…この方が厄介ですね。謎の敵意を持っているし…


「あの男は逃がしたが問題はない。俺の目的はお前をぶっ殺すことだからなぁ!」


「なんでそんなに私を殺したいんデスか?!どんな目的で…」


「ダァカァラァ!とぼけんなってんだろ!もういい。お前を殺す。それだけ言っておく。」


距離を詰められる。しかも相手は剣を持っている。ヤバイデスね…


「グッ…」

正面からの突撃ダガ…油断していタ!一撃がオモイ!右頬を若干だが抉られた!


「避けんのか…お前。この瞬鬼の力を50%だけ出したが…ちょっと舐めてかかったらいけなそうな相手だな…いいだろう。見せてやるよ。俺の技を!」


ナニをしてくる…技とか言っていたが…何か嫌な予感が…


「行くぞ…ラストバンクエット!」


突如、空に紫色の球状のものが現れる。


「この技はな…自分の負の感情に比例して強くなるんだよ。俺はな…家族を全員お前にぶっ殺されたっていう過去最低な気分なんだよ。なぁ。受け取ってくれるよな。」


彼はそう呟いて、球体の物体を私に向かって投げてきた。


マズイ!この技は絶対に生身で受けることが出来ナイ!普通に使いたくなかったんダガ…隊長からいざというときにと言われて貰ったこの機械…一度きりしか使えない…


そうこうしているうちに猛スピードでこっちに突っ込んでくる。ええい!迷っている暇はナイ!これを使う!


「いきますヨ…絶対防御!」


機械からシールドが展開される。これはミサイルを食らっても耐えられる装置。これを使うしか助かる道はナイ!


シールドに球状のものが当たる。というかナンでこんなものが使えるんだ…?この世界では絶対に使えるはずのない技術だぞ…


考えているうちに、紫色のものがすべて受け流し、消滅をする。


「ヨシ…攻撃は耐えきった…あとは…」


「なぁ…ゴンザレスさんよぉ…詰めが甘いんじゃないのか?」


「なっ…」


後ろにいる!なんで気づかなかった!というかさっきまであそこにいたハズ…


「さっき呟いた言葉。聞こえなかったんか?俺は瞬鬼だぞ?あそこからここまでに到達するまで0.5秒もかからねぇ。チェックメイトだな。あばよ。」


そう言って右手にタッチをされる。すると、そこからポロポロと崩れるように腐敗が進む。マズイ…


「あなたは…どこから…」


「あ?仕方ねぇな。教えてやるよ。お前はもう死ぬところだしな。」


彼は口を開く。


。ここはアースだっけな?なんか世界線が違うみたいだぜ。まぁ。お前にはもう関係ないか。」


崩れ行く視界で私は彼のことを見続け、そして考える。


だと…?並行世界があるっていうのか?


意識を保とうとするが、なかなかうまくいかない。体の9割が崩れたところで、私は眠気に耐えることが出来ず、意識を失った。

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