② ダイーダとエレゼ
犠牲になったのはタウロだけではなかった。
なんの罪もない老人と若者がこの騒動に巻き込まれて怪我をしたのだ。そして彼らを含む多くの者たちが心に傷を抱えることとなってしまった。
「立派なお墓じゃなくて、ごめんね。」
父と母の名が刻まれ、代々の鉄打ちたちが眠る墓の隣に穴を掘ってタウロを葬った。
被害を受けた村の者はその修復に、そうでない者は活気を失わせないよう商売に努めている。多くを失ったキペに、葬儀の対価を払える余裕などなかった。
「・・・さてと。家の方を片付けなくちゃ。・・・ん?・・・ハユ。どうし――――」
そこにはまだ乾き切らない泥の跡の残る服で佇む弟がいた。
「・・・こ、こんな村・・・兄ちゃん、出ようよ。」
怒りとも諦めともとれない目が、青アザに縁取られたままキペに向けられる。
「あぁ・・・ハユ。ダメだよ一人でうろついたら。まだみんな気が立ってるんだから。」
同じことが、同じ光景が、数円を遡った頃にもあった。
父と母を失った時。
悲しみの宿るこの村から出て行きたい、とハユは言っていた。
「兄ちゃん。・・・兄ちゃんだってもう気付いてるだろ? おれたち、・・・なんも悪い事してないのにっ!」
ただ気味悪がられただけの前回と異なるのは、被害が他の家にも及んでしまったということだ。狙われたのはキペの家であって他の者は巻き添えを食らった、そう思われてしまっている。そして「おまえたちさえいなければ」と聞こえよがしに話しているのも昨日から耳には届いていた。
「で、でも。ハユ、僕たちはこの村以外に住む場所なんてないんだよ? 工房には道具がまだ残っているから、なんとか、きっと、続けていけるし。
・・・それにいったい、どこへ行こうっていうの。」
閉鎖的な村がゆえによそとの行き来はほとんどなかった。
キペ自身ほかの村に出向いたことはなく、教舎と呼ばれる裏山の小屋で簡単な教育を受けただけだ。
そうして閉じた円環に安住していたからだろう、その心には外の世界への不安と恐怖しかなかった。
「お、おれは、おれは嫌だっ!・・・あいつら、だってあいつらおじーの事まで悪く言うんだっ!
おじーの像のおかげで今のお祭り騒ぎができてるってのに、ときどきは遠くから買い付けにくる客だっているってのにっ! なのに全部、悪いのはおじーだ、って。
・・・おれが、とっ捕まえてやる。
兄ちゃんが来ないってんなら、おれが昨日のヤツらをとっ捕まえてやるっ!」
抱き寄せようと伸ばされた手を振り払うと、ハユは紅く燃える目でキペを睨んだ。
「ハユ。・・・僕らは、それでも・・・」
「悔しくないのかよっ!」
なだめようとする気配さえも振り払うマントの泥がぴしゃりとキペの顔に飛ぶ。
「背中で笑われて後ろ指さされてっ! なんにも言わない兄ちゃんなんか、あいつらとおんなじだっ!
・・・・兄ちゃんなら、わかってくれると思ったのにっ!」
そう言い放ち、するっと踵を返すとハユはそのまま走っていってしまった。
「・・・ハユ・・・」
哀しく冷たい言葉の突き刺さったキペはそれを止めることもできずにただ、トボトボと家路に着くだけだ。
「おかえり、キペ。・・・さ、手と顔を洗ってきなさい。」
村の雰囲気を察してくれたのか、昨日から家には風読みがいてくれた。
そんな七神官の一人である風読みがいるためにキペたちへの大っぴらな暴言はなかったが、それでも村の不満は鋭くこちらへ向けられている。
「はい。・・・あの、ハユは、まだ戻っていませんか。」
はた、と目の覆われた頭を回して風読みは辺りを伺う。「読み手」と呼ばれる神官たちは皆このように不便な出で立ちになるとされている。ただ、感覚器官をどう使い分けているのかは知られていない。
「私も先ほど戻ってきたばかりのですが。一緒ではなかったのですか?」
コトコトコトと野草ばかりのスープを温める間、仕切りのない瓦礫のなかキペはそっと先の出来事を話した。
「ハユは、・・・もう、僕にはハユしか、いないんです。」
丈夫に作られたタウロの木椀に、味気のない昼食が盛られていく
。
「ええ、わかっています。でもきっとお腹を空かせて帰ってきますよ。心配なら後で一度探しに行きましょう。今は悲しいことが続いた後です。暗い渦に落ち込みやすい時ですからあなたはしっかりしなければ。そうでしょうキペ? ならばしっかり食べなさい。ふふ、いいですね?」
読み手の中で唯一神殿を持たず放浪を定められた者らしく、ふれあいを常とした温かみのある言葉で風読みはそう諭す。温もりに飢えた者には温かい言葉と温かいスープはご馳走になるようで、食べ終わり探し出す頃にはキペも心の重荷を忘れていられた。
それでも。
「どうしましょう。こんなに暗くなっちゃって、・・・ハユにもしものことがあったら。」
村の入り口で風読みと鉢合った時にはもう、その顔に先の余裕は伺えなかった。
「大丈夫、そう信じなさい。きっと・・・」
「おーい、キペーっ!」
そこへニビの木を育てている近所の木こりが走り寄ってくる。陰口を叩かなかった数少ない知人だ。
「ずいぶん前にハユが村を出たって、それを見たってヤツがいた。あいつ村のモンに見つからないよう森を抜ける気だぞ。」
森の道を通れば町へは出られる。
それでもヌイ族はただでさえ孤立している上、少数部族を嫌う者たちも少なくない。暴漢にからまれでもしたらひとたまりもないだろう。
「か、風読みさまっ!」
夕暮れに曝されたその口には苦渋が滲んでいる。読み手といえどもやはりヒトだった。
「キペ、戻って支度をしなさい。貴重品をまとめるんです。さすがに長い間家を空けていては無用心ですからね。子どもとはいえ走ればカミンの町に着いてしまいますし、そうなると探し出すのは厄介です。」
「あ、はいっ!」
返す言葉もそこそこにキペは瓦礫の片付いていない家に駆け戻った。気が気ではなかったが今は風読みの言葉に従うだけだ。
「ハユ・・・ハユっ!」
そうして皮袋の中に水袋、くずばかりの燃石、
「えっと、あと、着替え・・・いや、えっと・・・・・・あ。」
目移りするキペの視線の先、崩れた工房の奥には、どう保管したらよいか悩んでいた真正の鉄打ちだけが使うタウロの手鎚と、貴重な鉱物の塊がひっそりと佇んでいた。
「これも・・・。いいよね、おじいさん。」
ひとつ目を瞑り、タウロの指の跡を残す手鎚に語りかける。
「・・・いってきます。・・・どこに行っちゃったんだよ、ハユ。」
そして大事なものを詰め込むと
辺りはもう夕闇に包まれ始めている。
「さ、急ぎましょう。すみませんねキペ。服の都合で火が持てなくて。」
待っていた風読みはそう言って森の道を歩き出す。
体全体が膨らんだ法衣に包まれていて足元まで隠れるよう着付けられているのだが、火燈りを持つには少々不自由で危ない恰好だ。
「気になさらないで下さい。それより・・・一緒に来ていただけるなんて。」
いくら交流のあった仲とはいえ、立派な権利権限を持つ風読みまで危険に曝すのはさすがに気が引ける。
「夜の散歩がしたくなった、それだけです。風がそう吹いた、そう口に出せば私一人くらい私でたぶらかせますよ。」
ふふふ、と笑ってくれるその気持ちが心強かった。
しかし反面もう大人と呼ばれていい歳の自分がまだこうやって誰かに甘えていることが情けなかった。歳の離れたハユはたった一人で村を抜け出したというのに、二人でこの村を出ることにさえ怯えていた自分が、恥ずかしかった。
「あ、ありがとうございます。本当に、ありがとうございます。」
それから暗い悪路に弟を呼んで数刻、街道に進みカミンの町まで辿り着いた。
「・・・どうしましょう、町に着いちゃいました。それにこの町からは他の町への道がいくつも分かれているようですし。」
広い町ではないが交通の要衝がカミンだった。夜でも明るいこのような町は話に聞いた程度しか知らなかったため、キペはただすくむばかりだ。
「ジタバタしても仕方ありません。ハユとて心細ければ走って村に帰るでしょう。それよりも彼の手持ちの方が心配なのですが。」
先ほど道具棚を確認した時には蓄えがいくらか取り出されていたから数日の間は困ることはないだろう。
してみるとやはり、ハユは本気で出て行ったと考えるのが妥当なのかもしれない。
「それは大丈夫だと思うのですが・・・ハユも強がって頑固なところがあるから帰るに帰れないのかも。」
煌々と照らされ賑わう町の広場に着いても頭の中は「もしかしたら」で一杯だった。
「そうですか。ならばまず、私たちは宿を当たってみるとしましょう。まだこの町にいるかもしれませんし、よそへ行ったとしてもやはり村へ帰る道はここになるでしょうから。」
できるだけ多くの可能性に目を向けて今できる最善策を選ぶという冷静な判断が、キぺにはただ羨ましかった。それができない自分がだからこそ一層、情けなくなる。
「・・・はい。」
そんな思いを抱きながら歩くと三軒ばかりの宿屋にはすぐに行き着いた。それでも、有力な情報はどの宿からも引き出せないまま最後の宿屋に泊まることになってしまった。
「さて。では食事を摂りに行きましょうキペ。なるべくヒトの多いところへ。」
「え?・・・あ、はい。」
その意味がわかったのは、入ってすぐだった。
「おやまー風読み様かい? 珍しい客もいたもんだー。はっはっは。そっちはお連れ様かい? 高いメシじゃなきゃ施させてもらうよ。」
気さくな店主のその声に、店に集っていた者は一斉に目を向ける。
「それではありがたく頂戴いたします。・・・それよりもお集まりのみなさん、私は一人、子どもを探しています。
これにあるヌイ族・キペの弟、ハユという者です。まだ幼いながら勇敢にも一人で村を出た少年です。誰か、何か知っているのであればお教え願いたいのですが。」
その目立つ風貌と重く尊い職を、ここは如何なく発揮できる場所だった。
こういうものを、知恵と呼ぶのだろう。
そこへ。
「うぉう、これはまた珍奇な出会いだなや。風読みサマに稀少な黒ヌイ。・・・だははは、これは名乗り遅れて申し訳ないに。アタシは行商人のダイーダってモンだなぃ。」
背に負った大袋には何やらよく判らないものが詰め込まれ、服のあちこちにあるポケットもパンパンに膨らませたチヨー人が笑いながら近づいてきた。
手先や足先の鉤爪の獰猛さとは裏腹に、硬化した唇を横に広げて寄ってくる姿は親しみさえ覚えさせる。
「おや行商人ダイーダ、ハユを見かけたのですか?」
尊ばれる風の神官とはいえ全てのヒトから崇拝されているわけでもない。そのため礼を欠く者も少なくないという。そうした場面に幾度も出くわしてきたのだろう、風読みも打ち解けるべきか見計らっているようだった。
「まぁーそう焦りなさんなや。大将、一杯もらおうかに。風読みサマのオゴリでなぃ。」
内気なキペなのでこういう展開にはことさら目を回してしまう。
「あの・・・風読みさま?」
どこか駆け引きの様相を呈しているのにそれが全く読めていないのだ。値段のそれもしたことのない純朴な青年だったから仕方ないかもしれないが。
「大丈夫ですよキペ。それよりもダイーダ。子どもなのです。急がないわけにはいきません。率直に聞かせてください、あなたの望みを。」
ぐはーっ、とササと呼ばれる醗酵水を飲み干すダイーダはそれでも荷物を降ろしてくつろごうとはしなかった。骨の髄まで商売人なのだろう。
「んぐふ、二つの約束が欲しいなや。一つはもう一つの約束について何も尋ねないこと、勘ぐらないこと。」
怪しすぎる。
あまりに怪しすぎる。
わざとらしく取り繕ってもこうまで怪しくならないほどにそれは怪しすぎた。さすがにそれくらいはキペでもわかった。
「あなたの情報によりますね。」
なるほど、しかしここで折れてはいけないようだ。キペはただただ感心する。
内向的ではあっても、好奇心は旺盛なようだ。
「うぉう、お師匠さんが言ってたとおりの駆け引き上手だなや。もう一杯もらおうかに。
で、と。さて一つ答えてもらおうかなぃ。」
にか、っと笑うダイーダへキペは不穏を感じる。とても、嫌な粘度の。
「わかりました。まずは問い質さない。そして疑問に答える。それで構いませんね?」
白磁のコップをまた空にしたダイーダは満足そうに頷く。
「うー、結構だに。では・・・真正の霊像、神官ならいくらで買うかなや?」
は、と思って風読みを見遣るもその表情は変わらなかった。
「・・・んん。正確な額は残念ながら私には想定できません。しかし落胆させる金額にはならないでしょう。
さ、教えてください。今度はあなたの番ですよ。」
霊像が盗まれたなどと知られたら〈出像祭〉どころか今度の〈神霊祭〉まで台無しになる。だから村の者もあの場に居合わせた者も口を噤んでいるはずだ。
なのになぜこの行商人が知っているかは謎だったが、これ以上吹聴されてはたまらない。
「オタクらが質問に首を傾げないってのが裏付けになるなや。だははは。大丈夫、言いふらしたりしないに。
んで先の坊ちゃんの話だがなぃ、この目に狂いがなけりゃ『スケイデュ遊団』んトコの小隊と一緒なんだなや。いや、あの数でも中隊・大隊なのかもなぃ、ずいぶんな少数精鋭だって聞くからに。
あ、そいつらにさらわれたんだなや。んーまぁどっちかって言うとついてった様にも見えたがなぃ。聖都オウキィに続く道の外れだったに。」
うまく状況が呑み込めないながらもハユがどこかへ連れて行かれたことは理解できた。ただ、やっぱりよくわからなかった。
他方、隣では顔色ひとつ変えない風読みがその話の真意を探るように思案している。
「あ、あの・・・風読みさま。僕はどうしたら・・・?」
それを考えているのだろう風読みが、ゆっくりと口を開く。
「キペ。今夜はもう休みましょう。そして明日の朝、聖都を目指さなければ。」
どうやらただの家出騒動で済みそうもない雲行きにキペは内心、怖気づいてしまう。
「なんでこうなったんだろう」「村に戻ったらひょっこりハユが現れるかもしれない」、そんな取り留めのない言葉ばかりが浮かんで消えるも、体に走る緊張は安らぎを受け入れようとはしなかった。
「キペ、落ち着きなさい。部屋でゆっくり温かいものでも飲みましょう。・・・ご主人、世話を掛けましたね。どうかあなたに良い風が吹きますように。それでは、失礼いたします。」
風読みの計らいは的確だった。
キペ自身気付いていないようだが、見慣れぬ光景や喧騒、思いもよらない出来事の数々が昨日から続きっぱなしだったために心が疲れ切っていたのだ。
ぽろろろろん、ろん、ろん♪
そんな慣れ親しんだ闇夜を路地裏に隠した石畳をトボトボと歩くうち、どこか懐かしい絃の音色が偽りの昼に漂ってきた。
「あ、あの、風読みさま。あれは何という楽器なのですか?・・・えっと、僕、きっと幼い頃に聞いたことがある音色のようで・・・」
するとヒトの心の妙なのか音楽の妙なのか、わずか四半刻前にうなだれた花は薄情なくらい頭をもたげてゆく。一方の風読みは何か思い当たるところがあるのか表情を緩ませることはなかった。
「・・・・・・・。錐絃、ですね。」
細路地の灯火の下、涙型の楽器をジッヒ族の男は目を瞑り爪弾いている。
「あの・・・僕、もう少しここで聴いていても構いませんか?」
「・・・ええ。」
目の利かぬ風読みはひとつ頷くと、こころなし足早にその場を後にした。
ぽろろろろん、ろん、ろん♪
そうして風読みと別れたキペの視線の先では、灰群青の帽子を揺らしながら銀色の髪が拍子をとっている。
ぽろろろろん、ろん、ろん♪
どれくらいの時間が流れたろう。
やがて囲う者たちも眠りを求めて闇へ去り、いつしかそこにはキペ一人だけとなっていた。
そこで。
「ふっふっふ・・・はーっはっはっは。」
人気がなくなったのを確認してか、一呼吸置いて突然ジッヒの男は笑い出す。
「なるほどねぇ! やっぱりキミが残ったねぇ! はっはっは、これも愛の引力というヤツかもしれないなぁ。あっはっはっは、いや失敬。曲は気に入っていただけたかなあ?」
話し始めると男はヒトが変わったようにキラキラした瞳を細めて握手を求めてきた。不気味な感じはしたものの、逃れる口実も思いつかないキペは恐る恐るその手を握り返すしかない。
「ふっふっふ。なぁに訝ることはないよ。ボクは愛の伝道師にして愛の吟遊詩人、エレゼさ。この小さな大陸をふらふらと漂っては愛を説いている者なのだよ。キミとは仲良くなれそうな気がするねぇ。はっはっは。」
いい塩梅に夜も更けているのだがこの愛の演奏家は腹式呼吸で笑っている。もはや発声練習さながらだが眩しい笑顔が汗臭さを感じさせない。
それはひとえに、彼が愛の伝道師だからだろう。
「あや、え、っと。あの、でも、すこし、素敵だったと思います。あ、僕、キペといいます。すこし落ち込んでいたから、けど、なんだかすこし、すっきりしました。」
間合いをこれでもかと詰められるとあたふたしてしまうキペも、先の旋律が頭にまだ残っているせいか嫌悪感は抱かなかった。
あるいはそれも、エレゼが愛の伝道師だからかもしれない。
「いいっ! キミは素直でいいっ! 「すこし」が3回も出てきたけどいいっ! ボクのツノを片っぽあげたいくらいだよ。はっはっはっは。あげないけどねぇ。あっはっはっは。」
ここまでくると、つられて笑ってしまう。
悲しいこと、困ったこと、よくわからないことがゴチャゴチャになった頭の中も心の中も、一緒に笑って、吹き飛ばしてゆけそうな気がする。それがなんだか、今のキペには救いだった。
「ふふ。えっと僕、とてもすっきりしました。ありがとうエレゼさん。」
キペは元々よく笑う方ではなかった。喜ぶことは多くても、楽しみ笑いあげる、ということはあまりない男だったのだ。
だからだろうか、村での自分と今の自分と、たった半日しか違わないのに、たった半日とは思えない違いを痛感していた。
「ふっふっふっふ。それでもなおお捻りが飛んでこないあたり、キミはボクをまるで裏切らない希望だねぇ。いいさ、キミに余裕ができたその時にでも取り立てに伺うとするよ。
さあ、もう今夜は遅い。
愛に引力がある限りまたすぐキミとは出会うだろう。それじゃぁおやすみ。「桎梏の者」のキペくん。」
そう告げると、るーららーんとヒヅメを鳴らしてエレゼは去ってゆく。
それを、まるで夢まぼろしでも見ていたかのように遠く見送ってキペも宿へ向かった。
明日は良い風が吹きますように。
そう、ひとつ呟いて。
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