第6話 中部へ向けて、しかし・・・。

 その日、風が靡いていた。いつよもりずっと。ずっと。

 私は煙草に火をつけて息を吐いた。

 そしてそれからバイクに跨がってエンジンを付ける。

 左右には、約三千のバイクの群衆。

「てめえら、今からまず新潟から攻めていく。アクセル全開で行くぞ」

「はい、総長‼」

 バイクのコール音を響かせながら道路を猛スピードで走る。

 夜風に吹かれながら、走る。走る。

 赤信号も無視してひたすら高速へと目指す。

 高速に入ると、クラッチを切り換えてメーターのレッドゾーンまでアクセルをぶん回す。このバイクのなかでは今、ラジエーターがキュルキュルと回転していることだろう。

 するとパトランプが点滅するのをバックミラーから確認できた。

 私はふっと笑った。たぎるじゃねえか。

 パトカーと馬新零夜との戦争が始まる。

 マイクから怒号が聴こえる。止まれの連呼だ。

 それに蛇行運転して応える。

 ギアを上げてエンジンの回転数を上げる。その度に、インプットシャフトからの回転力をアウトプットシャフ卜に伝える。

 時速はもはや百二十キロを超えている。

 すると突如としてタイヤが空転した。

 え。嘘でしょ。

 顔面からアスファルトに突っ込み、そして意識を失った。


―――――――――――――――――――――――――――


 この事故から、私は女として、そして不良としての人生が終わった。


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