自己紹介拒否
「えーと、それじゃ、みんな自己紹介していってね!」
終わった……
ボク、リアルで自己紹介するのなんていつぶりだろう?
その時とは色々変わっちゃったし……
で、できるかな……?
落ち着け、あの頃を思い出すんだ……
ボ、ボクは、うん、やっぱりムリだ……
今のボクだと、無理なんだ……
うん、知ってた
「は〜い!ありがとう、次の人〜?」
お、終わったぁ……
なんとか、なんとか時間切れを祈ってたけど、全然時間切れなかった……
まずい、全然セリフ考えてない……
こ、こうなったらもう!最終手段だ!
「は〜い、自己紹介よろしくね!」
うっ……やばい……
みんなから注目されてるこの感じ……
言葉が出ない……紡げない……
ボクは、やるしかないのか?
いや!もうやるしかないんだ!
「……」
待てよ……?これやると……
せっかくのボクに向いた野次があの例のキス女に行っちゃうんじゃないか?
でも、この場を乗り切るためには……これしかないんだっ!
覚悟を決めるんだ、ボク!
「♪」
「う、うわぁぁぁぁ!」
ごめん、みんな……
でもこのクソみたいな時間を凌ぐ手段、ボクにはコレしか思いつかなかったんだ……
ボクは、昔から音楽が好きだった
だから、色々な曲を色々な楽器で弾きたかった
たくさん、頑張った
だから、ボクはこの魔曲を今!弾くんだ!
持ち込んできた小型キーボードでっ!
魔曲 シャトルラン
この音楽を聴いたものは極度の発作を起こし、トラウマを思い出すという……
ん?なんでボクは効かないって?
それはボクにもわからないよ
お?いい感じに効果出てるねぇ
そろそろボクはこの
「さささ〜みんなごめんねぇ……」
「に、29回……」
「く、くそ、もう、疲れた……」
やばい、シャトルラン禁忌の魔曲だったかもしれない……
ま、まぁ、とりあえず落ち着くの待ったらいいでしょ……
「えぇと、誰まで自己紹介したっけ?」
「ボ、ボクまでした……」
「わかりました、それじゃあ次の人〜」
ふぅ〜、なんとか凌ぎ切った!
楽勝すぎるね!
さすがボク!
……もうシャトルランは人前で演奏しないこととしよう、今回みたいに想定外の被害を出すかもしれないからね
「ねぇねぇ!キミ、すっごく可愛いね!名前はなんていうの?」
「彼氏いる?」
「あっ、わわっ!」
ま、まずいっ!
シャトルランの効果消えて、見た目と雰囲気的にクラス、いや学年の一軍女子がボクに質問攻めしてるっ!
ど、どうすれば……
「こ、こほんっ!」
まずい……何も思いつかない……
こんな時、どうすれば……
そうだ!最近、ボクが読んだラノベのセリフをちょっと拝借してみるか!
「こほんっ、ボクはキミたちみたいな価値はないっ!よって、ボクには自己紹介するだけの価値はないっ!」
「ん〜、自己紹介したくないの?」
だ、ダメだ、全然効いてない……
も、もうムリだ!
「いきなり自己紹介?キミたちが聞いてなかっただけだろう?拒否しても構わないかい?」
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