また襲来

「ん〜、キミと仲良くしたいだけなの!同じ女子同士として!」

「あ、うん、ボク男だけど?」

「えっ……あ、ごめんごめん!よし、これで仲良し、だね!」


 くそ!こいつら、ウザすぎるっ!

 ボクはなんでこうも、ちゃんと拒絶してるのに諦めずにくるのかなぁ?

 愛が重い恋人並みにヤバいよキミたち?

 あ、そこまでヤバくはないか……

 なんだ?ボクの見た目に何か言いたいのか?

 にしても近い!アイドルとの握手会の時のファンとアイドルの距離よりクソ近いっ!


「あぅ、やめてくれ!」

「ねぇねぇ、もっと色々聞きたいことあるんだけど……」

「悪かった!アレは悪かったから!」


 ……ボクがシャトルラン流したせいなのか?

 え?シャトルランの効果って発作を起こさたりトラウマ掘り返すだけじゃなくて人を暴走させる効果あるの?

 まぁシャトルランって走るやつだから……

 って違うわい!


「なんで、ボクに拘るんだい?ほ、ほら!?あ、あそこにボクなんかよりもかわいい子が……」

「あぁ、あの子芸能科の子だから……」

「げ、芸能科……」


 な、なんてことだ!?

 ここの学校のコースに芸能科なんてあったのか!?

 ボク、よく見ないで適当に決めたから見逃してたよ……

 やっぱり入る学校のことはちゃんと調べておかないとなぁ……

 まぁ、仕方ない部分もあるか……


「ねぇ、そこの人、わたしのなんだけど」

「あ、あんたは……」

「全中テニス2連覇した……!?」

「の……?げっ!」


 わっ!あのキス女っ!

 ボクに何の用だ?

 ま、ままままさか……今度はキス以上のことをしようとか考えてないだろうね?

 普通に初対面でディープキスしてきたし、次何されるかなんてわかんないよ……


「ねぇ、勇気?大丈夫?」

「こほんっ、助けてもらって礼をしたいところだが……キミ、どうやらボクに何か要件があるみたいだね?」


 この女、さっきからボクに熱っぽい視線を向けている……

 まさか……いや、そんなことはないはず、落ち着け……


「うん、キミが無事なのか確認しないと……」

「ボクにその必要はないさ、だって……」

「ほんとに……わたしのこと覚えてない?」

「こ、こほんっ!な、名前は?」

「わたしの名前は千野結海ちのゆいな


 ん〜、聞き覚えない名前だな……?

 少なくともボクには身の覚えがない


「その女、めっちゃテニス強い、プロ注目の選手だよ、いや、なんならテニス雑誌の次にプロになる選手の女子編1位だからね、この高校テニスもクソ強いからね、推薦で入ってきたらしい」


 一軍女子がボクに軽く説明をくれる

 確か、全中2連覇?とか言ってたな?

 ボクの推理だと……こうだ!


 全中が何の略語かはわからないけど、きっと何かしらのテニスの大会なのだろう

 それでこの女は2連覇した実績があり、それでテニスが強いこの学校にスカウトされて入った


 なるほど、ボクとは関係がまったくないじゃないか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る