初めてのお出かけ

「こほんっ!いいだろう、ボクのお友達にしてあげよう!」

「やった!ありがとう!」

「ふふっ、ボクに感謝するといい!」


そんなこと言いながら内心ボク、すっごく安心してるの

だって、ボクこのままだとぼっちコースになるところだったんだもん

だから、めっちゃくちゃありがたい

しかも、ボクからではなく相手からお友達になりたいって言ってくれたんだから


「じゃあ、連絡先とか……」

「明日2人で遊びに行こう!」

「そ、それはさすがにまだ早すぎるんじゃないかな……?」


だ、男女ふたりっきりでお出かけ……

そ、それはもう、世間一般に、

デート、じゃないか?

でも、断ったら……どうなるか怖いし……


「ま、まぁ、キミがどうしてもって言うなら、考えてやらないこともないが……」


せっかくできたお友達、こんなしょうもない理由で仲違いして疎遠になって捨ててしまう

なんてことはできない

ボクはコミュ力は高くないから……

新しくお友達作るのも、多分難しいだろうしね


「やった!カラオケデー……遊戯!カラオケ遊戯!楽しみだね!」

「ん?今何言いかけ……」

「カラオケ遊戯、楽しみだね!ね!」

「うん……」


なんかデートって言いかけた気がするんだけど……

ま、まぁ気のせいだよね!

カラオケ遊戯……ネーミングセンスがちょっとアレだけど、楽しみだなぁ……

ボク、誰かと遊びのためにカラオケに行ったことないから……



「時間10分前、服も髪のセットもよし!と……」


今日は遊びの日だ

ボクは張り切っちゃって10分前に来てしまった!

幽香はいるかな……?


「あっ!こっちこっちー!」


あ!いたいた!

にしてもかわいいなぁ……

白いワンピースにネックレス、ピアスを付けている

元から整っている端正な顔を引き立たせているファッションだ


「幽香!いたんだね」

「あ、あわわぁ……」

「どうしたの?」

「か、かわいい、かっこいい、かわいい、かっこいい……」

「し、しっかりしてー!」


また、最初に名前を呼ばれた時のような状況になってしまった

思わず抱きしめると、ふわりといい匂いが鼻を刺激する

 

「今日のために頑張ってきたんだね、ありがと、ボクすっごく嬉しいよ」

「ひぅっ……」

「歩ける?無理はしないでね?」

「うん……手、繋ご?」


ボクは陰キャで見た目あんまよくないのに、そんなボクのために頑張ってきた幽香が愛おしい

だから、ボクは彼女の要求に応えてあげることにする

ボクは手をきゅっと握る

ひんやりとした幽香の柔らかい手、ボクの手をしっかり握ってくれている

手の大きさはあんまり変わらない

ボクの手は小さいから


「ついたよ、ここでいい?」

「うん、ありがと、じゃあさっそく入ろっか」


そうして、ボクたちはカラオケボックスに入る

幽香の歌は……上手く形容できないけど、透き通るような歌声で綺麗だった


「次、歌ってよ!」

「えぇー、しょうがないなぁ、こほんっ!しっかりと聞くといい!」

「はわわ……生歌、すごいぃ……」


ボクの歌で幽香は昇天しちゃったけどね

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