あれれ?覚えてないのかな?

「いや誰だよっ!」


 いきなり知らない人からのキス&告白

 この女の見た目は正直に言ってかなりレベルが高いので普通のシチュエーションで普通の人にならなら喜ばれていたのだと思う

 でもさ……初対面だぜ?

 怖くないか?

 少なくとも、ボクはクソ怖いよ


「あれれ?覚えてないのかな?」

「覚えてるわけないでしょ……第1、キミとボクはボク目線からしたら初対面なの!キミ目線からしたらそうじゃないかもしれないけどさ……」


 ボクはこの女の見た目と声は少なくとも見たことがない

 うん、もう一度記憶を探ってみたけどないな


「そっか……悲しいな……すっごく、すっごく……」


 そう言ってとても悲しそうにするその女

 ボクは……


「そんな手口には慣れてるよ、お前、何が目的だ、ボクの……」

「そっか、わかった……ごめんねっ……でも、絶対に、絶対に、ぜーったいにあきらめないからっ!覚悟しといてね!」


 なーんだ、意外とすぐに引き下がってくれた

 これにて、一件落着……

 ってか周りよっ!

 周りの空気!

 地獄のような雰囲気なんですけど!?

 あれ?ボクは正しいことをした……よね?

 見ず知らずの女からいきなりキスされて告白された

 ボクは断った、拒絶した

 そしたらその女は嘘泣きして逃げてった

 うん、ボクの悪い要素ないね!


「見た……この女っぽい男……いきなりキスしてたぞ……やばいな」

「お前最初から見てなかったのか?男はやられた側、だろ?」

「そうだぞ!コイツはどう考えても被害者だろ?」

「そうか?まぁ可哀想度で言ったら女だが、男は正しいことをしてる、正当防衛なんだよなぁ」


 よし、野次は今のところボクが少し優勢、と言ったところか?

 このまま優勢を拡大したいな……そうだ!


「くっ……なんで……なんでこんな形で……ボクのファーストキスが……奪われてしまったんだよ……なんで見ず知らずのヤツに、好きな人としたかったよ!相思相愛の恋仲の将来の結婚相手としたかったのに!なのに……なのになんでこんな……っ……」


「あいつやっぱり可哀想だな……」

「あの女の子絶対にビッチでしょ……じゃなきゃあんな大胆なことしないわよ」

「待てよ、これって俺達を騙す演劇の可能性は……」

「ねぇよねぇよ、この男の反応、ガチだぞ……」


 っしゃあ!野次は完全にこちら側の味方だ!

 ボクの勝ちは近い!

 何と戦ってるのかよくわからないけどさ……

 まぁ、楽勝すぎるね!

 勝利の女神はこのボクに微笑んでるのさっ!

 何と戦ってるのかよくわからないけどさ……


「はぁ……今日は人生で最悪の日に近いかもしれない……ボクはもう帰ることにするか……」


 にしても、ボク以外の人はほとんどコミュニケーションとってたよね?

 事前にSNSとかで連絡取ってたのかな?

 まぁ、真相は闇の中、ってことで!

 ボクは……傷心した心でも癒してきますか……

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