昔、仲良くしてた幼馴染がグイグイアピールしてくる件

うさみみ宇佐美

運命のような出会い

やっと会えたね!

 昔、幼馴染がいた

 ような気がする……

 最近、色々なことが起きすぎて昔のことがよく思い出せないんだ

 今日、ボクは高校の入学式を迎える

 地元から離れた高校で、ね




 入学式が終わり、自分のクラスに戻ってこれからお世話になる担任のお話しを色々と聞いた


「ふわぁぁぁ……ねみぃぃぃぃ……」


 やべ、昨日まで春休みのウキウキ気分で夜更かししてたんだった……

 めっちゃ眠い

 入学式なのに夜更かしして寝坊したからせっかく髪をセットする時間がなくなってしまった……

 このアホ毛はむかしっからあるけど……寝癖はダサいからどうにかしたい……

 っていうかやばいな

 ボクだけ疎外感感じる、すごく、うん

 あれ?みんな初対面だよね?うん?

 なんでそんなスムーズに会話できてんの?

 陽キャ?こえ〜……


「ねぇねぇ、きみ」


 うん、聞いたことのない声、どうせボクじゃないさ

 どうせ隣の席の人に話しかけたんだろ?

 もしもボクだったら……無視したってことになるから非常にいたたまれない気持ちになるところだが

 ボクは誰も知らないこの地に来たんだ

 まぁ、大丈夫でしょ、多分……


「あれ?聞こえてないのかな?ほれほれ〜」

「んっ、のっ!」


 肩を揉まれてしまった……

 しかもちょっと手つきいやらしいし……

 んんぅ、ボクなのかよ……

 いやだなぁ……

 ボク、何かしちゃったのかなぁ……

 確かにさっき無視したけど!

 ボク、そこまで見た目に自信ないから……告白とかじゃないと思うの

 低身長だし、童顔だし、女っぽいってよく言われるし……


「ねぇ、こっち見て」

「……なんか用?」

「…………」


 用があるならさっさと言ってくれ

 まぁ、見ず知らずの人間の用だ、まともなはずがないから受けるわけないんだがな

 そんなこと思いつつ、ボクはその声の主の方を向く

 結構かわいい女の子だな……

 ピンクアッシュの髪は肩までした降ろしてなくて、目は綺麗な紅色……

 って何考えてるんだボクは!

 ボクはナンパ師でも、出会い厨でもないんだぞ!


「やっぱり……やっぱり!」

「のっ!?」

「好き……んっ……」


 いきなり、顔を掴まれて……



 キスされちゃった……



「んんっ……んくっ……」

「んちゅ、れろ……れろ……ぷはぁ……」

「はぁ、はぁ、はぁ……」


 は……激しい……

 出合って5秒でキスなんて……

 しかも初対面の、見ず知らずの人間に……

 やばい、こいつ、異常だっ……

 周りからも白い目で見られてしまった!

 うぅぅ……この誤解をどうやって解けば……

 ボクは何も悪くないんだ!信じてくれ!

 って情に訴えかけるか?

 ダメだ、こういうのは大抵の場合女側に味方が付く

 ボクの今の見た目は……確かに女っぽいけど!

 けどけど!

 男なんだよなぁ、それが

 この女め……覚えてろよ!


「やっと会えたね!久しぶり!勇気!」

「あ?誰だお前?」

「えぇ……忘れちゃった?キミと、小鳥遊勇気くんと結婚の約束をした千野結海ちのゆいなだよ!」

「いや誰だよっ!」


 誰だよ!

 いや本当に、知らん人です。





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