第40話  魔性の3姉妹④


『パメラ姫様...  お久しぶり振りで御座います』

『お久しいですわね...ミリネア教授。‥‥ここでお会いするなんて...』


ミリネアは立ち上がり‥‥ パメラの横に来て頭を下げる。

改めてお互いに”キチン”と挨拶した2人。

どうやらミリネアそっちのけで〝「あれやこれや」〟‥‥

パメラはメンバーに聴きまくっていたらしい。


パメラの言葉遣いにびっくりした俺は‥‥


『色々使い分けるんだな...』


『ゴクちゃんには...普段通りのあたいを見せるわよん...』


なまめかしい声で俺の腕を掴んで‥‥

爆弾ダイナマイト」を押し付けてくる。


顔に血が昇る俺だった。


『ゴクトーにゃを?狙ってると訊いておりましたが‥‥”ぁはははは”』 

『ミリネア姉様違います。リーダーの名前‥‥』


ミリネアは揶揄からかいながらまた腹を抱えて笑う。

ミーアが申し訳ないと思ったのだろう俺を見て”ぺこっ”と頭を下げた。


『ゴクちゃん』

『ゴクどーさんです』

『ゴクトーにぃ』

『変だー!!』

『ダー様』

『リーダー!』


我よ我よと‥‥メンバーが言い合っている。各自呼び方が違う。


苦笑する俺だった。


『”ぁははは” 愛されてるわねゴクトーにゃ‥‥』


 そう言うとミリネアが俺の腕をいきなり引っ張り‥‥ 

セクシー無しNOブラ」で〔大峡谷大きい胸の谷間〕に

 ”むにゅにゅにゅ────ん”と押しつけ‥‥


『”あん”』


声を漏らし‥‥

もう片方の手で強引に俺の顔を引き寄せて‥‥

傷のある頬にchu!!っとした。 


『立候補させてね... ワタクシも...』


顔を朱くするミリネアだった。


猛烈に血が昇っていく俺は‥‥

あまりの急な出来事に頭が”カクッ”てなってしまう。


『ゴクトーにぃ....』


見ていたアリーも頭を”カクッ”とさせた。


おいおい...ミリネアさんや...流石...

魔性の3姉妹の長女と....いったところだな...

嬉しいけども...突然はヤメテ...俺の「△テント△」が....


『あ・ あの...』


顔にまた猛烈に血が昇る。


『ダー様に....』

『変だーに...』

『ゴクちゃんに...なんてことするのん‥‥』

『リーダーに‥‥』


アカリとジュリそれと隣のパメラ‥‥ミーアまでミリネアを睨む。

それを見て‥‥またアリーは頭を”カクッ”とさせる。

ノビだけは‥‥ 「〝羨ましいです〟」の顔をしている。


『仕方ないわねん。ゴクちゃんはモテるから‥‥』


”ぐいっ”と「爆弾ダイナマイト」押しつけながら‥‥

パメラは諦めたように俺を見て笑う。


『変だーは...変だーなのよ....』


ジュリは納得でもしたかのように顔を朱くする。


『リーダーと一緒にもっと...まれなきゃなの...』


小さな声で言うミーアの頬は朱く張っていた。


『ダー様を独り占めにしようとは...思いませんわ...』


あっけらかんとして言うアカリは‥‥どこか拗ねているようだった。


またまたアリーは頭を”カクッ”とさせて‥‥

ノビはまた「〝羨ましいです〟」の顔の顔をする。


”ぐぅうううう”  ”ぐぅう”  ”ぐぅううう”

3連奏の腹のなる音がした。


その音で顔の血が下がっていく。

誰の腹が鳴ったのかは詮索せずに‥‥


『飯にしないか?』


『お腹すいた────!!』ジュリが照れながら腹をさする。

『お腹すいたにゃ‥‥』  アリーは何度目か?頭を”カクッ”とさせる。

『いいですわね‥‥』影のリーダー・デス姉アカリが朱くなり照れていた。


『ああ... 女将さんの飯は美味い。食堂に行こう....』


「OK」のサインを出す〝暗躍〟チーム。

パメラとノビそれと横にいたミリネアが不思議がるが‥‥

釣られたのか‥‥「OK」のサインを出す3人。


大部屋を出て階段を降りていく。

”ゾロゾロ”とミリネアとパメラに挟まれ食堂に向かった。


食堂に入ると忙しそうに働く女将さんと目が合う。

俺は軽く頭を下げた。

察した女将さんは空いてるテーブルを〝「お盛んですねの目で指す」〟

そこに”ゾロゾロ”とテーブルに座った俺とメンバー達。

ミリネア・俺・パメラ・アカリが並んで座って‥‥

対面にジュリ・アリー・ミーア・ノビが座った。

ミリネアとパメラは俺の腕を掴んだままだった‥‥

俺は凄い〝「視線の圧」〟を感じていた。


俺達がテーブルに着く前から

既に食堂のテーブルに座って食事をしながら‥‥

打ち合わせしていた

「〝4人組〟」と「〝5人組〟」の冒険者のパーティーが

”ヒソヒソ”と話し出す。


『おいあれ?桃色姉妹だろ?』

『あの小さい獣人の子は子供か?』

『あの2人のエルフ‥‥すんげー別嬪だな...』

『エルフの... すげーな...あの谷間‥‥』

『なんだあの別嬪に挟まれたカラスみたいな奴?....』

『あのひょろっとしたのも仲間なのか?...』


‥‥”ヒソヒソ”と聞こえてくる。

 俺とノビは食堂にいる冒険者達から視線を集める。


『気にするごどないんさ...先生は美人だがら‥‥』


 ”ヒソヒソ話”に上がってこない事を気にして

ノビがパメラの顔を見て言った。


『貴様〜〜!!余計な事を‥‥』


パメラが声のトーンを落として睨む。

ノビはお決まりの”ケロッ”との恒例行事。


『え?君は学院の生徒なのか?見た事ないが...』

『そうだげど‥‥』


ミリネアはびっくりして”ポカ────ン”。

ノビはびっくりしてるミリネアを見る。


『ミリネア教授‥‥ 

貴方があまり学院にいらっしゃらないからですわ...』


お淑やかにパメラに言われる。

聞き耳を立ってていた2組の冒険者のパーティーの連中も‥‥

このギャップに「!!!」────の顔をしている。


『”ぁははは”。ワタクシ‥‥研究が大詰めを迎えてまして...』


ミリネアは笑いながら言葉を詰まらせ誤魔化す。


『先日就任された... 学院長にはお会いになりましたかしら?...』

『あの...ここ半年程...学院には‥‥』


ミリネアは=バツ=が悪そうにパメラに返事をする。


『ワイバーン討伐の依頼を終えたら‥‥

わたくしも1度カルディアへ帰ろうと思っいてます。

良かったらご一緒に‥‥』


パメラが言い終えると‥‥

聞き耳を立ってていた2組の冒険者のパーティーの連中から‥‥


『あれってもしかして踏破した... 〝桃色姉妹〟の...

「〝リリゴパノア〟」なのか?』

『支部長から討伐の依頼を直々に...』

 

‥‥‥‥”ヒソヒソ”とまた聞こえてくる。

冒険者のパーティーの2組が食事を終えたのか‥‥

苦笑する俺とノビを睨みながら‥‥ 食堂を1組また1組と出ていった。


女将さんと女中さん達が料理を運んできてくれた。

俺達の話を冒険者達に聞かれたくないのもある‥‥

丁度良いタイミング‥‥

『今日のお昼メニューの目玉焼き付きハンバーグです』


女将さんはご機嫌で”生き生き”しながらテーブルに置いていく。

目玉焼きが乗ったソースが掛かったハンバーグと

「キャロット」のガルニ。茹でた「ボロッコリ」と「ポテト」フライ。

パンとチーズが乗った「オニオンスープ」。

綺麗な盛り付けで匂いも抜群に良かった。

最高のお昼メニューだった。


 ”ぐぅうううう”と腹のなる音。ジュリは真っ赤になり下を向いた。


『美味そうにゃ!!』


アリーがフォークを握りしめる。


『これ うじのパン...』

『そうよ。「フロッグ・ケロッグ」のパンは美味しいから...』


ノビは女将さんを見て笑っている。

ノビを見て笑う女将さんだった。


『ごゆっくり‥‥召し上がれ...』


女将さんが優しい表情を見せながら言って‥‥

女中さん達と女将さんは厨房に戻っていく。


メンバー全員とミリネアもお祈りして‥‥ 

声を揃えて 『『『『『『『『 いただきます!! 』』』』』』』』


『美味しいですわね。ゴクちゃん...』

『ああ...』 


パメラが上品に食べながら言った。


ん?混ざってるよ...パメラはある意味凄いな...


”ニタリ”。 


メンバー達のスピードに合わせて俺も食べた。


『ダー様... 討伐の件...これから向かいますか?』


食べながらアカリが尋ねてくる‥‥


『皆の体調次第だが‥‥ どう思う?...』


『ウチの子達は休めなきゃなので....』


ミーアが”ポツリ”。

不思議に思ってミーアを見るパメラとノビだった。

ミリネアは理由を知ってるので黙って食べている。


『大丈夫よ────わたしの魔法で...』

『ジュリ...貴方は本当にせっかちね...』

『もう誰も居ないにゃ!!』


アリーが周りを見て‥‥ 

ジュリをたしなめるアカリに言った。

ミーアとミリネアの顔を俺が見る。

2人とも「〝解ってると言う顔〟」で頷く。

ジュリが”見る”のサインをする‥‥ 

アカリも”見る”のサインをして‥‥

昨日の事を姉妹で”スラスラ”小声で話し始める‥‥


「!!!」────ノビもパメラも話の途中

「!!!」────で何回も凄い顔をする。


 聴き終えると‥‥


『ゴクちゃん...惚れ直したわん...』

 

パメラは「爆弾ダイナマイト」を擦り付けてくる。


『ゴクどーさんもみんなもずごいんさ。ぞれであの「サイン」‥‥』

 

ノビが言った後の‥‥いつものが出ると思ったが‥‥

パメラは俺を見て照れて”ニヤ”ついていた。


ミリネアがここで急に‥‥ せきを切ったようように話し出す。


『ワタクシも是非一緒に... 

今...研究で修繕復刻してる古代兵器の...

七星ナナホシの武器」....

「〝機械銃マシンガン〟」の弾の材料が欲しいのですが...

弾の材料が2つも揃ったその場所にワタクシも...

何度も弾の製法を失敗してしまって‥‥

古文書を読んで知り得たことなので....

定かとは言い切れませんが....

「〝機械銃〟」は盾や防具...更に【魔法障壁】も貫くという....

凄い武器なのです...

「太古の大戦」で魔法が使えなかった「人族」が‥‥

「始祖の一族」から譲り受けて使ったという....

伝説の武器らしいのです......』


話し終えたミリネアは甘えるように‥‥

無しセクシーNOブラ」を

”むにゅにゅにゅ────ん”と俺に擦り付けて‥‥


『”あん”』  声を出す。


顔に血が昇り‥‥ 

俺は「宿屋帰巣」の食堂で「△テント△」を張る。


おいおい...メンバー達...視線が怖いよ...

「魔性の3姉妹長女」...

もとい...”ドンブラコ”姉さんがしてるんだよ...


なんとか平静を装って‥‥


『ワイバーンの卵の殻と硫黄いおうか‥‥

師匠が言っていた「〝爆発する炎の素〟」だな...』


『‥‥研究者でもそんなに知られてない事なのに...

 そうです。「〝爆発する炎〟」を作り出す材料の「〝火薬カヤック〟」‥‥

 亜竜種のワイバーンのような〝〔竜種の魔物の卵〕〟にだけ含まれる....

 硝酸塩しょうさんえん....これを沢山使うんです。

 洞窟などでも採取できますが... 

 特に「〝火薬〟」を作るには....硝酸塩をかなり使いますので...』

 

凄い勢いで真面目な顔で話すミリネアに‥‥

俺はちょっと知っていたことを尋ねてみる。


『それと木炭か?...師匠が「ヤマト」の古文書に書いてあったと...』

『え?貴方の師匠って?「ヤマト」?もしかして‥‥ ナガラ元教授?...』

 

ミリネアはびっくりして動揺しながら俺に応える。


『「〝火薬〟」かどうかは...聞かされて無かったが...

カルディアに3年居て... その時ワイバーンの巣に放り込まれた...』


『”す────”はぁ────』深呼吸‥‥


『その時も硫黄と卵を取ってきたんだ...

「〝爆発する炎の素〟」の話もその時少し聞いた。

師匠もミリネアが言ってた...「古代武器」の何やらを探していたからな...』


珍しく俺が上手く話すのでメンバー達が

「!!!」────の顔をしている。

ミリネアだけは真剣に”うんうん”頷きながら俺の話を聞いていた。


おいおい....俺だって...

心の中は饒舌じょうぜつなんだぞ....


『ナガラ兄様がそんな事を....それでカルディアに...』


アカリが神妙な面持ちで話す。

だいぶ思い詰めてるような感じがするアカリだった。  


『すまん。ここまで詳しい話は...上手く話せずに...』


『口下手だからね────!変だーは”ハハハ”上手く話せた方よ...』

ジュリが笑った。笑い飛ばしたはいいが‥‥

すぐにアカリと同じ表情になる。


『ダー様 ... 確か‥‥「桜刀」も七星ナナホシの1つと.....』

『そうなのか!! 知らなかった... 師匠は何も.....』 

『私も詳しいことは‥‥』


アカリは俺に「桜刀」が七星と教えて顔が朱くなってうつむく。


‥‥‥‥全員黙った。     


仕方なしに俺が口火を切る。


『ミリネア...連れて行くのは良いが...危険だぞ...』


『それなら心配いらない。ウチより上のランクの冒険者だから...』

『え────!!「S」ぎゅうなの?』


ミーアの発言にノビが驚く。


パメラはミリネアが「カルディア魔法学院」の教授とわかっている。

魔法学院のになれる資格は「S級」の取得が必須だった。

[あたいも「S級」帰れば教授に‥‥]パメラは黙って話を聴いていた。


ミリネアはミーアの言った事に黙って頷き‥‥


『ワタクシ...これでも90年の長期ながきに渡り...

〝考古学者〟をしております。

ワタクシは生まれながらに

「〝学者〟」の能力 ジョブスキルを持っていました...

 魔力量も豊富なようで‥‥ 学べば学ぶだけ多種の属性魔法も習得できます。

「 狩人 」の最上級能力 ジョブスキル

「〝羅刹鞭猟師〟」も考古学の採掘調査の為に大陸中を冒険して...

 いつ間にか能力 スキルUPしまして‥‥

 もちろん「狩人」としても弓矢も使えます。

 これでも【〝ゴット・スキル〟】と呼ばれる「S級」なのです...』

 

 ミリネアが”パチ”っとウィンクする。


『え────!90年?』

『貴様!!何をいちいち!!』

 

年齢の事を知らないノビはまた驚くがパメラに睨まれる。

恒例行事発動‥‥


『姉様... 90年は余計...』

『このまま向かうのですか?...』


ミリネアが得意気に言ったことにミーアが”ボソッ”。

朱くなったミリネアが丁寧な口調で聞いてくる。


『ああ。皆も体調は大丈夫みたいだからな...』


『装備を‥‥  着替えていきたいのですが‥‥』

『ウチも‥‥』


ロカベル姉妹が真顔で「アイテムボックス」の中を確認して‥‥

「「OK」」のサインを出した。


『私も新しい装備に..』

『着替えるにゃ!』

『ゴクちゃんを...』

『新装備!!』


アカリのひと言に‥‥ 女性陣メンバーは着替える為に大部屋へ向かった。


『ゴクどーさん新装備じんぞうびおだのじみに...』


ノビも装備に着替える為に自分の部屋に向かった。


俺は着替えないので厨房を覗いて‥‥


『美味しいご飯をありがとうございます...』


厨房に居る女将さんにまた小袋から金貨を5枚出して女将さんに渡す。


『多くもらっているのに‥‥ありがとうございます...』


素敵な笑顔を見せてゆっくり頭を下げた。

笑った顔も素敵な女将さんだった。


[騎士団の旦那さんが‥‥ 帰ってきてからの女将さん‥‥ 

本当に生き生きしてるな‥‥ ]


考えながら厨房を出て1人で満足して‥‥

誰もいない食堂で‥‥ ”ニタリ”としている俺だった‥‥




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