第6章 ロカベル

第37話  魔性の3姉妹①


「ロカベルの魔法薬材と薬店」の裏に【白い門】が浮かび上がる‥‥

そこから”ゾロゾロ”と出てくる。一瞬で帰ってきた俺達。


『す・凄いもんだな転移の魔法。

ビヨンドから「キヌギス砦」まで4〜5日はかかるのに‥‥』

『アザックさん大丈夫?』


「キヌギス砦」駐屯騎士団 団長のアザックが腰を抜かすが‥‥

 ジュリがアザックを支えながら立たせる。


『ここからわたし達の生まれた「ヤマト」までは‥‥ 

 魔力が足りないから.... 一気には転移出来ないけど....』

 

 ジュリが不満気に苦笑しながらアザックに応える。


『それにしても凄い.... 君達に助けてもらった礼がしたい。

君達の住まいは? あ・あ・そうか...

みんな別々だろうから代表して.... 誰かの住まいを教えてくれないか?』


アザックは目をこすりながら真面目な顔で話す。


『ここ...』


ミーアが応える。


『すまない.... ちょっと目が見えづらくて....わかった... ここでいいんだね。

我が家もこの近くなんだ。これから家に帰って妻に顔を見せてから...

シモンヌ卿にこの事を報告しなければならないんだ。「砦」も修理を...

では改めてお礼に伺うよ....』


アザックは深々と頭を下げて‥‥ 

”ピョコピョコ”片足を引きずって‥‥ 

「宿屋帰巣」の方角へ歩いて行った。


『ウチ... ベルマとシグマにご飯あげて.... 寝かさなきゃなの....』


慌てながらミーアが唱えた‥‥ 


『【ソベデ・ンャチアカ・°ノエマオ!!】』


辺りの景色が”ゆらゆら” ボヤ────としてくる‥‥ 

うっすら形を形成して‥‥ 目の前に例の大きなうまやが現れる。


『ヨシヨシ...こっちにおいでベルマ...シグマ... お疲れ様...

今...ご飯をあげるわね。待ってて....』


ミーアが店に入って行く。

ミーアが厩にヒッポグリフの2頭を誘導? 

ベルマとシグマの姿は俺には全く見えなかった。 

他のメンバーも”ポカ────ン”としている。

店から出てきたミーアは‥‥ 

大きな虫籠むしかごのようなものに入った

爬虫類はちゅうるいらしき4本足の生き物を1匹ずつ与えてる。

それを見て2頭の場所が大体わかる。

ミーアの手に持った生き物が消えていくからだった‥‥


どうやら餌をあげ終えたようだ‥‥


『【 °ソベへ・ンャチアカ・°ノエマオ!! 】』


ミーアが厩にある「幻惑の魔道具」を起動させて呪文を唱える。

辺りの景色が ”ゆらゆら” ”ボヤ────”としてくる‥‥ 

形成していた大きな厩がうっすらして‥‥ 

”す────”と目の前から消えた。


『何回見ても凄い。消す時の呪文は違うんだな...』


『リーダーの方が凄い‥‥』 ミーアは照れて顔が朱くなっている。

『ダー様の闘ってるお姿は‥‥』 ウットリしているアカリだった。

『見てみたっかったにゃ‥‥』 アリーは頭を”カクッ”とさせている。

『怪我がなかったからヨシ!』 ジュリは”ニコッ”として笑顔を見せる。


わかりやすい反応だな...

メンバーの反応を見て心の中で”ハハハ”と笑う俺だった。


”ぐぅうううう” と腹のなる音。 


『腹減ったな...』


誰の腹が鳴ったのか‥‥ 

わかっているが口には出さない。


『ウチはこのまま部屋に戻る。みんなも来る?』


ミーアが誘ってくれる。


『いいにょ?』

『いいのー?』

『お邪魔しても?』

 

ミーアは「OK」のサインを出す。


『ミーアすまん...』 


ここはリーダーらしく俺が頭を下げた。


「ロカベルの魔法薬材と薬店」に入っていくメンバー。

壁に沿うように並ぶ薬棚。 

はかりや調剤の魔道具が‥‥ カウンターの上に置いてある。

カウンターの下には薬 やらポーションが入ったショーケース。

店の真ん中にソファーにガラステーブル。

外からよく見えるように干してある薬草が何種類かと

大小様々の瓶詰めされた薬材が‥‥

入り口左の大きなガラスの出窓の前に置いてあった。

外からの見た目と同様にこじんまりした店舗。

カウンターの後ろの左奥に入っていくと‥‥ 

左に「W・C」のドア。

右は「調剤室」と貼ってあるドア。

多分お客も使うからだろう‥‥分かりやすくしてあった。

少し奥まった所に玄関ドアがある。

ドアを開けて三和土たたきの土間で靴を脱いだ。


『ちょっと見たーい...』


ジュリが言うのでミーアは「OK」のサインを出す。

上に行く階段と廊下。階段の下のスペースに曇りガラスのドア。

そのドアをジュリが開けてみた。メンバーと俺が覗く‥‥

洗面台と「洗濯の魔道具」が置いてある脱衣所 と バスルームだった。

廊下の右にも部屋のドアが1つある。

廊下の先は広いダイニングルームだった。


『ただいま。ミンシア姉様...皆んな連れて来た。ウチの部屋で休む...』


右の部屋のドアが ”ガチャ”と開いて‥‥


『ふはぁ〜〜ミーア ...お帰り。ちゃんと帰って来たわね。よかったわ...』


姉のミンシアが胸を”ボヨンボヨン”揺らしながら‥‥ 

「透けてる紫の上下レースセクシーブラとスキャンティー」の姿で出て来る。

ミンシアは目を擦りこすながら‥‥ 


『何?その血だらけの格好?怪我したの?

おねいさんに服を脱いで見せてご覧なさい。”ハハハ”』


笑いながら俺に言ってきた。


『お・おじゃましれます....』


”ハッ”やってしまった。


緊張と「魔性エルフ」のおねいさんのセクシーボディーに‥‥

俺は狼狽うろたえてしまった。


『”ハハハ”。坊や〜笑える〜真っ赤よ〜〜』


ミンシアは笑って揶揄からかう。


顔に血が昇る俺だった。


『あら〜〜坊や‥‥ 私の自慢のボディーに見惚れてる?”ハハハ”』

 

俺の顔を見て笑って更に揶揄ってくるミンシアは‥‥

 ずっとなまめかかしい声を出す。


『姉様... 歳を考えて‥‥』

『ミーア... あなただって私と50歳しか違わないでしょ...』


『『『え────!!!』』』


俺はもちろんアカリとジュリも一緒に驚く。

アリーは驚きもせず至って普通だった。


『ウチはまだ‥‥ そんな事より...行こう。ウチの部屋‥‥』

 

ミーアが顔を朱くしてメンバーを促す。


『坊や〜〜ミーアをお願いね。chu!!』

『姉様‥‥それ余計...”はぁ”』


ミンシアはまた俺を揶揄う。

ため息まじりにミンシアを見るミーアだった。


魔性のおねいさんの3回目の投げキッスで顔に血が昇る俺だったが‥‥

凄い目でアカリとジュリに睨まれる。

完全に揶揄からかわれているのはわかってはいるんだが‥‥


エルフの年齢怖いな... 見た目では全くわからん...

そんな睨まなくても....俺が悪い訳じゃ無いのよ...

あれ?これって....デジャブ?...


[睨まれてもくじけない挫けない]‥‥そう考える俺だった。


ミーアに促された俺達メンバーは階段を昇って2階に上がる。

部屋が左右に1つずつと‥‥

廊下の突き当たりにはもう1つドアがある。

ドアを開けると3点式ユニットバスだった。


『いいおうちね────』


ジュリが感激してる。


『どうぞ』


右の部屋のドアを開けてミーアが部屋に招いてくれた。

部屋に入ると中はもの凄く広かった。


『おおー広いな────...』


部屋を見廻す。

大きな出窓が奥に1つと右に1つ‥‥

綺麗な白いカーテンを束ねている。

小さな観賞用の鉢がいくつか置いてある。

上を見上げると大きな天窓が部屋を明るくしていた。

部屋の奥の壁に沿って出窓の横に大きめの本棚が3つ。

整理された沢山の魔導書。

その横に綺麗に片付けられている机と椅子。

部屋の真ん中に大きな起毛のラグが敷いてあり‥‥

可愛いい杢目もくめの脚の低いテーブルが置いてある。

その上に「明灯の魔道具」が乗っていた。

高級そうな大きいオックス革製のソファー。

右の出窓の横にある小さいキッチンに

「5ドア冷蔵魔道具」が存在感を出している。

左側にはキングサイズのベッドがあって抱き枕が置いてある。

ベッドの横に収納用の大きなクローゼット。

見事に綺麗に片付けられていた。

流石さすがと言える「A級」冒険者の部屋だった。


『どうぞ適当に掛けて...』


ミーアは恥ずかしそうに言った。


『綺麗で素敵なお部屋ね‥‥ ありがとうございます...』


アカリがラグに女性座りする。 


”ぐぅうううう” と腹のなる音。


『これ”ふっかふか”にゃ───...』 


アリーは”コロコロ”ラグで寝そべる。


『いいわね──こういう部屋。ミーアあとで魔導書見せて──..』


ジュリもラグに女性座り。

俺も同じくラグに胡座あぐらをかいて座る。

”ぐぅうううう” とまた腹のなる音。


『みんなお腹すいてるね‥‥ウチが何か作るわ。みんなもその格好じゃ‥‥

その前に着替えてシャワーを浴びない?‥‥ 』


察して俺が立ち上がり‥‥ 


『ノビの実家のパン屋ならもう開いてるはずだ。

パンを買ってくる。俺がいると着替えづらいだろうから‥‥』


『僕も行くにゃ‥‥全然汚れてないにゃ!!』

 

確かにアリーは汚れていない。


『あ・あのダー様‥‥』


アカリが何かを言いかけたが‥‥


『わかったアリー‥‥行こう...』


アリーと一緒にミーアの部屋を出て階段を降りる。


『あら‥‥せっかく来たのにもうお帰り?』


ミンシアに尋ねられる。


『アリーとちょっとパンを買いに...』


『そ・そう...坊や着替えは?.... い・いってらっしゃい‥‥』


白衣を肩から掛けて

「透けてる紫のレース上下セクシーブラとスキャンティー」のままで‥‥

薬材の準備してるミンシアに凄い顔で見送られた。

俺は逆に顔に血が昇り目点になるが‥‥ 

アリーに手を引っ張られ‥‥

「ロカベルの魔法薬材と薬店」を出た。

ビヨンド村で1番にぎやかな方へとアリーと歩く。


『ゴクトーにぃは... 方向音痴にゃ。僕が教えりゅにゃ...』


細い路地をアリーが抜けていく。

確かに俺は方向音痴。

アリーがいてくれて助かったのは事実だった。


んーん...可愛いぞアリー....


”ニタリ”。


細い路地の角を曲がったら大きな通りに出た。

この大きな通りがビヨンド村のメインストリートだった。

俺の目の前に肉屋が‥‥まだ早い時間だからか肉屋は閉まっていた。

肉屋の優しいおばちゃんの事を思い出す‥‥

この通りを真っ直ぐ行ったところにノビの実家のパン屋はある。


『ゴクトーにぃはこの角の路地で待っててにゃ‥‥

その格好にゃ... 店の人がびっくりすりゅにゃ...』


『わかった...』


「アイテムボックス」から小袋を出してアリーに渡した。

ノビの実家のパン屋「〝フロッグ・ケロッグ〟」にアリーは入っていく。

俺は待機する間に改めて路地を見た。

ビヨンドの村は土壁が多く立ってる家もほとんどが2階建て。

屋根の下には出窓もあって‥‥

そこに鉢植えを置いたり洗濯物を干したりしていた。


しばらくして‥‥ 


『お待たせにゃ!』

『持つよ....』


アリーが大きな紙袋を抱えて戻ってきた。

俺は紙袋と小袋を受け取り来た道を戻って歩く。

肉屋はまだ閉まっていた。

メインストリートを抜けて細い路地へ歩いて行った。


『アリー凄いな。俺... すぐ道に迷うんだ...』

『ゴクトーにぃが極端なだけにゃ...』


アリーに”クスクス”笑われる。

「ロカベルの魔法薬材と薬店」の前にいつの間にか着いた。


『お帰り‥‥』


”正装”に着替えて店前の掃除をしていたミンシアに

入口を開けてもらう。店の奥に行き靴を脱いで2階に上がる。

アリーが”コンコンコン”とノックする。

ミーアが”ガチャ”っとドアを開けた。


『買って来たにゃ────!!』

『ありがとう...』 


ミーアは「ハート」の目でアリーを”いい子いい子”してる。

シャワーを浴びて着替えていたミーアは‥‥

これでもかと3つ外しているトップスのボタン。

「黒のスパンコールのセクシーブラ」が

はみ出しているブルーのノースリーブトップスを着ている。 

黒のぴっちりした布製の短パンで素足の姿だった。


部屋に入るとアカリとジュリもシャワーを浴びて着替えていた。

いい匂いが部屋に漂っている。


『ダー様おかえりなさい...』


申し訳なさそうな表情のアカリだった。

アカリは赤色の前が丸く開いたチャイナ姿で

レモン色のレースセクシーブラ」が「こんにちわ」している。

女性座りしているせいでスリットから

「レモンレーススキャンティーが売れどきです」と訴えかける。


『ただいま...』

『変だー...アリーもありがとう...』


ちょっと照れて朱くなるジュリは‥‥

白の前開きトップスのボタンを2つ外して‥‥

「赤と黒のボーダーセクシーブラ」を

”どう?”という感じで見せている。

最近できた「小谷山Cカップの谷間」が

嬉しいのか結構大胆にけている。

超ミニの白のスカートで女性座りには向かない姿。

白のミニスカートは

「赤と黒のボーダースキャンティー」が透けて見える。

正面から見たら‥‥

「OK!赤と黒で▽全開バリバリに行こうぜ」と訴えかけて‥‥

きっと丸見えだろう。


『ダー様ありがとうございます。アリーもね...』


アカリが俺の腕を引っ張り「ボイン」に”むにゅ”と押し付ける。


『ああ.....』


アカリと目が合い顔に血が昇る俺だった。

ジュリも何故か負けずに俺の空いてる方の腕を引っ張る。

押し付けてはいるが‥‥

反応しない俺の顔を覗き込んでジュリが睨んだ。


おいおい...ジュリさんや...デス姉と張り合うの?...

睨むのやめてお願いだから...とほほ...

睨まれても凹まないぞ...


この状況から逃れたい俺は紙袋をジュリに渡す。


『これ...』

『どんなの買ったの?変だーのチョイス?』


急に機嫌が良くなったのか‥‥ジュリが紙袋の中を見る。

”ぐぅうううう” 腹のなる音。

真っ赤になるジュリを見て俺は平静を装う。


『リーダー... シャワーをどうぞ‥‥

ジュリさんはパンをお皿に... その間にスープと何か作ります....』


ミーアが気を使って俺に言ってくれる。


おいおい...ミーアさんや....いいお嫁さんになれるよ...

あの”むにゅ”さえなければね..."むにゅ"ね....


『ああ... ありがとう...』 


考えてたら返事が遅れた。

ミーアに促されて部屋を出た。

廊下の突き当たりの3点式ユニットバスのドアを開けて入ると‥‥ 


ん...?


『ミーア珍しいわね。一緒に入るの?おねいちゃんも嬉しいわ...』


長い緑碧色の髪を洗いながら泡だらけの‥‥

「大きなお尻」をこちらに向けて‥‥

”ドンブラコ”‥‥”ドンブラコ”揺らしながら話す耳の長い色白の女性。


「!!!」──── シスターのシャワーを覗いた時のように‥‥

 

急激に顔に血が昇り‥‥


「ロカベルの魔法薬材と薬店」で‥‥

「△大和式テント△」を張る俺だった‥‥

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