第30話  1人



 道に早速迷う俺。歩きながら辺りを”キョロキョロ”。


(..確かこの辺りに..。)

 酒場を探していた。師匠の情報を集めるのに最適な場所。


(..あった!..ヨシ..。)


「KOKOSAKEUMAI」ジョッキの絵が書いてある看板。

    

 酒場に入る。カウンターに何人かとテーブルに2組。

    

 真昼間からエールをあおっている。

「エール1杯銀貨3枚」「チップス銅貨5枚」 ...黒板に書いてある。 

 『なんにする ?』台の上に立ってる、ドワーフの髭面に言われる。

 

 エールを注文して、カウンターで俺は、聞き耳を立てる。


 テーブルの.....。冒険者パーティーだろう。

 5人組と6人組の冒険者 パーティー。

      

 2組とも話込んでいた。     


 俺は、5人組が話してるのを聞く。


『もう 踏破されたみたいだぞ‥‥。』

          

『‥‥聞いた‥‥。』


『何でも リリゴ パノアって変な名前のパーティーが、

 ダンジョンクリアしたらしい‥‥。』

         

『 リリゴ パノアって??』


『あの 桃色の姉妹が、いるらしいぞ。』


『 可愛いらしいけど ‥‥すごい実力の獣人がいるらしいわね‥‥。』


『 紅い魔道士と、カエルもいるらしいぞ。』


『カエルって何だ?』

    

『カエルに見える装備らしい‥‥。』



(...これを聞いて ..あれ?... ..俺の事は?..。)

           

 俺は、わからないように、苦笑する。           


『そういえば ハゴネ 地方で ワイバーン 見かけるって聞いたぞ。』


『ダンジョン踏破したパーティーに 、

 ワイバーンの討伐依頼したらしいぞ。』


『そりゃ ご苦労なこって‥‥全滅したら笑えないなぁ。』


『そうよね。 笑えないわ。』


『ワイバーンは‥‥半端ないらしいからな。』


(....そこまででは.....ワイバーンだよね?...

 ....たくさん.. ..いたら.. ..まぁちょっとね....。)


 俺がそんなことを、考えていると‥‥。

 6人組の方でも話し始める。俺は、聞き耳を立てる。


『ダンジョン 残念だったな‥‥もう踏破されたな‥‥。

 俺達も28階までは行けたんだけどな ‥‥。』


あきらめずに 踏破 しようぜ‥。』


『ダンジョン攻略に ナガラが来るかと思ったけど‥‥見てないな。』


『貴方は‥‥前にナガラを‥‥見たことがあるのかしら ?』


『昔 1度な。‥若い小僧と一緒だったぞ。』


『 へぇー... あのナガラをねーー。』


『ナガラの姿はここ何年も見られてないらしいぞ ‥‥。』


『そうなのか?知らなかったよ。』


『俺も最後に見たのは 、カルディアだ 。』



(..すまんな.. ..もう踏破して.. ..その小僧って ...俺なんですけど..

...確かに 師匠と行ったけどな...

 ...まさか..パメラが....あの国の姫とは....思わなかったけどな...。)


 聞いてた俺は、エールを、一気に飲み干して、『もう1杯頼む。』

エールを頼みながら...。次にカウンターで話す、2人の男女の話を聞く。


『 最近この村もいろんな人が来るようになったな。』


『そうよね ‥まあ ダンジョンに‥‥いろんなパーティーが、

 参加するから‥まだ 巨人族だけのパーティーは、見た事無いけど‥。』


『巨人族だけのパーティーって、あるのか ?』


『あるでしょう 。多分‥‥私は、見たことないけど。』


『俺も見たことないな 。巨人族が1人‥‥入っているパーティーは、

 見たことあるぞ。悪い噂ばかりの、パーティーだったけどな‥‥。』


『そうなんだ 。そんなパーティーもいるんだね。』


(..まあ たくさんの人種がいるからな ....

 ...この大陸 には..「悪魔付き」....なんてのも...いるからな....

 ..やはり何年も師匠の姿は...目撃されてないんだ...。)


 俺は考えながら‥‥エールを飲み干す 。

『ご馳走さん。』カウンターに、銀貨10枚を置いて、酒場を出る 。


 また 道に迷う 。俺は薬屋を目指していた。

 ダンジョンの攻略で魔力回復薬が無くなった。

 パメラに全て渡して‥‥使ってもらった。


 すれ違う人に薬屋の場所を聞く。


「ロカベルの魔法薬材と薬店」

 かなりの時間が‥‥かかったが、 やっと見つけた。薬屋に入る 。


『あら‥‥‥いらっしゃい 。』

魔性 エルフの‥‥綺麗なおねいさんだ。


『今日は、何が必要 ??』聞かれる。


『 魔力回復薬が10本欲しい。』


『ちょっと待ってね。 』薬品棚から10本持ってくる。


『この間の「あれ」って‥‥使ったの ?』


『いや まだ「あれ」は、使ってない‥‥あの薬って?』


『 使ってみればわかるわよ 。全部で金貨1枚ね。』”ニヤリ”。


なんとなく俺は、理解して、金貨1枚を渡す。


俺は、エルフのおねいさんから、ちょっと情報を聞き出す。


『依頼があって ハゴネに向かうんだが

‥‥やはり 、歩いて行くしかないかな?』


 『 ‥‥私達は‥‥あ、そうか‥‥

 ‥‥ビヨンドの村は、行商の馬車が何組かは、

   行き来してるわ。その業者に聞いてみたら?』


 『ありがとう‥‥ 助かる 。』 (....移動は楽な方がいいし..。)


 話を聞いて俺は、店を出ようとする。


『ち‥ちょっと‥‥待って‥もしかして‥‥ワイバーンの討伐?』


『なんで知ってる?』


『村長‥‥あ‥‥支部長から聞いたの‥組合の会合で‥‥。』


『そうなんだな‥‥。

   俺達のパーティーが、行く事に‥‥支部長の依頼で....。』


 『そうなのね ‥‥。ハゴネに行くなら‥‥ 。

 うちの妹も連れてってくれない ?うちの妹も冒険者なの。

 薬草をよく取りに行ってもらってるの‥‥ 。      

 ハゴネの方面では、欲しい薬草が、よく取れるから 。』


 急に言われ、びっくりする俺。


『今呼ぶわ。ちょっとーー!ちょっと‥‥ミーア 、ミーア !!』


『 呼んだ‥‥ミンシア姉様。 』小さな声。


背中に小型の弓と矢筒を背負ってる。

20代ぐらいに見える。長い髪の色は、緑蒼色 。眉は細く 、瞳は碧。

鼻筋が通っていて、エルフ 特有の長い耳に赤い石の耳飾り。

美しい肌は白く、背は高くスレンダーだが、胸は超ボイン。

ノースリーブのボタン付きの白いシャツ。

水玉柄のセクシーがボタンの隙間からチラリしている。

ラクダ色の皮のキュロットスカート。

同じ色革のブーツを生足で履いている。

       

かなりの美形が‥‥奥から呼ばれ、出て来る。


出てきた妹に‥なにやら耳打ちする‥エルフおねいさん。


『わかった。頑張る‥‥ミンシア姉様。』小さな声で返事をする。


『私の妹。狩人の冒険者で、A級よ 。案内も出来るし‥損しないわよ。』


『連れて行くのは‥‥構わないが‥その‥妹は‥‥大丈夫なのか?』


『問題ないわ 。多少人見知りだけど‥‥

 この子も今まで‥‥幾度いくども色々と、まれてるからね 。』


『そうなのか ‥‥。』こっちを見て‥‥真っ赤に照れてる妹。


『大丈夫‥揉まれれてるから‥。』また照れて小声で言う妹。


 『多少人見知りか‥うちのパーティーは、‥そのなんというか‥

  ‥肉食というか。』ちょっと不安な俺。


『この子‥大人おとなしく見えるけど‥‥見かけによらず肉食よ。

‥‥特に男に関しては、皆んな、なんだけど‥‥種族のさがね。』


姉のミンシアは、ました顔で言う。


(..エルフの魔性の性....そうなんだな..知らなかった..。)


『‥‥わかった。ハゴネにくわしいなら、一緒に行こう。名前は?』

『ミーア‥‥ミーア・ロカベル。』小さな声だ。


(..ほんとに...大丈夫か?...。)


『ゴクトーだ。うちのパーティーの皆に紹介したいんだが‥‥。』


『わかった。姉様‥行ってくるわ‥‥。』嬉しそうだが、小さな声だ。


『 俺達は 、ワイバーンの討伐をするために行く。 もしかしたら 、

 ワイバーンに遭遇して、戦闘になるかもしれないぞ ‥‥。』


『 ええ 問題ないわ 。』自信有りでも、小さな声だ。


『そうか‥‥ 報酬も山分けにしよう。ギルドに行って、

 パーティーの登録をしないといけないな ‥‥。』


『‥‥そうね 。』あまり興味がなさそうな、小さな声だ。


俺は突然のエルフのパーティーメンバー入りに 、

多少戸惑とまどったが..。


(..人数が多い方が 討伐は楽だし ....案内も...。)


店を出ようとする時に『妹をよろしくね‥‥chu!!』

ミンシアに、2度目の投げキッスをされて....。顔に血が昇る。


『ミンシア姉様‥‥。それ余計。』極小の声のミーア。


「ロカベルの魔法薬材と薬店」を2人で出て‥‥ギルドに向かった 。

ギルドに着いてすぐに、2人で入り、受付で俺のカードを出して、

ミーアにもカードを出すのを、うながす。


『 ゴクトーさん‥‥この方 をパーティーに?』 受付嬢に聞かれ、


『そうだ。』とこたえる。

カードの申請登録が終わって、カードを受け取る 。

ミーアの金の冒険者カードに「黒い縁取ふちどり」が付いた。


『 俺達は皆‥‥同じ宿に泊まっているが 、ミーアはどうする?』


『 とりあえず 行くわ。姉様のところにいるから、

宿には泊まらまらなくて大丈夫。だから出発する時は、

どこかで待ち合わせしていきましょう 。 』 小さな声だ。


『わかった 。』そう返事をして、ギルドを出て、2人で宿に向かった。

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