第29話  「キャリーズ パミュ」 再び



『”うふ” 私は、これにするわ。ジュリは、決まったの?』

『ジュリねぇこれは、お胸には、多く「あれ」を詰めるにゃ?』

『そうね‥‥わたしは、この白と黒のボーダーのにする。』


 ゴクトー、師弟コンビと別れて....。 

「魔道具と雑貨・服の店 キャリーズ パミュ」の店内。

 例のセクシーコーナー。3人は、手に取りながら選んでいた。


 決めたようで、手に持つ‥‥幾つものセクシー。

『先に試着するわ‥‥。すみません試着室を、お貸しいただけますか?』

 綺麗な女性店員さんを呼ぶ。先に試着室に向かったアカリ。


『アリー‥ごめんね‥‥付き合わせて‥‥。』


『大丈夫にゃ!ジュリねぇ‥‥好みが変わったにょ?』


『少しね。このボーダー3種類と‥緑のレースの‥‥。』


『試着するにゃ‥‥僕も一緒に‥手伝ってあげるにゃ‥‥。』


 お洒落な女性店員さんを呼んで試着室に向かう。


 アカリが入ってる試着室の隣で、知らない女性と店員さんの声がする。


『うちの旦那‥‥こんな感じの赤が好きなのよ‥‥。』


『私の彼氏も、そんな感じが好きですね‥特に前が開いてる‥‥。』


 黙って聞いていたアカリだが......。”ジャー”とカーテンを開けて、

 セクシーな黒上下のままで......。出てきて、一緒にここに来ていた、

綺麗な女性店員に、小声で尋ねる。それを見た、試着室で着替えている、お客さんを待つ、同行女性店員さん達もびっくりする。


『やはり世の殿方の‥‥私にも、前開きの奴を、お選び頂きたいわ‥。』


『隣の子に聞いてみます‥。少々お待ちください‥。』

 隣の試着室で、話していた店員さんに聞いて、慌てて取りに行く。


 アカリは、その姿のままで待つ。

 そこにジュリとアリーとお洒落な店員さんが来る。

『ちょっとー‥‥ネーは、‥‥なんでそんな格好で?

                   そこ立ってるのよー!』

 (...また...派手目......変だーを...これで?...。)


『ジュリ‥‥アリー‥あなた達も、試着に来たのね‥‥。

 私は、ある情報を頂いたので、うちのダー様に喜んで貰えるのを、

 選んで頂いてるの‥‥前開きの‥‥。』(..ここで...差をつけるわ...。)


『‥‥‥うちのダー様って変態の事?』

(...ネー...かなり...本気だ...。)


『ジュリ‥‥変態はやめなさい‥‥。

      確かにあの方は、ムッツリですけど‥‥。』

(..私は...沢山...お見せしますけど...。)真面目に応える。


『そうなんだ‥‥‥。』ちょっと落ち込むジュリの顔を見て、


『あなたも頑張りなさい。もしあの方を想っているなら‥‥。

 後で、私も見繕みつくろってあげるわ。サイズの小さいのをね‥‥。』

(...ジュリもなのね...やっぱり...。)


『ちょっとーー! ネーーーーー!!』

(...ネーは... ...スタイル... ..良いから...。)


 顔を赤くして怒るジュリ。


『ジュリねぇ‥事実にゃ‥‥。』アリーがポツリ。


『うぅぅぅぅ‥‥アリーまで‥‥。』泣き顔のジュリ。


 先ほどの綺麗な女性店員さんが、「例の物」を持って来る。

 アカリの前で『はい!こちらになります。』と見せる。


 アカリは、真っ赤になって”モジモジ”する。『コレですか‥‥?。』


『”あっはははははは”‥。』今度は、腹を抱えて笑う。


『これが‥”ハハハ”‥アカリねぇ‥情報にゃの‥?』アリーも笑う。


 見せられたのは、赤の前開きボタンが2つ付いてる...。

 ノースリーブのトップス。


 アカリは『もちろん頂きますわ‥‥着てみますわ。』

 恥ずかしそうに”ジャー”とカーテンを閉めて、試着室に入る。


 ジュリとアリーのやり取りを見ていた、

 周りの店員さんも”クスクス”と、笑う。

 

 ジュリとアリーは、笑いながら試着室に2人で入る。


 試着室に入ったアカリは、赤のトップスを着てみる。

 ボタンを2つ外し、鏡を見てみる。


『あら‥‥意外と良いわ。コレならパメラ姫に負けないわね‥‥。』 

 前から黒のセクシーが”飛べます”と、臨戦体制。


 ”ジャー”とカーテンを少し開けて、顔だけ出す。

 綺麗な女性店員に、

『同じ色の超ミニのスカートを探していただける?』

 意外にも満足の顔。


『かしこまりました。』と、急いで探しに行く。


 隣の試着室では、ジュリに色々と充てがうアリーがらす。

『ジュリねぇ‥‥大きさが違うにゃ‥‥合わないにゃ。』


『もっと詰めれば‥平気よー‥”ははは”‥‥。』乾いた声。


『だって‥‥もう3つにゃ‥。取りに行くにゃ‥?』仕方なくの声。


『‥いい?‥‥もう少し入れてみたいから‥‥お願いできる?』

 ”ジャー”とカーテンを少し開けて、アリーが取りに行く。


『身体って‥‥魔法でなんとか‥‥ならないのかなぁ?』”ポツリ”。


『ジュリ‥‥神代の魔法の中に変化させるのが有るって、

 書いてあったわ。魔法だけではなく、薬の処方も必要らしいわ。

 でも、材料は希少で、大陸では、僅かしか見つかってないらしいわ。』


 隣の試着室からアカリの声が‥‥。


『ネー!!!それ本当???』驚きの声。


『本当‥‥よまだ解読できない文字があって‥‥

 薬の調合の仕方がわからないのが、いくつかあるけど‥‥。』


 ”ジャー”とカーテンを開けて、出ていこうとした時に、胸元から、

 半月の物が”ポトポト”落ちて”スカスカ”に‥‥。付けていた、

白と黒のボーダーセクシーが、ずり落ちそう...。”モフモフ”の両手が隠す。


『間一髪にゃ‥。ジュリねぇ慌てて‥‥どうしたにゃ??』


 ジュリが片手で、胸を抑えながら朱くなって....。”ポトポト”を拾う。

 間に合ったアリーも拾う。お洒落な店員さんは、困り顔。


『だって‥‥ネーが凄いこと教えてくれたから‥‥。』


『何を聞いたにゃ??僕に手伝える事かにゃ??』

 アリーの耳元で”ヒソヒソ”話す。耳が”ピーン”となって、目が見開く。


『‥凄いことにゃ‥僕も‥‥教えて欲しいにゃ!!』声を張り上げる。


『‥‥なんとか‥ネーから教えて貰おう‥‥。』


 隣のアカリは、綺麗な店員さんから、

 超ミニの同色のスカートを受け取り、

『いいわね‥‥これでうちの‥‥。』呟き、満足していた。


 ”ジャー”とカーテンを開けて、出て来る。


『これの色違いのセットを何点か‥‥それと色を揃えた、

 ストッキングか、タイツもくださいますか?』

 綺麗な店員さんは、頷いて用意しに行く。


 隣の試着室の前で『ジュリ、見せてみなさい‥‥。』


 ”ジャー”と、カーテンを開けて入る。

 ”スカスカ”のままの、ジュリにアリーは、詰め物をしてる。

『ネー‥‥このボーダーは、どう‥‥?』


『似合ってるわ。やっとあなたも、気にするようになって嬉しいわ。』


『良いにゃ!僕は”スカスカ”でもオーバーオール着てるにゃ。

 目立たないから‥‥大丈夫にゃ!!』3人で笑う。


 これを聞いていたお洒落な店員さん。


『昨日、入荷した‥お胸に直接貼るタイプの、サイズUP商品が‥。』


 ジャー”と、カーテンを開けて顔を出し、

『えーーー?? そ・それって?‥』ジュリがそれに喰らい付く。


『‥少々お待ちください。』お洒落な店員さんは、奥に行く。

 

『‥こちらです。 自然な膨らみを生み出す、

       ‥最新の魔道具「ヌーブラン」です。』と、渡される。

   

3人で触ってみる。感触を確かめる。


『あら‥ジュリいいんじゃないかしら‥付けてみれば?』

 

『‥っし・試着‥出来ますか?わたし欲しいです!!』朱くなる。

         

『ジュリねぇ付けるにゃ!! 』

 

透明な半月型で、それは付けると、自分の肌色に馴染み、

 2サイズまでUPできる優れもの....。

 

「ヌーブラン」を貼ってみる。ボーダーのセクシーを付ける。

 すると‥‥ジュリの胸に大きな谷間が出来る。

付けてみたジュリは、『最高ーーこれ絶対買うーー!!』叫ぶ。 


ジュリは、興奮して新しく選んだ服に着替えて、

”ジャー”とカーテンを開けて、3色のボーダーセットを手に持ち、

お洒落な店員さんに渡して、

『今、着てるこれも、この3種類の‥‥あと緑のも、全て買います。

魔法耐性の付与された物って‥‥、

わたしや‥ネーが今、着てるのって付与されてますか?』

「ヌーブラン」を付けた、胸元を自慢げに‥‥アカリを指して聞く。


『当店の衣類は、下着から全て、魔法耐性が付与されておりますが、

初級魔法程度の耐性で‥ここで少し説明を‥‥「ヌーブラン」は‥‥。』

色々な説明をしてくれる、お洒落な店員さん。


『わっかったにゃ!ありがとうにゃ‥。』

アリーも店員さんの親切な説明を聞いて、お礼を言う。


『わたし‥‥シャツやスカートを何着か探すわ。

           アリーも何着か‥‥ネーは?もういいの? 』


『着ていたチャイナ服の色違いと、あとはダー様が、

     気に入るような服ね、高さのないヒールも何足か買うわ。』


『わたしも服と‥‥靴を何足か買うわ。アリーもハイカットを買おう!』


3人は、探しながら、『あ、これ、アリーこの色似合うーー!』


『ジュリも、このチャイナなら、前も開いてないし‥‥どう?』


『ジュリねぇ‥‥このチューブトップと、紺の上下‥‥。

           ブラトップのこの色がお似合いにゃ!!』


3人は、取っ替え引っ替え、着替えてみる。


『これにしましょう‥‥。』アカリが男物の服を1着取る。

アリーとジュリも、それを見て頷く。

         

『わたしが‥‥変だーに渡したい。』 ジュリが”ポツリ”。

アカリとアリーもそれを聞いて頷く。

      

 『ジュリ‥‥あなたが言い出したことだもの‥‥。』

 優しい目でジュリを見るアカリ。


やり取りしながら、新しい服を選び終えて、アカリが代金を支払う。


『え?いいの?ネー、わたし‥‥高いよ多分‥。』『‥いいにょ?』


『大丈夫よ。依頼料がたくさん貰えるはずだから。』


 3人は、顔見合わせ”ゲラゲラ”と笑って、


 「魔道具と雑貨・服の店 キャリーズ パミュ」を後にした。

 


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