第4章 それぞれ

第27話  サーシャの居る食堂

 


依頼を受けた俺達は、宿屋に帰る。


ダンジョン踏破から、まだ1日‥疲れは、身体に残っている。

ここで一旦ノビが、自分の宿泊先を出て、俺達と同じにするために、

昼飯時に、妹の働いてる店で、合流しようと決めて、別れた。

宿に着いて、女将さんにその旨を伝え、1人部屋を追加して貰った。

俺と同じ部屋でも良かったんだが。


(..パメラのあの顔...アカリも??...。)

 

 部屋に着いて、そのままベッドに横になる。


 (...師匠......遂にS級冒険者に成れました......

 ...... 一体どこにいるんですか?...会いたいです...。)

          ・

          ・

眠ってしまったようだ。


”コンコンコン”ノックの音。『ゴクトーさん‥‥。』

呼ばれて目を覚ます。また”コンコンコン”ノックの音。


『ああ‥‥今‥開けりゅ。』(...あ...また...喋りは苦手...。)

起き上がり、ドアに向かう。


『皆んな待ってますわ。お昼の待ち合わせ時間に、遅れますわ。』

ドアを開け、まだ目をこする俺を見て、笑うアカリ。


『行きますわよ。』また、腕を取られる。


『あ・あ・ちょっと待ってくれ‥部屋の鍵‥。』


綿パンのポケットから鍵を出し、ドアを閉める。


『夜は、鍵をかけないでいただけると...。助かりますわ。”うふ”』

 腕にボインを押し当てながら。”クスッ”と笑う。


(...おいおい...”クスッ”って...。)


顔に血が昇る。『い・行こう。』


『遅ーーーい!!ネー!!甘やかさないの‥うちらの・変だーを!!』

 (...また......ネーに...何か.....された...。)


いつも睨むジュリ。

(...変だー?...変態と呼べないし.....リーダーとも呼べずか...。)

  

『アカリちゃん‥‥しれっと。またゴクちゃんを!』

(...まずいわん ...これでは.. ...ゴクちゃんが...。)うらやましがるパメラの目。

『行きましょう。』(...離さないわ...。)   

ボインに押し当てながら、腕を引っ張るアカリ。

 

 (...この2人.....張りあってる?...。)

 

『おなか空いたにゃ‥‥。』お腹をさすって、俺を見るアリー。

 (...ゴクトーにい...大変にゃの...。)


 俺達も付いて行く。宿屋を出る俺達。


歩いてると....。すれ違う冒険者から、羨望せんぼうの眼差し。

性懲しょうこりも無く、”挟まれて”歩いていた。


 『おーーーーーい!先生ーーー!皆”んなーーー!』

ノビが食堂の前で、俺達を見つけて叫んでる。


『遅れてすまん。』挟まれてる俺を見て、”ニヤニヤ”してる。


『貴様ーー!!何をニヤついてる!! ねぇーゴクちゃん?』


(...このギャップが....笑える...。)


『先生のは、あの‥‥何となぐわがりますけど‥‥??』


『うちの‥‥ダー様ですもの‥‥しっかりお支えしますわ。』


(...?ん?...うちのダー様って...言い出したぞ....それも....うちの...。)

 

 パメラが ”キッ”と、 ノビとアカリを、交互ににらむ。


『お腹空いたにゃ‥‥。』頭を”カクッ”と下げる。


(...うんうん...早く食べような.....可愛いぞアリー...。)

 

『早く、早く入ろうよ!!お腹くっ付くーーーー!!』

 皆を、腕を広げて入口の方へ押し出すジュリ。


『いらっしゃいませ。皆様どうぞこちらに‥‥。』

 サーシャが、出迎えてくれた。

 俺達は、この前座った長いテーブルに、案内された。


アカリ・俺・パメラが同じ長椅子に座り、

ノビ・ジュリ・アリーが、対面に座る。  メニューを皆で見る。


 『いらっしゃいませ。』あの女の子‥マリアがこちらに来る。

 『今日のオススメが何か聞きます??』笑顔のマリア。


 『ああ。』『この前のシチューも美味しかったですわ。』

 『あたいも今日はゴクちゃんと‥‥同じにするわよん。』


 (...ここでも張り合うの?...。)


『んなら俺も‥‥それにするんさ。』


『貴様は!!賄いで色々‥‥まぁ‥‥良いか。』

     

(...ん...?珍しい.....師弟コンビ...。)


『オススメって何!!何!!何!!』 ジュリもお腹空き過ぎ。


『僕もそれにゃ。』また”カクッ”のアリー。


『オススメは、トマトと牛肉のタリアータパスタです。』マリアは苦笑。


 『それで頼む。』『私は、サラダとスープもお願いしますわ。』


 『わたしもーー!!ネーと同じの‥‥アリーも?』


 『同じのがいいにゃ。』またまた”カクッ”のアリー。


『貴様も同じでいいな!』ノビは、顔が”ヘラヘラ”になり、頷く。


『では、皆様‥‥同じパスタで‥父も喜びます。』

 軽く頭を下げ、厨房に向かう。


(...あのスキンヘッドのマスターの娘だったのか...。)


『あの子‥ハキハキして態度もよくって‥‥いい子ですわね。』

『”ふぅーーー”。』アカリが、厨房の方を見てる俺の耳に吹きかける。


皆は、会話に夢中だ。俺の顔に血が昇る。


『ゴクちゃん‥‥アカリちゃんと何を話しているのよん。』

 『”ふぅーーー”。』 パメラが、同じく俺の耳に吹きかける。


食堂で2回も、「テント」を張り、真っ赤になるのがわかる。


(...やめてくれ... ..2人で「テント」を... ...張り合うな...

 ...ただでさえ... ...まだ挟まれて座ってるのに...。)


2人の「ボインの圧」が、収まるどころか。激しくなる。


『アカリちゃん...。』『パメラさん...。』火花を散らしている。


(...やめてくれ......圧のダブル攻撃....張り合うな...。)


ジュリが、また俺を睨む。(...ジュリさんや...なぜに...睨む...。)


2人が、俺の腕の引っ張り合いをしてると.....。


『お待たせしました。』マリーとサーシャが、パスタを運んでくる。


『美味そうにゃ。』やっと笑顔のアリー。フォークを掴む。


”ぐぅうううう” 腹のなる音。 (...超恥い......。)


ジュリが恥ずかしそうに朱くなり、俺を見る。


(...ジュリさんや....前回も...。)


『いただこう。』腹の音を聞いてない素振りで、皆を促す。


皆、お祈りして『『『『『『 いただきます! 』』』』』』食べ始める。


サーシャが、サラダとスープを持ってくる。『お待たせしました。』


『ゴクちゃん‥‥はい‥あーーーん‥してん。』

パスタを”クルクル”巻きながらパメラが、俺の口に入れようとする。


 『先生ーー俺にも。』あーーーんと、大きく口を開く。


『貴様に食わせてやると思うのか!!この馬鹿が!!』

 

 恒例のやり取りを見ていたサーシャが、

『お兄ちゃん‥‥もしかして‥‥先生を??』


 『そうなんさ‥‥。』照れて”ヘラヘラ”する。


『貴様!!何を‥‥立場をわきまえろ!!年も離れすぎだ!!‥‥。』

 真っ赤になって俺を見るパメラ。


『年なら、サーシャだっで‥‥離れだ人ど‥‥。』


『ちょっとぉ‥‥お兄ちゃん‥みなさんの前で‥恥ずかしい。』


『おめえが、さぎに俺と先生のごと、言うがらなんさ。

親父は‥‥認めでるみてーだから、はやぐ嫁に行けば、いいんさ。』


サーシャは、厨房の方を見て.....。『お兄ちゃん!!声がデカい!!』

 

お互い赤くなりながらの、やり取り。


『まぁ‥‥マリアの事で踏ん切りが、づないのか‥マスダーも。

あだらしい‥お母さん。年も、ちがいしな。』


『マスターには、奥方様がいらっしゃるの?』

会話に割って入るアカリ。 


『奥さんは、マリアが、小さい時に病気で...。亡くなったらしいです。』


 サーシャが小声で言いながら、また厨房の方を見て、気にする。


『なら平気じゃん!!奥さんがいるならあれだけど‥‥。』

ジュリも口を挟む。


『そうなんですけど‥‥。』サーシャは、また赤くなり、厨房の方へ。


食事しながら急に、耳を”ピン”と立てて、

『強いオスは、いっぱい嫁を取るにゃ!!

          いっぱい取るにゃが強い証にゃ!!』

 口周りをパスタソースまみれで言うアリー。


『私は、他に側室がいても...。平気ですわ!』鼻息が荒くなるアカリ。


『あたいも平気よん‥‥王族や貴族では‥‥当たり前のことよん。』


(...2人共.....姫様達ってそうなんだよな....当たり前なんだよな...。)


『なら俺は先生のになるんさ!!』”ニカ”っと笑うノビ。


『貴様など誰が!!』睨みつける。  お家芸の”ケロッ”。


食べてる最中にも、恒例のやり取り。見てて飽きない。

 

”ニタリ”と、笑ってしまう。


『ネー!! 変だー!!パメラさん!!アリー!!

食べ終わったら、また「キャリーズ パミュ」に寄っていこうよ!!

服は買ったけど、、ほら依頼も...あるから‥‥装備も新調したいし!!』

ジュリは1番に食べ終わり、俺達に同意を求める。


(...ジュリさんや... ...俺... ...変だー?...少しはマシか...

 ...俺は遠慮するよ... ...昨日の今日だからね...。)


『あたいは、あの店の感じ‥‥じゃ無いから、行きつけに行くわん。

 きっとゴクちゃんにも、似合うものが、あるわん‥‥。』


 俺の腕をダイナマイトセクシーに”ぐいぐい"ぐいぐい"押し付ける。


『そんなら俺も、先生ど行くんさ‥‥追加の装備が欲しいんさ。』


『貴様!!あの‥‥カエル装備で‥‥追加も何もないわ!!』


 ”怒鳴り”つける。お家芸の”ケロッ”に、俺は、爆笑。


『”ははははは”‥‥2人で行ってきてくれ。俺は、寄る所がある。』


『『え!!何処に!!』』


 (..2人でハモらんでも.....うちのメンバーは、ハモリが...。)


『なら私達と一緒に‥‥まだお好みを選んで貰ってないですわ。』


なまめかしく言うアカリ。


顔に血が昇り.........。『いや、ジュリとアリーで行ってくれ‥‥。』


『‥‥えーーー‥‥。』なぜか声を出すジュリ。


『ジュリ??どうかしたの?』『ジュリねぇ??』


『だってぇ‥‥変だー‥‥のお返しに‥‥お礼に‥‥。』

 小さい声で朱くなるジュリ。


(...?ん?......急にどうした?.....ジュリさんや...。)


アカリが急に席を立ち、ジュリとアリーの3人で、打ち合わせをする。


『食べ終わったら‥‥各自で買い物に行きましょう。』


 (...やっぱりリーダーは....あなたです.....デス姉...。)


 食べ終わったので、俺達は、席を立つ。

  

出口のキャッシャーで待つ、サーシャに伝票を渡され、

『ご馳走様。オススメ美味かったよ。』と、金貨10枚を渡す。


『え!多すぎます。こんな大金‥‥。この間も‥‥。』

『結婚資金だ。』サーシャは、赤くなって俺達に頭を下げる。

 皆.....サーシャに、微笑みながら食堂を出る。


パメラとノビ。アカリとジュリとアリー。俺は、1人。


(...パメラ嫌そうだったな...ノビは、追いかけるの大変そうだ..。). 


 別々の道に......。買い物に行く。


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