第26話  昇格



 店を出て、ギルドに向かう。歩いてると‥すれ違う人々から、

 羨望の眼差しで見られる。また、”挟まれて”歩いていた。


 レッド・バードの超ミニワンピは、前が大きく開いてる。

 そこから黒の大人セクシーが、「見てください」と仰る。

 俺の左腕がガッチリ。見てくださいに、襲われている。

 紅い大きな三角帽に、黒網タイツ。紅いヒール。


 (.....そりゃぁ目立ちますよ...パメラさん...。)

 

白のチャイナ服...これも前に、丸い穴が開いてる。

丸い穴から谷間のオレンジを、「収穫してください」とも、仰っている。

ガッツリ入ったスリットから、「下のオレンジ」も、熟れ頃を匂わす。

纏め上げた髪に白い簪。ベージュのストッキングに、白いヒール。

こちらも右腕をホールド。プルンプルンだ。


(...デス姉.....張り合ってる...。)


 後ろの2人は、手を繋ぎながら歩いてる。ホント仲がいい。


 紫陽花あじさい柄の白いTシャツと、茶色のデニムのオーバーオール。

 赤いキャップと、赤いハイカットシューズ。”ふりふり”の尻尾。


 (...可愛いい.....似合ってるよアリー...。)


銀の平なチューブトップに、紫の肩紐がセクシー。

ヘソに、紫色の宝石がついた銀のチェーンピアスが、

歩くたびに揺れる。 デニムのキュロットパンツ。

インディゴ色の三角帽。素足に銀のスニーカー。


(...ジュリさんやお胸が...お戻りになられて...目立つなよな俺達...。)

  

 皆、お洒落だなと感じる。いつの間にかギルドに着く。


 入った瞬間『ぉおおおーーーーー。』と、冒険者達の声が上がる。


『ダンジョン踏破したメンバーだろ。』


『桃色姉妹と仲間達だろ?』


『リーダーは、あの桃色の髪。白いチャイナの美人だろう?‥‥。』


『おお‥いいなぁ。俺は、レッド・バードの‥

              ‥‥大人の色気も、たまんねぇ。』


『あのちっこい獣人も、可愛いけど、実力が半端ないって、聞いたぞ。』


『あのヘソのピアスが、揺れてるのが、妹か?』


『妹も美人だなぁ。でも俺は、‥‥大人のスタイル満点を選ぶな。』


『真ん中のテンガロンの奴。介護されてるのか?』


『テンガロンの奴は、顔色が悪いぞ‥鼻血‥‥‥か?あれ?』


『テンガロンハット‥‥今時、どうなんだろうな‥”ふっ”。』


(..おいおい...俺だけ悪口だぞ...。)


『ちょっとーー!うちらのリーダーを馬鹿にしないでーー!!』

 (..あなた達には.....この人の良さが... ...わからないのよ...。)


『そうにゃ!!』後ろに居た2人が、フォローしてくれた。


(..ありがとね..2人とも..。)野次馬冒険者達は、”あんぐり”。


『ゴクちゃんの実力も知らない....。あんた達は、何様よん?』

(...「S級」よん.....夜は...「ねんね」...だけど...まだねん...。)


『そうなんさ‥‥ゴクどーさんの実力を、皆んな知らねぇんさ!』


『ん?貴様何故ここに居る!!』『『『ノビーーーーー!!!』』』

 

 ”ヘラヘラ”っとしたノビが立っていた。


『先生‥‥俺も呼び出されたんさ‥‥支部長さんから、

うじの親父に、親父からサーシャ。そんで俺は、今ここに居るんさ。』


『貴様もなぁ‥‥ 一応はなぁ‥‥ 一緒に潜ったからなぁ‥。』


(..相変わらず恒例のやり取り.....ギャップ好きの俺...。)


『いじおう俺も....。リリゴパノアですがら‥‥。』


『そうね。ノビも行きましょう。私たちの仲間ですものね。』


『アガリさーん‥‥。』抱きつこうとした瞬間。かわされる。


『貴様ーーー!!何してる!!』ノビの顔が....。パメラの胸に命中。

 

 ”バシッバシッ”往復ビンタの攻撃にあう。

 それでも”ケロッ”としてるのは、流石さすが


 (...ある意味お家芸だな.....タフな奴だ...。)


『あのぅ?お取込み中すみませんが‥リリゴパノアの方々ですか?』


 『そうよ!!何!!』受付嬢が引く。桃色の妹の圧。


『応接室で、支部長がお待ちです‥どうぞこちらに‥。』

 応接室に案内される。


 ”コンコンコン”と、ノックして、

『‥失礼します。リリゴパノアの方々をお連れしました。』


『どうぞ‥』渋い声。ドアを開けて入ると、支部長が待っている。


 ナイスミドル。茶髪のオールバックに青い瞳。

 茶色の眉と切り揃えられた口髭。目鼻立ちが良く‥。

 いかにもイケおじ。紺色の3つ揃えスーツが、パリッと。

 茶色の革靴もお洒落を引き立て、上品。村長兼任も頷ける。


『掛けてくれたまえ‥お初にお目にかかる。支部長のハウゼンだ。

 昨日は、失礼した‥村長も兼任なのでな‥。』頭を軽く下げる。


 俺達は、ソファーに座る。


『ダンジョン初踏破のパーティーだ。おめでとう。

まさか10日で攻略とは‥正直驚きだよ‥‥。

昨日ギルド本部にダンジョン踏破の連絡をしたんだ‥‥。

本部も、君達パーティーの実力が本物だと認めたよ。

それでなんだが‥‥君達個人のランクを格上げし、

「Sランクパーティー」にと....。本部通達があった。』


『えーーー!!』ノビが叫ぶ。


他の皆は薄々わかっていた。パメラは、それが目的。

姉妹からダンジョン攻略して、ランクをあげて貰ったのを聞いている。

アリーも姉妹達と一緒に、ランクがAになってる。


『そこで君達に相談というか、依頼なんだが‥‥。』

 ハウゼンは、口ごもる。


『何!何!何!依頼?どんな依頼??』せっかち丸出し。


『ジュリ‥‥話は、最後まで聞きなさい。』淑やかな声。


『俺もなんならA級になったんさ。きぎますよ依頼‥‥。』


『貴様は踏破してないだろうが!!!昇格などせん!!!』


(...”ケロッ”してる......恒例の...。)


『ノビ君‥君は、「S」ランクパーティーの一員だが、

個人のランクは、上げられないんだ‥‥。

攻略踏破の証明書が無いと‥‥‥決まりでね。』


『パーティーは、「S」だがら、俺。』


がっくりするかと思ったら、”ケロッ”と、右の親指で自分を指す。


『どのような依頼なのでしょうか?』デス姉・影のリーダー。


『ここから60km程離れた北西の山々がある「ハゴネ」地方で、

ワイバーンらしき魔物が、数頭目撃されてる。

この村にも襲って来るかもしれない。

そこで君達に、現地調査と討伐の依頼を、引き受けて貰いたい。

S級のリンクスが、ダンジョンから戻らないのでね‥。』



俺とジュリが『!!』お互いに顔を見合わせる。


俺は、視線でジュリに軽く合図する。ジュリも合図を了承した。

 

(...あの悪魔つきの名前は...俺とジュリしか...知らないからな...。)


皆、黙り込む。


『僕の魔導銃でイチコロにゃん!!』いきなりアリーが声を張る。


『アリーなら余裕よねーー!!変たーい、受けて‥‥!!』

(...流行り......紫....これ?...。) 


『ジュリ!いい加減に!!リーダー様を、変態呼ばわりしないの!』


(...リーダー様??...デス姉さん...ん??...。)


『ゴクちゃん、‥‥もちろん‥あたいも‥‥行くわよん。』卑猥ひわいな声。

 (...討伐...遠征...野営...「S級」...)


『ゴクどーさん...。俺もいぎます‥。』『貴様!!今度こそ‥死ぬぞ!!』


(...”ケロッ”してる...恒例の...なんだかんと...

...パメラは教え子を... ..心配してるんだなぁ...。)


『パーティーリーダーのゴクトー君の意見は、どうなんだい?』


(...ハウゼンさん.....これって受けろってことですよね.....ワイバーンってあのドラゴンみたいな奴ね....師匠に巣にほって置かれて偉い目に...。)


『わかった‥‥引き受けよう。』 ....皆も頷く。


『討伐したら魔物の素材は、こちらで買い取らせてもらう。

もちろん討伐の依頼の報酬も、別で払う。

ワイバーンの素材は、高く売れるからね‥”ははは”‥。』


(...ちょっと嬉しそうだな....ナイスミドル...。)


 魔物の素材を、買い取るのも、ギルドが担っている。

 ギルド職員の中には、解体専門で働く者もいる。


『君達の冒険者カードを渡してくれ‥‥。ランクUPして作り替える。

ノビ君も、「パーティー所属登録」されるから、

個人ランクは、Bランクカードだが‥黒の縁取りになる。』


『先生‥‥俺‥‥うれじいんさ‥。』パメラに抱きつく。


『貴様!!‥‥命を落とさん様にな‥‥。』避けずに、受け止める。

 

(...めずらしい.....どうした?...。)


『貴様〜〜〜!!わざと顔を胸に....擦り付けるでない!!もう離せ!!』

(...この場で...コヤツ......を...。)

”バシッバシッ”と、往復ビンタのお代を受けても、”ケロッ”と。


(...もうこれネタでしょ??...。)


ハウゼンは、ビックリしながらも、俺達からカードを受け取り、

一緒に受付の方まで来て、ギルド職員と、カードの作り替えをする。


俺達は、カードを貰い、各自で確認する。

白金色のカードには黒の縁取りで、

左上にSランクと表示され、その横には、金のアミュレットがついてる。


ノビの銀色カードも、黒縁されてる。


『やっと貰えたにゃ!!やったにゃ!!』


『ネー!!とうとうなったね「S」!!変だー‥ありがと。』


(...ん?...変だー?...お礼....ん?..アリーも可愛いぞ...。)


『ゴクちゃん達のお陰よん‥‥。』すすり泣く。


『先生のおがげなんさ‥。』泣く。『貴様は、そのままだろうが!!』

  

(...はい”ケロッ”してる......恒例のネタ...。)


様のお陰ですわ。』デス姉がまた....。


 (..ん?...うちのリーダー様??.....

...腕を拉致るのは、やめて...皆...見るから...。)    


 俺達は、......「ノビ」を入れたS級パーティーになる。




 

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