第24話  帰巣

 


無事に、山分けを終え、部屋に帰ってベッドに入り、横になる。

疲れてたのか、すぐ眠ってしまった。



夢を見た。


小柄な女性に、手を繋がれてる‥子供の頃だ。

見た事も無い所に、連れて行かれ...置いて行かれる。

顔は、わからない‥‥。


そこで...目が覚めた。

教会だったのか??思い出そうとしたが‥‥。無理だった。


窓が明るくなってる。『ぅ”はぁーーー” 』欠伸あくびをして起き上がる。

まだ身体は、だるい。 寝ぼけて目が、あまり開かなかった。

宿に、泊まっているのに「テント」を、張っている。

身体は、元気だと再確認して、目覚めを良くするのにベッド横の、

3点式ユニットバスに入り、シャワーを浴びる。

頭を洗い‥‥抜けた自分の髪色を確認。銀色と黒色の髪の毛。


『はぁ‥‥。』ため息。


なんで、こんな髪色なんだ。シャンプーで”モクモク”に泡立てる。

シャンプーが目に入り、片目をつむりながら‥‥。

落ち込んでいると‥‥。


”ガチャ”‥‥音が聞こえて?? 羊頭ひつじあたまの半身で振り返る。片目で見る。


『ゴクトーさん。お・お背中流しても?』顔を朱くした‥‥、

白のTシャツに、グレーの短パン姿のジュリがいた。


『???』顔に血が昇り‥‥前を向き‥‥すぐ両手で下を隠す。


ジュリは、背中の傷跡を指でなぞる。


(...おいおい....急に...どうした....ジュリ?...。)


『お‥おい‥ど、どうして部屋に?』動揺と緊張でどもる。


『お礼を‥‥ちゃんと言ってなかったから。

‥皆んな起きる前に‥‥ノックしたけど、返事も無いし‥

‥まだ寝てるのかなぁと、思って入ってきたら‥‥

           ‥シャワーの音が聞こえて‥‥。』


 『はぁ...。そ・そうか鍵‥‥閉めてなかったな。』


『そんな恥ずかしがらなくても‥‥怪我の時、アリー以外は、

      皆んな見たよ‥‥身体。』ジュリは、また傷をなぞる。


『そ・そ・そうか...。』顔に血がまた昇る。


『変態・変態いつも言うくせに‥‥お前が‥』言いかけて、

猛烈な「ハリケーンゲンコツ」『ゴン!!』が、後頭部に襲い掛かった。


『 イタッ!!』


『背中‥‥流すって言っただけよーー!この変たーーい!!』

(...バカバカバカ....わからないの?...。)


キレて”バッターン”と、バスルームのドアを閉めて出ていった。


(...キレッ....パッターン...ったく...何をしたいのやら...。)


頭を洗い、ゆっくりと湯に浸かり『”ふぅ”。』「テント」を沈めた。


ゴクトーの部屋のドアの前に、寄りかかるジュリ。


(...バカ......わたしのバカ...

...あーあ.....ちゃんと.....言えなかったな...。)真っ赤な顔。


 『はぁーー......。』深く溜息を吐く。


”パタパタ”と...スリッパの音を、鳴らしてパメラがやって来る。


『あら‥‥ジュリちゃん。もしかして‥?』

(...この子....ゴクちゃんの...S級もう見たの?...。) 


いぶかしい目で、ジュリを見るパメラ。


『ち・ち・違うの‥‥こ・ここに来たのは...変態にお礼を‥‥』

(..あちゃー...やらかした...パメラさんも?...。)吃るジュリ。

伏せ目で、照れながら‥寄りかかっていたドアから”サッ”と、離れる。

ジュリは、目的は、わかってはいたが...。『...パメラさんは?』


『あたいは、ゴクちゃんと‥‥昨日は邪魔が入って‥「S級」の‥

‥夜這い..出来なかったからねん。』 (...邪魔しないでよねん...。)

 舌舐めずりするパメラ。


『えーー!!き・昨日??』パメラに驚く。

 (...いつの間に...あれ....S級?....A級のはず...。)


『あたいが一番に入ったでしょ‥お風呂。貴女達姉妹とアリーは、

一緒に入っていたから、その隙によん‥。そのせいでバカ生徒に、

恥ずかしい姿を、見られるハメになったけど!!』

(...思い出したら.....腹が立つわねん...。)

      

急に青筋を立てるパメラ。


『だって‥‥わたし達が、お風呂から出た時は、部屋に‥‥、

ああーー‥あの時‥‥やたら不機嫌だったのって‥。』納得のジュリ。


(...ん?...。)

ドアの前で、ジュリとパメラの声が聞こえる。 

風呂から出たいた俺は、タオルで拭き上げ、着てた寝間着に着替え、

魔力操作で...白茶色の髪色に変える。


 ”ガチャ”『あのーー...。俺の部屋の前で...何してる?』

ドアを開けて、顔を出した。


『ゴクちゃん‥あら‥‥お風呂上がり‥‥ちょうど良かったわ‥

  部屋に入れてよん‥‥すぐにあたいも...シャワー浴びるわん。』


生唾を飲み込み。『いやいやいや‥。』てのひらを振る。顔に血が昇る。

『教えてあげるって、言ったじゃないのん‥「S級の指導」‥するわん‥

これでもあたい‥先生よん‥。』人差し指を唇にわす。


(...そう...なのか?...ん?...まだ俺...A級...だぞ...。)


『たっぷり教えてもらいなさいよーーー!!この変たーーい!!』

”パシッ” ビンタして‥。『”ふん”』と、鼻息を荒くして、

『”ふんふん”』して部屋に戻っていく‥‥。


(...”痛!” .....右頬...ジュリ.....あれ?.....左利き?...。)


『あらぁーー?ジュリちゃん?‥‥。待ってー!!』

 ”ニヤッ”として、ジュリを追うパメラ。

 

(...”ふん”??......頭と頬.....とばっちりだ....?ん...。)


右頬をでる。  なぐられ損の俺...。


ドアを閉めて...。(...なんとなく...スッキリしないが...。)


着替えようとする...。  今の服は、もう”ボロボロ”だ。

(...服が無いなぁ.....買わないと...。)


仕方なく師匠が着てた服を、「アイテムボックス」から出す。

(...なんか......スター◯ォーズのオビ◯ンみたいな服...。)

                                 着てみる。 3点式バスの鏡で見る。 苦笑。 がっかりする。


(...似合わん....貫禄かんろくが無いと無理なんだな...

 ...師匠は...似合ってたのにな...。)


 ”コンコンコン”ノックされる。


『ちょううと、待ってくださいい。』あせって、変な返事をしてしまう。

『食堂に行きませんか‥?  皆んな向かいましたよ。』

ドア越しにアカリの声。

 

『わかりました。着替えましゅ。』(...喋りは苦手...。)


『”クスッ”先に行ってますわ。』笑ってる。(...可愛いいですわ...。) 


ドア越しで応えて、足音が少しずつ...遠のく。

仕方なく、また、寝間着に着替え、部屋を出て食堂へ。


食堂に入ると、女将さんや女中さん達が、齷齪あくせく働いている。

やはり...冒険者のパーティーが多い。

皆がいるテーブルに向かう。皆、昨日の夜と...同じ格好。


ジュリは、俺をにらんでいる。

ジュリと交互のジト目で見るパメラ。

『??』アカリが不思議そうに見る。

『おはようにゃ!』アリーは、もう...フォークを握りしめてる。


『ダー様‥着替えてたのでは?』恥ずかしそうに ...目を伏せるアカリ。


(...うん...ごもっともです...デス姉さん..?ん...ダー様...ん?...。)


 『服が”ボロボロ”で‥‥。着替え直したんだ。』


『ギルドに行く前に‥‥服を買いに行きましょう。』りきむアカリ。

(...私が....ダー様に...見繕うわ...。)


 『賛成にゃ!』アリーは...跳ねてる。


『ゴクちゃんが‥見繕ってくれるのん?』卑猥ひわいな声のパメラ  

(...チャンスね....見せつけるわん...。)


 『変・変態は...。!!”ボロボロ”の服がお似合いよー!!』

(..バカ......わたし...胸は....自信ない...。)


(...わかりやすい反応だな...。)


俺達は、朝食を食べて、早めに出かける事になった。


(....どうしよう......オビ◯ン.....着る?...。)


食事を済ませ、皆、もう一度部屋に戻る。俺も戻る。


”ボロボロ”の服に着替えて、用意をしてると、


”コンコンコン”ノックされた。『どうぞ...。』

『失礼します。』女将さんが、服を手に持って...入ってきた。


『これ‥良かったら着てください。息子のなんです‥。』

半袖のデニムシャツと、茶色のリムフィットの綿パン。


 『え?‥‥。』


『実は、最初に貴方を見た時に息子の面影が‥うちのバカ息子も、

冒険者になったのですが‥もう何年も帰っていません。

なぜだか、貴方を見ると...腹が立ってしまい‥。』


『そうなんですか‥‥。』(...そうか.....だからだったんだ...。)


『ギルドに捜索依頼は?...出したんですか...?』


『はい。‥‥依頼しました。‥何年も前に‥。』


『そうですか‥‥。だからといって、服を頂くのは‥。』


『服は、‥たくさんあります。流行りでは‥ありませんが‥どうぞ。』


『そこまで...。‥では、‥‥お言葉に甘えます。ありがたく‥‥。』


 『お身体には...くれぐれも、お気をつけください。失礼します。』

 女将さんは、部屋を出ていった。


 (...最初の印象と全く違う...こっちが...また...食堂での...話を...。)

 

 女将さんから貰った服...。 

 着替える。 3点式バスの鏡で見る。 微笑。 嬉しくなる。

(...意外に...良いんじゃない...)


 ”ニヤ”けてしまう。この手の服の色は着たことが無い。

 「お気に入りのテンガロン」を被ると結構、様になった。

 (...よし.....これなら...。)

 部屋を出て、皆がいる大部屋に向かう。


”コンコンコン”ノックして‥‥?

もう一度、”コンコンコン”ノックして『俺だけど‥‥。』

‥‥返事がない。入るわけには、いかない。

何を言われるか‥‥特にジュリに。

もう一度...ノックをしようとして、後ろから女中さんに、

       

『皆さん、お出かけになりましたよ。”ふん”』と、され、

‥‥”スタスタ”と、奥へ。


(..えーー!置いて行かれた..「”ふん”」は流行りなの?..。)


急いで玄関に向かう俺‥‥。


『遅ーーーい変たーい!!』『早く行くにゃ。』


『あら‥ゴクちゃん素敵ねん。その格好似合うわよん。』


『‥‥ダー様...素敵。』アカリは小声。


(...皆”ボロボロ”の服なのに...俺だけ...ほぼ新品...すまん...。)


『皆、すまん、女将さんに、この服を、頂いて、着替えてたら‥。』


 『『『『 えーーーー!!!!』』』』驚かれる。


『息子さんが、着てた服らしいんだ...。冒険者だったらしい‥。』


『『『『 えーーーー!!!!』』』』また驚かれる。


『詳しい事は、歩きながら...。行きましょう!!』


ボインに押し当てられながら、アカリに...腕を引っ張られる。


(..デス姉さん....嬉しいんだけども..。)


ジュリが、またさげすんだ目で、俺をにらむ。


『レッツゴーにゃ。』張り切ってるアリーは、嬉しそうだ。


(...うんうん...アリー可愛いぞ...。)


『ゴクちゃん!!あたいも!!』パメラがいきなり、

爆裂セクシーダイナマイトを押し付け、俺の腕を掴み寄せる。


 (...大人のセクシー..柔らかーい...やばい...。)


顔に血が昇る。 ジュリが、またまた...蔑んで睨む。


(...とほほ...。)


 宿屋を振り返り‥‥改めて頭を下げ、歩き出す。

歩きながら、先ほど、女将さんから聞いた話をした。


通りを真っ直ぐ歩く。角を右に曲がってすぐに、

小さな広告看板が付いてるのに、気がついた。


「女将の宿屋 帰巣きそう まちわビルの角を左に曲がってこの先すぐ!」

それを見た俺は、初めて宿屋の名前がわかる。ちょっと...足を止める。


(...きそうまちわびる‥....女将さんらしい看板だ...

...いつかきっと...帰ってきますよ...。) 考え込んでると‥。


 『ダー様...行きましょう。』  『ゴクちゃん...行くわよん。』


両脇の「柔らか」さん達に...挟まれながら、ビヨンドの村を歩く。


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