第23話  山分け



「あの」女将さんが居る宿屋に着いて‥‥受付に居ないので、

 ノビが『おがみさーん‥‥。』と、呼び鈴を「チーーン」。

 奥から来た女将さんは、俺達を見て‥『ノビの知り合いだったの?』

 不思議そうな顔して、”ボロボロ”の身なりの俺達を、見て言う。


『そうなんさ』ノビは、ほこらしげに。


『なんでパン屋の倅が、この人達と?』不思議そうな女将さん。


『魔法学院のこの先生の‥‥生徒なんさ、綺麗な人だろさ。                   

 先生のお仲間ど、ダンジョンに潜ってたんさ。』

 パメラを両手で押し出して、前に出す。

『貴様?!‥失礼した。パメラ・ルシーヌ・カルディアだ。』軽く礼。


 『『『 え≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡!!!』』』姉妹とアリーは、驚いた

((...パメラさん...王族....姫...手強い。))


(...俺は、訳わからず???...ポカーン...。)


『あれ?言わながったんだ?‥‥姫さだって‥‥。』


 赤くなった顔の、パメラにノビが言う。『貴様〜〜。』パメラは、睨む。


『えーーーーーーー!姫!!』   俺も驚いた。


『身分なんて...関係ないのよん‥‥ゴクちゃん。』

(...あたいは...あたいよん...。)


 パメラのギャップに、女将さんは、困惑してたが‥‥真面目に、

『お姫様は、こちらにお泊まり...頂くのでしょうか?』

 丁寧な口調で、宿帳を開き、空き部屋を確認する。


 『『『 ええ。 』』』 パメラ・アカリ・ジュリが、返事をする。


『えーーーーーー!姫さだったの?桃色姉妹‥‥どこの?』

 今度は、ノビが驚く。


 アカリが『ヤマトの国では貴族を武家と呼ぶのよ‥‥。

 そのぅ‥‥武家の娘達は、商人や‥‥人々から姫って呼ばれるのよ。

 パメラ姫のような王族では、無いんだけど‥‥つい無意識に、

 返事をしてしまったわね。‥‥私もジュリも。』


『パメラ姫は、やめてよねん‥‥アカリちゃん。』

(...姉妹も...姫....強敵ね...。)

     

 女将さんは、やり取りを聞いて呆然ぼうぜんとしてる。

『4人の大きい部屋と‥1人の部屋は、空いてるの?』ジュリが急かす。


 女将さんが俺達を見て、

『5人部屋は、空いてますが‥1人部屋は満室で‥

 あいにく2人部屋しか...空きが無いのですが‥‥。』


『それでお願いします。』皆の顔を見るアカリ。全員頷く。


『何泊されますか?‥‥5人部屋は1泊につき、お1人様銀貨12枚で、

 2人部屋は1泊につき、お1人様銀貨8枚です。』


(...女将さんもギャップが?...。)

      

 『何泊するか‥‥まだわからない‥‥。』

 「アイテムボックス」から小袋を出し、俺は、

 金貨を10枚出して、女将さんに『とりあえずは、これで。』と渡す。


 5人部屋の鍵をパメラに、2人部屋の鍵を俺にくれる。

 女将さんが『ありがとうございます。』丁寧ていねいにお辞儀。


 奥に声がけして、女中さん達を呼んで、案内をお願いしている。


 部屋に案内される時に、『私達の部屋で、後ほど‥‥いいですわね。』

 アカリは皆と、5人部屋に案内されて先に部屋に向かう。

『ああ。』 案内してくれる女中さんに、『こちらへ。』

 ‥‥行こうとしたら、『”ふん”』と、例の鼻息が聞こえた。


 俺は、笑い。『またお世話になります。』頭を下げて、部屋に向かった。

 また、『”ふん”』と、聞こえた。


 案内された部屋は、以前に姉妹がまっていた部屋と、

 変わらない広い部屋だった。


 部屋に入ってみると、3点式ユニットバスが付いている。

 大の風呂好き。すぐ風呂に湯を張る。ソファーで座り待っていると、


 ”コンコン”とノックされて『どうぞ。』‥‥ノビが入ってきた。


『皆んな風呂に入って、着がえるがら、食堂行けって言うんさ。』

 ‥‥仕方なくのノビの顔。


 『入って座れよ。』ノビをソファーに促す。


 『お前も風呂入るか?』溜まった湯を止める。ノビは、頷く。


 『先に入れよ。』座ったノビに、バスタオルを投げる。


 『おごどばに甘えで。』ノビが入った。シャワーの音が意外に大きい。


 ノビが、風呂に入ってる間、ベッドで横になった。


 ぼーーーーっと、する。     便意を感じる。


 (...あ.、...ノビが使ってるわ...。)

      

 仕方なく部屋を出て、食堂前の共通トイレに入る。

 トイレに入っている間に、それは起きた‥‥。


         

「‥‥それは、こんな感じ。‥‥」


“コンコンコン”『入るわよん‥‥ゴクちゃん。』返事が無いので、

『入るわよ。』と、パメラが部屋の扉を開ける。(..うふん..。)


 シャワーの音を聞いて‥‥。”ペロリ”と、舌舐めずりして、

 服を脱いで、黒のセクシーレース1枚になり、

『ゴクちゃん‥背中流してあげるわ‥‥。』バスルームのドアを開ける。

(...私が......教えて...あげるわん...。)         

          

(...??っえっ??...。)


『‥ん? ‥一緒に入るの? あれー皆んなど風呂入らながったの先生?

 それっで、見せようどしでた...勝負のパンヅ??やっど見れだーー。』


 全身泡だらけのノビは、パメラに”ケロッ”と、言う。


『貴・貴・貴様ーーーー!!』”バシッバシッ””バシッバシッ”

 片腕で胸を隠し、睨みながらの往復ビンタ2回。

 真っ赤になってドアを閉め、急いで服を着込んだパメラは、

(...なんで...カエルノビに...うぅ...。)


 部屋を出ていった。


「‥‥な‥事が起きていた‥らしい。‥‥」


         

 暫くして...。  俺が部屋に戻ると、

 頬を赤く腫らしたノビが、ソファーに座って、靴下を履いていた。


『ノビ‥‥お前どうしたその頬?赤く腫れてるが‥‥。』


『ありがどうございましだ。いただきましだ。』”ポーー”っと、してる。

『ゴクどーさんのおがげで、良い風呂でしだ。これは‥‥お代です。』

 

風呂場で起きた事を聞いて『タフな奴だ。』と。風呂に入った。


 

風呂から上がって、紺の寝巻きに着替えて、ノビと待っていると、


”コンコンコン”ノックされて、『どうぞ。』


『変たーい、入るよー。』(..なんで...ノビがいるのよーー!!...。)


大きめの白のTシャツに、グレーの短パン。

白のセクシー肩紐が出てる。

いつもより‥‥胸が大きい気がする?。素足で、スリッパを履いて‥‥。

”ペタペタ”と、音をさせてジュリが、入ってきた。


風呂上がりの良い香りを、させている。

『お風呂入ったのね‥‥。寝間着‥‥ヤマトのだよね?』

(...良い匂い..寝間着..素敵...。)


 『ああ‥‥師匠がくれたんだ。』


『似合ってるわ‥変態の癖にね‥‥。』朱くなってる。

 (...まともに...正視できない...。)

『部屋で、皆んな待ってるわ。行きましょう。』

  

俺とノビは、頷いて、部屋を出て、大部屋に向かう。

”コン”『皆んなー入るわよーー。』と、開けると、

良い香りが充満してる。

 

 着替えて、皆、ソファーに座っている。

 ノビカエルは、睨まれながらも、パメラ蛇を見返す。

      

 薄い紫のタンクトップ。大きすぎる胸のせいで、 

 ヘソが出てる。白の短パン。素足で、紅いペディキュア。

 お決まりの黒セクシーが、脇から見える。ノーメイクでも綺麗。


アリーは、可愛いいドット柄のパジャマ。(...んーーん可愛いい...。)


 アカリは、胸元が爆発してる...黒のキャミソールに黒の短パン。

 ポニーテールにしてる。美脚の素足。やはりノーメイク。美しい。


『揃ったわね。始めましょう。』

          

(...リーダーは...やっぱり..アカリにしようよ...。)思う俺。


 俺の「アイテムボックス」、アカリも「万能巾着」から戦利品を出す。

 宝箱を入れる時は、大変だったが、出す時は、スムーズだった。


 ノビ以外は、皆「アイテムボックス」を持っている。

 戦利品を出して並べる。広い部屋が、戦利品で埋まっていく。


 

魔石 大42個・中126個・小388個

 

白金貨 75枚 金貨 678枚 銀貨1846枚

 

黒のローブ2枚 白のローブ1枚 わからないガラクタ?魔道具4個


ミスリルの胸当て1体 ミスリルのレイピア1本


宝石の散りばめられた王冠 3個


宝石の散りばめられたティアラ4個


青い宝玉の付いた長い金杖1本


紫の宝玉が付いた短い紅い杖1本


宝石が付いた金の首飾り 12本 


宝石が付いた金の指輪 26個


宝石の付いた耳飾り 46個(セット23個)


宝石の付いたブレスレット 9本


パールのネックレス 1本  


ダイヤ・サファイア・ルビー・エメラルド等の宝石多数。

宝箱に入っていた...宝石類を数えるのをやめた‥‥。

ノビは、生唾を飲み込んで‥‥緊張して見ている。


『さぁどうやって分けましょうか‥‥リーダー‥??』

「ここぞ」と、ばかりに「リーダー」を使ってくるデス姉。


『皆が欲しいものを...取れば、いいと思うが?』


『それでいいにゃ‥‥‥。』眠たそうなアリー。


『じゃあ‥わたしこれー。』青い宝玉が付いた長い金杖を取るジュリ。


『あたいは、別に財宝目当てじゃ‥‥無いから最後でいいわん。』

(...違う...お宝よ...ゴク...ちゃん...。)


(...さすがカルディアの...お姫様パメラ...。)


『私も...欲しい物がありますわ...。』パールのネックレスを指す。


 俺は、『皆が良ければ...。』皆も「どうぞ」と頷く。


『ありがとうございます。』アカリは、嬉しそうに頭を下げた。

(...これで....あの薬が....。)


 『ノビ‥‥お前も欲しいものがあれば行っていいんだぞ。』


 『俺なんで何も、しで無いのに、

‥‥のごったもんで‥‥ありがどうございます。』

ノビは、また生唾を飲み込む。


(.....どうしよう.....悩む...。)欲の無いメンバーで、困った。


『ゴクちゃんが適当に分けてよん。』卑猥ひわいな声のパメラ。


『それで...いいにゃ‥‥。』アリーは眠そうだ (...寝ぼけてる??...。)


 ジュリも『変態は‥‥リーダーだからね。』『ええ。』と、アカリ。


ノビは、また生唾を飲み込む。‥‥仕方なく適当に分ける。


ノビに、ミスリルシリーズと王冠1つを、

欲しそうな顔してたので、ノビの山分け分に入れる。


パメラには、紫の宝玉付きの短い杖と、白のローブを入れた。


黒のローブは、姉妹に一枚ずつ。 王冠は、2つアリーに。


ティアラは、俺とノビ以外全員。ガラクタ魔道具は、俺。

魔石・白金貨・金貨・銀貨・首飾り‥‥宝石類を分配した。


『お金持ちにゃ‥』(...たくさんにゃ...。)


『ゴクちゃんありがとう。』 (...このお宝じゃ..ないのよん...。)


『変態も、やればできるね。』(...あなたも欲しい...。)


 『終わったわね...。』(...お薬を...やっと...。)


 『ありがどうございます。』(...ゴクとーさん...かんげぎ...。)


 皆‥笑顔で、俺を見る。


各自、取り分をしまう。ノビは、「アイテムボックス」を持ってない。

(...師匠が....くれた物が....沢山あるからな...。)


 『ノビ‥これに入れて持って帰れよ。やるよ。』

 「アイテムボックス」を、渡す。


 『ありがどう。ゴクどーさん。』半泣きしながら、

山分けの財宝を入れ、大喜びして、自分の宿へ帰って行った。


自分の部屋に中々.....帰らない...俺を見て、


『ゴクちゃん‥‥あたい達の部屋に‥‥泊たいの?”うふ”』

つやのある声と、卑猥ひわいな目で、パメラが言う。


『ち・違う‥パメラが姫って聞いてな‥‥ちょっと‥。』


『なんだーそんな事なのん。つまらないわねん‥‥。』むくれるパメラ。

『私たちも聞きたいですわ‥‥なぜ王族の姫が‥‥?』


ジュリとアリーも、アカリの顔を見て‥頷く。


‥‥‥‥パメラが‥‥‥‥‥。

『あたいと妹は、側室の子なの。正室の王女様には、

2人の皇子と姫が2人。他に、もう1人の側室がいて‥

‥子供は、男の子と女の子が1人ずつ‥‥。

沢山‥‥父には、子供がいるわ。公式の場に参加する事は、あるけど。』


『それで‥‥なんでパメラは、冒険者に‥‥?』


『あたい達みたいな側室の子は、王宮から出されるの。特に女はね‥‥。

あたい達姉妹は、自分の希望でそれぞれ‥‥。

あたいは、冒険者になった、珍しいパターンね。

カルディアの魔法学院の講師にも、なったしぃ‥‥。

今は、臨時だけど‥‥S級になれば、正式な教師になれるのよん。

それで、あたいは、ここに出来たダンジョンを、攻略しに来たの‥‥。

妹は、優秀で、カルディアの魔法省に勤めてて、

1番忙しい‥‥冒険者課に、いるわよん。』


『どこの国でも‥‥そうなのか?』


『正室・側室の子供‥‥特に姫は、政略結婚がほとんどですわ‥‥。』

無知な俺に、説明するアカリ。


『ネーも後3日‥‥遅れてたら嫁に‥‥婿を取ってたんだもんねー!』

ジュリが、揶揄からかうように言う。

 

 『え=====!!』驚く。パメラとアリー。 


『行かなくて‥‥ほんとに良かったわ‥タイプじゃなかったから。』

俺の顔を見て、赤くなり...言うアカリ。

     

(...聞いてたからな俺は.....師匠の話をした時に...。)

 

『大体は、そんな感じよ‥‥どこの国でも‥‥。』

(...こんな...話...どうでも...いいのよん...お宝...。)


どことなく、ちょっと寂しそうな表情の、パメラだった。





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