第3章 S級

第22話  お宝




俺達は、攻略を再開、のに苦戦しながら、階層を行く。

「AAランク指定の魔物」が出現。


41階層 リザードマン  ボス  メタルリザード

42階層 グリフォン   ボス  キマイラ

43階層 ウォルトロス  ボス  ルシアロス

44階層 ウルボルド   ボス  バイソンキング


強敵だった。


俺達は、丸2日かけて、ここまでクリアしてきた。

回復アイテムも、そろそろ底をつく。諦めず‥‥進んだ。


45階層に入り‥‥ジャングルエリアだった。

鬱蒼うっそうとしてる木々を、避けながら進む。何か気配がしたのか‥‥。

アリーがポケットから、照準器を魔導銃に。魔力装填そうてんして身構える。

皆、身構える。少しずつ進む‥‥。


”シャーーー!!シャーーー”!!と、

二股に別れた舌先を、出し入れする、

上半身は、人間...下半身は、蛇の「ラミアコマンド」が、2体現れた。


ラミアコマンドは、高い知能もあり、高位の攻撃魔法も使う。


「AAAランク指定の魔物」


1体のラミアコマンドは、槍を持っていた。

もう1体は、剣を持っている。2体が、襲いかかってきた。


『いっけにゃーーー!!』アリーが、魔導銃をぶっ放す。

ジュリが、『メイヤード・アイス・ジャベリン!!』氷の矢を放つ。


(...2人とも......威力が...半端ない...。)

       

2体に命中し、あっけなく消えて、「魔石」に変わる。


『だいぶ大きくなってきたわね、魔石‥‥。』パメラが拾い上げる。


『かなりの大きさの、魔石が取れるな‥‥。』俺も拾う。


『換金するのが楽しみにゃ!!』尻尾”フリフリ”。


 『進みましょう!!』先導のアカリが促す。


グリフォンやキマイラが、ひっきりなしに、襲ってくる。


雷属性魔法「サンダー・スラッシュ」氷属性魔法「アイス・エッジ」を 桜刀にまとわせ、斬撃刃を、飛ばしまくる。

”ボトボト”魔石が降って来る。


ウォルトロスやルシアロスも、風属性魔法「ストリーム・ファング」、

炎属性魔法「メガ・ファイヤー・ボム」で、ジュリが倒しまくる。


ウルボルトやバイソンキングは、風属性舞術「二の型 風音斬かなぎり」で、

アカリが倒していく。アリーは、ボス部屋対策で温存。


俺達は、階層ボスの扉の目の前に、辿り着く。

いきなり、両脇から、2体のバイルドルメイソンが襲ってきた。

           

「Sランク指定の魔物」

 

右にいたアカリが、

”ブン”と、左手に持つ扇子を広げ、バイルドルメイソン目掛け、

風属性舞術で、横一線に振る。

「二の型 風音斬」風の刃が、

バイルドルメイソンに、ダメージを与える。

空かさず、アカリは、右手で桜刀を抜き、切り込む。


バイルドルメイソンが、両角りょうづのから、

アカリに‥‥雷属性の魔法を放つ!!


『ウォーター・ウォール!!』パメラが紅い杖を振る。

アカリの前に水属性障壁ができ、それを防ぐ。

桜刀を、右斜めに振り下げたアカリ。

切られたバイルドルメソンは、消える。


左に出た、バイルドルメイソンに、俺が2刀で、斬撃刃を加える。

バイルドルメイソンに、反撃の余地を与えず切り刻み、

バイルドルメイソンは、消える。


『パメラさん‥‥助かりましたわ。』と、額に汗のアカリ。

 

一同 『 ”ふぅー” 。』と、息を吐く。


ジュリが目線で合図。  皆‥‥頷き、ボスのいる扉を、開ける。


”ギーーーイ”扉が開いて、中に居たのは、

巨大な金色の鱗‥‥二股に別れた舌先を、出し入れして威嚇いかく

3頭を持つ、巨大な蛇の魔物。


「SSランク指定魔物 ゴルーゴン・サーペント」。


『”ズドーーーーーーン”』アリーが魔導銃の、最大火力をぶっ放す。

3頭の真ん中の1つに命中!!‥‥頭が吹き飛ぶ。


左の頭の‥‥蛇の目が怪しく光る‥‥。

『目を見ちゃだめにゃ!!!』アリーが叫ぶ。


『身体が動かない‥‥‥‥。』アカリが止まる。


魔導銃で狙いを定めているアリーも、そのまま止まる。


『ディアルゴ・ファニス!!』パメラが麻痺回復魔法を唱える。

周りに、黄色い光の円ができて、アカリとアリーが、動けるようになる。


右の頭が『”シャーシャーギャーーー”』と、アリーとアカリに、

大きく開いた口で、き出した2本の牙で、襲いかかる。


咄嗟とっさに、ジュリが、「ボルケーノ・エクスプロージョン!!」

炎属性最大級の魔法で燃やす。

左の頭が、俺に向かってくる‥‥桜刀の2刀で応戦。

雷属性魔法「サンダー・スラッシュ」で、斬撃刃を飛ばす。

斬撃刃を左の頭が‥‥瞬時にける。

風属性魔法「エクストリーム・スラッシュ」で、

左頭の目を切り裂き、失明させる。


アカリが、扇子をクロスに振り、炎属性舞術「九の型 卍炎殺まんじえんさつ!!」

左頭の大きな口を切り裂き、飛び上がり、桜刀で横一閃‥‥首をねた。


ゴルーゴン・サーペントは‥‥消えていく。


『やったにゃ!!』嬉しそうに”ピョンピョン”跳ねるアリー。


『ネー!最後のトドメカッコ良かった!!』アカリに抱きつくジュリ。


 『パメラさん‥‥また貴方に、助けてもらいましたわ。』

 アカリは、礼を言う。


『あたいは、補助系呪文の専門家‥‥‥任せてよ。』

”パッチッ”っと、ウィンクするパメラ。


(...うんうん..皆...頑張った....しかし......4人共.....すごいな...

 ...A級以上の実力... ...あるだろなぁ...。)


ぼうーーーーーーー。と、する俺。


『変たーい‥‥宝箱出たーー!!』ジュリが、そこに行く。


消えていった所に‥‥‥装飾が豪華な、宝箱が現れた。

これまでも...ボスを倒すと‥‥宝箱が出てきた。

それは、今までで、1番豪華な装飾の、大きい宝箱だった。


他の皆も近付いて行く。最後に俺が行き、『開けよう。』

皆が頷き‥‥宝箱を開けると‥‥”パーー”っと、光り輝く。

その中には‥‥金貨や宝石の付いた装飾品の数々‥‥白金貨まで。

魔道具も入っており、宝玉が付いた杖やローブ類、

剣や防具も入っていた。


俺達は、大喜びして、

俺の「アイテムボックス」に、皆で持ち上げて‥‥なんとか納めた。


”ブーーーーーン”

「金色に光る転移のポータル」が、浮かび上がってくる。

これまでなら、下階層へ続く階段が、現れてたのだが‥‥。


『これって?もしかして??』ジュリがアカリとアリーを見る。


『そうにゃ!!』『そうよね‥‥‥。』と2人。


パメラは、俺と顔を見合わせて『????』


そう......。俺達は、ダンジョンをクリア‥‥踏破した。


5人で喜び合う。


ジュリとアリーは、抱き合っている。


アカリは、前から‥‥。パメラには、後から抱きつかれ‥‥、

クリアしたのに、ここで、「テント」を張っている。

     

アカリが、それに気づき.....。さする。

『リーダー様の‥‥お宝に期待ですわ。』(..ここは....大胆にっと...。)

耳元でささやく。顔に血が昇り‥‥ふらつく。

  

『やったわね。ゴクちゃん‥‥あたいからのご褒美よん!!』

(...負けないわよ....アカリちゃん...。)

なまめかしく、パメラも囁き、ダイナマイトを、押し付けてくる。


‥‥‥‥‥‥‥‥。

また‥‥ふらつく。 2人に支えられる。


鼻から”ツーーーーーーー”。

『『は・鼻血!!大丈夫??』』と、ジュリとアリー。

    

(...こんなこと....ある?....2人でハモらんでも...

 ...鼻血... ...出やすくなってる?...。)

 

『また、鼻血‥‥。』ジュリが、優しく拭いてくれる。

(...また....ネーとパメラさん...グスン..。)


『もう、大丈夫かにゃ?みんなで帰るにゃ!!』アリーが、俺を見る。


『ああ‥‥。』

俺達は、ポータルに入って、ダンジョンを出る。


初ダンジョン。初挑戦で、1度も戻らず踏破した。


(...これって......すごいんじゃない??.....ん?....お宝?...。)


 初めての転移ポータルを、体験しながら、俺は、思う。



ダンジョンの出口は、入口横に開き、

俺達は、眩しい太陽の光が、差しているのを感じた。もう多分、昼過ぎ。

出口から現れた俺達は、‥気づかれた職員に、


『も・も・もしかして踏破したのか??』驚かれる。


『『『『『 イエース!!!!!』』』』』と5人で答えた。


ハモリっぷりに、全員で笑った。ギルド職員も親指を立てる。

ギルド職員から、攻略証明書を...各自、受け取り、


『俺達は、ギルドに行って‥‥証明書の提出があるので‥‥。』

ギルド職員にそう言って、ギルドへ向かう。


ギルドに入って、他の冒険者達から、視線を浴びる。

『このーーー変態どもーーー!!』

(...あなた達には.....見せたくないの...。)

ジュリが、冒険者達にわめく。


『ジュリは、視線察知の特殊スキルが、あるな‥‥。』”クスッと。


『変態の視線には、慣れっこ、ですから‥‥ベぇーーーー。』

(...あなたの視線には....すぐ気づくのよ...、) 舌を出す。


『あら‥あたいも‥‥ひどい格好。』パメラも、自分の格好に気づく。


『ジュリねえ‥‥お胸が見えてるにゃ。』 (...にゃいのに..。)

アリーとジュリは、困り顔する。


『恥ずかしがることは、ありませんわ。』

(...見られるのは....でも....リーダー様だけがいいわ...。)

あっけらかんとして‥‥動じないアカリ。



気づいては、いたが‥‥所々‥‥服が無惨。

アリーは、迷彩のオーバーオールのお腹の所と、革バンドが焦げ、

パメラは、紅の蛇革ブルゾンの袖と、短丈のスカートの端が破れ、

ストッキングは、”ボロボロ”。

ジュリは、シャツが破れ、緑のブラトップがあらわに。

ミニスカートの左は、焦げて、太ももがチラリ。

ストッキングの端々に、所々の穴。

アカリは、着物の両裾と前の一部、帯が破れ、黒編みの編み目が大きい。


もちろん.....俺の身なりも、無惨だ。


周りの冒険者の目を、他所よそに‥‥受付に向かう。


『ダンジョン‥‥‥踏破して来たんだが‥‥。』

 冒険者カードと、証明書を受付嬢に渡す。


『え!!!‥‥お待ちください。』カードを魔道具の端末にかざす。

『パーティー名リリゴパノア‥‥、リーダーは、ゴクトーさんで? 

えーー!!‥‥まだ潜って10日ですよ‥‥。』

受付嬢は......。信じられない‥‥と、いう顔で、

『とりあえず‥‥中の応接室でお待ちください。』

応接室まで案内してくれた。


応接室の、向かい合わせになっている、大きなソファーに座る。

横にパメラ。対面に、アカリとアリー、ジュリが座る。

俺とパメラの方を見て‥‥ジュリが、ミスカートの上に両手を置く。

多分...パメラのセクシーが、見えて、俺の視線を‥‥気にしてだろう。

その仕草を見て、俺は、横を向く。


『ノビの奴‥‥くやしがるわねん‥‥。』

横を向いた俺に、パメラは、笑う。


『あの時はああするしか無かった‥‥。守り抜けるか‥‥。

 不安だったし、あそこでアカリが、

           言わなかったら、危なかったかもな。』


『それは‥‥ありがとうございます。』照れるアカリ。


その言葉で‥‥つい‥‥アカリの方を、見てしまった。

いつものセクシーは、見えずで、

アカリも、両手を太ももの上に乗せていた。


(...ちょっとがっかり....)


『あんな事もあったし‥‥。』ジュリが”ボソッ”。

『良かったにゃ‥‥。』アリーが”ポツリ”。

思い出して、ジュリに抱きつく。アリーを両手で抱き止める。

ジュリの脚が、俺の方を向き‥‥開く‥緑のセクシーが、顔を出す。

(...これなら....ネーにもバレないわ...さあどうぞ...。)


見てしまい‥‥顔に血が昇る。上を向き天井を眺めてると、


『天井に何かあるの?ゴクちゃん‥‥?』パメラも見た。


 『いや‥‥何でもないよ‥。』


(‥顔が赤くなったのを‥‥誤魔化す方便なのだが‥‥。)


視線を戻すと‥‥アカリが、口パクで『ど・う・ぞ。』

(...チャンス....さあ思う存分...。)

ブルーセクシーをご開帳。こっちを見て『”ふふふ”』と笑う。


笑い声で、パメラがアカリを見る。


アカリは、もの凄い反射神経で、脚を閉じて、両手を置き、

『ゴクトーさんと、パメラさんが、何を探してるのかと‥‥

見て可笑おかしくて。』サラリと、答える。 


(..また「デス」をかけられた...。)


そんな中、”コンコンコン”『失礼します。』‥‥。

恰幅かっぷくの良い中年の、ギルド職員とおぼしき男性が、入ってきた。


疲れてボロボロの俺達を見て‥‥。

『ダンジョン踏破‥‥おめでとうございます。

支部長は、村長と兼任でして‥‥。村の商業組合を、ギルド支部にと‥

‥組合の方へ出ております。明日‥‥お手数ですが、

もう一度、ギルドの方へ‥‥お運びいただきたいのですが‥‥?』

汗をハンカチで、きながら言う。


俺達は、仕方なく了承した。  応接室から出る。


『皆‥‥宿は、どうする?‥‥それと、攻略して、手に入れた戦利品を、

山分けしないと‥‥ノビも交えて‥。』


『ノビの奴は‥何もしないで、ついて来ただけでしょ‥ゴクちゃん。』

パメラは、本心ではない‥‥と、わかる笑顔。


『とりあえず宿を‥‥私達が泊まっていた部屋は、広いから、

                      皆んな泊れるわ。』

(...また宿も同じなら....手はあるわ...。)

 ちらりと、俺の方を見るアカリ。


『変態は、も・ち・ろ・ん1人部屋に、決まってるけどね!!』

(..またとない....チャンスだったのに...。)


ジュリがアリーと、手を繋いで『ねぇーーーアリー。』


『部屋が別にゃら、いいにゃ‥‥。』と、アリー。


『もちろんだ。』 

(..泊まっていた宿のツンデレ猪...。)

俺は、女将さんを、思い出す。


ギルドを出て、宿屋へ‥‥向かう俺達。

歩いてる最中‥‥誰かの"ぐぅううう”と、....腹が鳴る音。


『腹空かないか?』皆に聞く。  皆‥‥頷く。


(...多分.....村の食堂は開いているはず...。)


『食堂で、何か食べよう。』探しながら歩く。


(...なんか見覚えがあるんだよなぁ??...。)


この辺りを、思いながら歩く。


『ここに、しようにゃ!』アリーが、食堂を見つけて‥‥皆で入る。


『いらっしゃいませ。5名様ですか?』

紺色のエプロンをしている、綺麗な女の人が、俺達を見て言う。


(...ボロボロの身なりなのに...。)


俺達の身なりを、気にする素振りも見せ無い。

『こちらへ‥‥。』木目が綺麗な、長いテーブル。

両側に同じような、長椅子の席に案内される。


俺とパメラとアカリ。対面に、ジュリとアリーが座る。

メニューを見る‥‥。皆が料理を選んでいく。店を見廻す。


『毎度ーーー!!ご注文の品をお持ちしましたーー!』

入り口に立ち、厨房の方へ、声を掛ける‥‥。


野菜の入った籠を、重そうに抱える好青年。

少しつばが汚れてる、エンジ色のキャップを被り、

柄シャツと、ジーンズのオーバーオール。長靴。

野菜農家か‥‥八百屋さんなのだろう。


厨房から『今、行くわ。』マスターらしき‥‥中年の渋ーい声。

スキンヘッドで口髭。目は、細く垂れ目。

筋肉ムキムキ。白いタンクトップにジーンズ。サンダルに素足。

紺色のエプロンで、手を拭きながら.....出てきた。


あれこれ、言いながら‥‥値段交渉してる‥‥。


『すみませーん!』ジュリが、店員さんを呼ぶ。


『はぁーーい。ちょっと!‥‥お兄ちゃん‥‥注文取ってきて。』

さっきの女性が、言ってるのが聞こえる。


『が‥‥。サー‥‥が‥。』かなり小さな声。


(..聞き覚え??......だが...。)  


『大丈夫よ‥‥私‥‥手が空いたわ‥‥。取ってくる。』

ちょっと大人びた、女の子の声が聞こえる。


『マリア‥‥お願い‥‥。』さっきの女性の声だ。


厨房から俺達のテーブルにやってきた15歳位の女の子は、

オレンジの髪。瞳は黒色の垂れ目。「そばかす」があるのが可愛いい。

白いTシャツ。ジーンズで赤のシューズ。赤いエプロンが似合う。

『お決まりですか??』


『牛の肉のハンバーグと、ホロホロ鳥のグリル。アリーとシェアする。』


 『皆んなは‥‥何にするの?』 "ぐぅううう”と、お腹を鳴らして、

俺達の方を見るジュリ。(...恥ずかしー...見ないで...。)


(...腹が...鳴ってたのは...ジュリだったのか...。)


『あたいは、このポークソテーね。ゴクちゃんとアカリちゃんは?』

パメラは、メニューを”パラパラパラ”と捲る。


『私は‥‥』『俺は‥‥』と迷っていると‥‥。


『当店オススメのメニューは、いかがですか??』

マリアと呼ばれていた女の子は、さらに....。


『牛の肉の煮込みシチューで‥‥パンと良く合うんです。』


『それで‥‥。』  アカリも『サラダも付けていただけます?』


『かしこまりました。』マリアは、厨房に戻って行く。


しばし‥‥‥雑談しながら待つ。

次々に運ばれ‥‥テーブルが、彩取り鮮やかな料理で埋まる。



お祈りして『『『『『いただきます!!!!!』』』』。


腹ペコの俺達は、料理を堪能する?   バクバク食べる。

皆......食べるのも早く‥‥。  一瞬で食べ終わった。


『トイレに寄って‥‥まとめて支払ってくるな。』

席を立ち、男子トイレに向かう‥‥『ふぅ』と言って、用を足す。


トイレのドアが”バタン”と、閉まる音。  振り返ると...。


『ちょっとぅ‥‥お宝見学よん。』のぞき込んで、囁く。

(...あら....良いお宝ね...。)パメラが舌舐めずり。


‥‥‥‥ 。『!!!』

『シーーーーーーーーーー。』極小の声。人差し指を、俺の口に当てる。

『お宝は、山分けよん。』極小のなまめかしい声。

         

顔に血が昇り‥‥前を隠す。 (..恥ずかしー...。)

     

 『あら‥‥ゴクちゃんまだ‥‥入ってたの?失礼。』

わざとらしく、大きな声で”バタン”と、トイレを出る。

   

(...マジか......見られた?.....ん?...山分け?...。)


赤くなってる顔を、洗って冷やし....。冷静になるのを待つ。

トイレから出ると‥‥皆もトイレに来て、順番待ちしていた。


パメラは、澄まし顔で、出口前で待っている。


『アカリねぇ!!早くにゃ!!ジュリねぇが漏れるにゃっ!!』

(...恥ずいから....アリー...やめて..。)

俺と目が合い‥‥顔を朱くするジュリ。


支払いをするのに、出口へ向かう。

店の出入り口のキャッシャーで待つ、先ほどの綺麗な女性に、


『ご馳走様。シチューとパン‥‥‥絶品だ。』

「アイテムボックス」を覗き込み、金貨の小袋を出す。


綺麗な女性は、”ニコッ”として

『ありがとうございます。全部で銀貨17枚です。』伝票を見せる。


『残りはチップに。』金貨1枚を渡し、『ご馳走様。』皆で、店を出た。

 

店を出て、歩いていると‥‥肉屋があった。(...道理で見覚えが..。)


何件かの先に、ノビの実家のパン屋があった。

「open」札になっていたので、俺は、外から覗いたが、誰もいない。


 『おなかいっぱいにゃ‥‥ねむいにゃ‥‥。』

”トローーーン”と、してる目のアリーに、 ”いい子いい子”してるジュリ。


『早く宿屋に行きましょう。』アカリが先導して歩く。


『ゴクちゃん‥‥急ぎましょ。』パメラは、卑猥ひわいな目で合図。


俺達は‥‥宿屋へ急ぐ。


後ろから『せんせーーい‥‥まっでーーー!!!』

皆で振り返ると‥‥ノビだ。全身上下白の格好。

ノビが大きな紙袋を抱えて、走ってくる。


『はぁはぁはぁ‥。』息を切らし、青ざめて走ってくるノビ。


『ノビーーーー!!』ジュリが手を振る。アリーは、眠い目をこする。

 目の前にやって来て‥‥下を向いて「‥えずく」。


『貴様‥‥何故‥‥ここに居るのが、わかった?』パメラがにらむ。

『はぁはぁ‥‥。いもうどに‥‥サーシャに、これ持ってげど。』

まだ息も絶え絶えの、ノビが紙袋を差し出す。

アカリが紙袋を受け取り、『何かしら?』...『パンね』中身を見てつぶやく。

『うちのじっがのパンさ。チップ弾んで貰っだがら、お礼にっで。』


『貴様の実家のパンだと‥‥。どう言う事だ!!説明しろ!!』睨む。

 

『実家に‥‥帰れないんさ。食堂手伝って、まがない(まかない)食ってたんさ。あの食堂で、サーシャが働いてるがらなんさ‥‥、

実家のパンを、つがって(使って)るんさ。』 


ノビとパメラ恒例のやり取り。(..あーー...あの声...やっぱりそうか..)


雰囲気で言い出せない俺。


『そうか‥‥んん‥‥貴様、時間はあるのか?あるならついて来い。

‥‥ゴクちゃん、良いわよねん?』パメラは、『いひひ。』と引き笑う。

  

(...ギャップ...。)  俺は、愛想笑いする。


『ノビも俺達の宿まで行こう‥‥そこで、攻略した宝を山分けだ。』



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