第21話  介抱



意識朦朧いしきもうろうの中‥‥夢を見た‥‥。


子供の頃‥‥。

両親らしき‥‥2人と手を繋いで、3人で歩いている。

身長が高い男性。  小柄な女性。

見た事も無い建物。 銀と黒の‥‥。



それで夢は‥‥消えた。


左頬が焼けたように熱い。     柔らかい感触。

    

薄っすら‥‥。『ゴクちゃん。』‥‥。すすり泣く声が聞こえる‥‥。


『『エクストラ・ヒール!!』』『『エクストラ・ヒール!!』』‥‥。

『『エクストラ・ヒール!!』』『『エクストラ・ヒール!!』』


『だめにゃ‥‥‥!!アザは、消えても、血が止まらないにゃ!!』


『『エクストラ・ヒール!!』』『『エクストラ・ヒール!!』』‥‥。

『『エクストラ・ヒール!!』』『『エクストラ・ヒール!!』』


桃色姉妹による治癒魔法。

      

ジュリが泣きながら‥‥。    アカリは、冷静に指示を出す。    

  (...変態... ...絶対...。)      (...助けて......みせます...。)

     

アリーは、アカリから渡された、回復薬を、俺にかけ‥‥、

止血薬を傷口に。身体中の開いた穴に塗り、

傷の上から、血止め効果が付与された、包帯を巻く。

          

パメラは、俺‥アカリ‥ジュリに‥‥。

「マジック・ヒーリー」を、何度もかけて、魔力の回復。

             ・

             ・

             ・

         

目を覚まし‥‥ゆっくり目を開ける。

口をふさがれ‥‥。身動きが取れない。

ぐるぐる巻きに、されていた。


(...ん?あれ?...これってデジャブ??...。)


『変たーーーーい!!』叫んで、大泣きするジュリ。

        

『ゴクちゃん‥‥。』また啜り泣く、パメラ。


『良かったにゃ。にゃぉーーーん。』と、泣きながら遠吠えするアリー。

      

 『‥‥様。』ただ泣いてる‥‥アカリ。


『んーん、んん‥‥。』話そうにも、包帯で顔を巻かれ、

話せない‥‥。察したパメラが、口周りの包帯を、急いで解く。


『良かった‥‥みんな無事で‥‥。』皆‥‥泣いてる。


『あーー良かった。変態‥‥死ななくて‥。』

(..この......バカーー!!.....。)

大粒の涙を流すジュリは、ペタンと座り込む。


アカリもただ涙をこぼし、 包帯を握りしめてる。

同じく‥‥座り込む。

(...様.....良かったです...。)


パメラは、『ゴクちゃん‥‥。』またまた啜り泣く。

(...こんなに.....なるまで...。)


『にゃぉーーーーーん。』泣き顔で遠吠えするアリー。

(...良かったにゃ....ゴクトーにぃ...。)


聞いていたが‥‥‥急激に眠くなり、そのまま眠ってしまった。


翌日。目が覚め‥‥頭に柔らかい感触が伝わり‥‥目を開けると‥‥。

左頬の血を、布でしっかり抑えてくれてる。

(...あなたには....本当に...。)優しいジュリの顔。


目が覚めるのが分かると‥‥『大丈夫ですか?』

(..まだ.....ゆっくり私の..太ももで. ...様...。)顔を覗くアカリ。


パメラが、『いつまで膝枕してるのよん?‥‥代わってくれない?』

(...アカリちゃんに.....取られちゃうわん...。)


 ”ハッ”と気づく。  


 (...んん??.....前にもこんな... ...またデジャブ??..。)


 起き上がろうとする。

        

 『まだ、出血が止まってないんですから。』

 アカリにそっと、頭を抑えられる。(...いいんです.....私の太ももで...。) 


『ネーー。足が痺れたでしょ?? 変態の膝枕‥‥私が代わるよ。』

 (..わたしも......太ももには.....自信が..。).


『あら‥‥あたいが、代わるわ。』

(..ん?... ...ジュリちゃんも... ...なの?...。)


 『‥‥‥‥‥代わるにゃ。』

(...みんにゃ顔が”ニヤケ”てるにゃ...。)


4人の声を聞いて、『皆‥‥すまん。』 また‥‥眠ってしまった。



ジュリは、傷に「エクストラ・ヒール」を、毎日掛ける。

(...傷をいやす....これくらい....わたしが...。)


アカリは、優しく膝枕をしながら、包帯を変え‥‥身体を拭き、

皆の視線が無い時に、『傷が治る薬‥‥おまじない。chu!!』

(..治すわよ.....頬の傷...。)傷が癒えてない頬に、キスする。

まだ十分な体調では無いのに、薬で「テント」を張る。


パメラは、「マジック・ヒーリー」を桃色姉妹に毎日掛けて、

アリーは、尻尾の”モフモフ”で、傷を触り癒してくれる。


頬の傷が塞がり、穴の開いた傷も塞がったが.....。

全ての傷跡が...残ってしまった。


それから3日が経ち‥‥皆の献身的な看病と薬や魔法で、

「気力・体力・魔力」を取り戻し、再開の準備を始めた。


ジュリとアリーが、俺の前に来る。ジュリが心配そうな顔で、

『変態‥‥もう本当に、大丈夫なの‥?』

(...平気みたいね....よかった...。)


『大丈夫だ。皆のおかげだ。早く攻略して、ゆっくり温泉でも行こう。』


”パシッ”と、右頬にビンタ‥‥。   アリーは、”ビックリ”。


『こっの‥‥変態!!‥‥もうー心配して損した!!』

(..なんで2人っきりの時に....言わないの...。)

 

『”イタッ” ち・ち・違うよ。傷を癒しに行こうと...したんだけど。』


『きっと‥覗こうとでも、思ったんでしょ??』

(...いいのよ....いつでも..覗いて...。)


 『いや・いや・いや・間違ってもジュリの‥‥。』

               

 ”パシッ”。

(...なによ...ネーや...パメラさんのは.....見る癖に...。)


アリーは、『自業自得にゃ。』とあきれてる。


怒って離れていく。アリーも付いていく。


....ビンタ。 ......2回。    右手で頬を撫でながら、

1人で、テントの片付けをしてる、パメラの方へ歩く。


『手伝うよ‥‥。何したらいい?』


『あらあら‥‥ゴクちゃん‥‥ジュリちゃんに怒られたの?』

(...甘えに来たの?.....可愛いわね...。)

    

(...ツッコまれた...。)


『ただ‥‥早く攻略して、ゆっくり温泉でも行こうって、言っただけだ。

  そしたらビンタされた‥‥。訳がわからん。』


『それは、ゴクちゃんが悪いわね。誘い文句だもの。』しれっと。


『え?早く攻略して、ゆっくり温泉でも行こうって、言ったことが?』


 『そうよ‥‥「皆んなで」が抜けてるのよ...”はぁ”。』と吐く。


 『‥‥なるほど。そうか‥‥。』納得する。


 『ゴクちゃんは、女の扱いに慣れてないわね??

その年で‥‥あれってことは、無いわよね‥‥まさか‥‥?』

(...もしかして....この人....まだ?...。)


 訝しい目で聞いてくる。


『あれって何だ?‥‥彼女か?付き合った子は、いたぞ!!』


『どこまでの彼女なの?』......まるでノビを見るような目だ。


『どこまでって‥‥チュウは、した‥‥‥ぞ。』顔に血が昇る。


『それって、幾つの時??』面白そうに聞く。


『12歳の時だ。』 ”えっへん”顔をして両腕を腰にやり胸を張る。


『ゴクちゃん‥‥‥。』 (..ガチね......これ...。)


可哀想な子を見る様に、俺の肩に手を乗せる。

『仕方ないわね‥‥ダンジョン出たら‥‥

あたいがゴクちゃんに‥‥女というものを、教えるわね。』あきれ顔。

『ん?女は知ってるぞ、セクシー下着を身に着けるからな。』

 また‥‥”えっへん”顔をして両腕を腰にやり胸を張る。


『貴様に教えるのは‥‥「カ・ラ・ダ」だ!!』

(..これは.....かなり.....んふん...。)


真っ赤に怒りながら‥‥照れるパメラ。


(...ん?.....身体.....ん?.....ギャップが...。)


顔に血が昇って‥‥恥ずかしくなる。居た堪れたまず、


『さあ行こうか、そろそろ準備は、いいか??』

  

誤魔化して、皆にうながす......俺がいた。





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