第16話  縁

『先生‥‥起ぎでください‥‥先生‥‥。』

パメラを揺らして起こそうとする。


『ちょっとー、何するのよー!!』(...この男....何者?...。)

男の腕に、掴みかかる妹。


『お知り合いでしょうか?』(...田舎の.....若者...。)

冷静に男に、話す姉。


『僕は先生の生徒なんさ‥‥。』さらっと。


(..あ....思い出した.....パン屋の息子だ...

...先ほども違和感を感じたけど...なまりか...。)



『さっきパン屋の前で‥‥。』  ”キッ”  また睨まれた。


パン屋の息子は、ひょろっとしてるが、顔は田舎の好青年。

髪色と眉は金髪で肩まである。目の色は白く、瞳はライトブルー。

白いシャツと白いズボン。いかにも都会に憧れてる印象。


『あったら先生と‥‥どう言う関係なんさ?』


(..どう言うって姉妹達も......さっき知り合ったばかり...

...俺は朝から...セクシーの件......本人は知らないし...。)


『一緒にダンジョンに潜るの!!パーティーの仲間よ!!』

 (...せっかく見せる......チャンスだったのに...。)

わめく妹。


(..まだ決めたわけでもないのに..

”せっかち”にも程があるでしょうよ...。)諦めた顔の俺。


(...せっかくの谷間の......チャンスが...。)

姉も同じような顔。


この声で‥‥”むくっ”と‥‥打っ伏してたパメラが顔をあげた。


『先生!!僕です。ノビです。起ぎでください!』

        

『ノ‥ノビ?‥‥なんだ‥‥なんでここにいる?』


何が何だか、わからないパメラ。


『新しいダンジョンができだと聞いて、故郷に帰ってきたんさ。』


『学院はどうした?貴様のランクはB級だろう‥?』


訛りを聞いて‥‥少し正気に戻ったのか‥‥。急に”キリッ”とした。


(...なんかさっきとの...ギャップが....ギャップ萌えを狙ってる?...。)


『学院は、休学しで来ました。ダンジョンを潜っでみたくて。』


 『貴様ではまだ実力が‥‥私も20階層までしか潜ってないから、

 全てはわからんが‥やめておけ‥貴様死ぬぞ。』


 『んなら先生が、連れて行ってぐれればいいんさ。』


『‥断る。‥‥ダンジョンでは、何が起きるかわからん。

足で纏いを連れて行けばリスクも自分に返ってくる‥諦めろ。』


(...そうだよな...。)


パメラに必死に懇願こんがんするノビ。


(...だけど......俺の立場だったら...。)


黙っていたが、師匠のことを思い出して、

『あのー‥‥。パメラさん‥‥ちょっといいですか?』


『‥何かしらん‥‥?』なまめかかしい。


(...ん?.....色っぽい...。)


『俺は師匠に色々教わりA級までになれました。

ダンジョンには、一緒には入れなかったんですけど‥‥。

もし師匠なら俺も連れて行ってたと思います‥多分。だから彼も‥。』

     

それに後押しされたように‥‥。


『先生!!足でまどいにならないようするさで‥‥

ダメならば、早い階層で離脱しますんで!!どうが!!』


必死に食らい付く。

 

困惑して‥‥ノビが頭を下げるのを見るパメラ。


『桃色姉妹は、どうなの‥‥?』視線を向け、助け舟を求める。


(...あれれ??.....口調が戻った?...

...ギャップ萌えを狙ってる?... ...あの口調は?...。)


『ゴクトーさんが、良いなら‥‥私は構いませんよ。』

(..今日は下は見せられない......妥協よ...。)


こっちを見て2度目の”パチッ”とウィンク。


『変態がいいなら、‥‥ほんとに変態は、強いの?見れるの?』

(..せっかくのチャンスだったのに...。)

いぶかししがる目。


(...この姉妹は対照的だなぁ...。)


『わからん。師匠は、SS級だったから‥‥強すぎて比較できない。

俺はソロみたいなもんだったし‥‥A級も師匠のお陰だし‥‥。』


『師匠がSS??‥‥『え===ナガラの弟子===??!!』』

 パメラとノビは、驚愕きょうがく...。俺の顔を見て、ポカーーン。


(...2人でハモらんでも...これも何かの縁...。)


5人で結構話し込んだ俺達は、パーティーを組むことに決めた。


明日のギルド集合時間も決めた。


『貴様も帰って明日の準備をしろ。』ノビを促して帰る。

  

 『みなさん、明日からよろじく。』”ペコリ”頭を下げ、ノビも帰る。

 

ここで解散。2人を見送る。



宿屋に帰る途中、姉妹は以前「ファルダット」にある、

B級以上推奨の35階層ダンジョンに潜り、踏破して、

それで、A級に推薦されたと聞いた。


(...経験者がいて良かったよ....ほんとに.....明日か...。)


『ハ・ハ・・ハックション!!寒。』鼻水が飛び出した。


姉が、情けないわね...という感じで俺を見る。

(...可愛いいわ.....手のかかる人....好きよ...。)


妹が、かわいそうって感じで俺を見る。  

(...鼻水.....拭いてあげたいわ...母性が...。)


顔を見合わせた姉妹に、”ゲラゲラ”と笑われる。  


(...そんなに....笑わなくても..。).


カッコ悪い姿を見せて凹む。


宿屋に着いた俺達は、各自の部屋に戻って休んだ。


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