第15話  道連れ

何人かすれ違う人に聞きながら、やっと薬屋に着いた。

(..ふう....もう日暮れだよ...。)


店に入ると、綺麗なエルフの女の人に、

『探し物かしら?』なんだか”しっとり”した声で言われた。


『魔法回復?体力回復?麻痺・毒の回復ポーションがあるわよ?

それとも若いのにあれ?』

(...なんだなんだ.....この綺麗なエルフのおねいさんは...。)


『「あれ」以外のポーションを、5本づつください。』

(...最後の一言... ...「あれ」とは...。)

 

笑ってる。明らかに揶揄からかわれた。

(..エルフは見た目と... ...年齢のギャップが...

...激しいと師匠が...言ってたからな...。)


『用意するわね‥‥。ちょっと待ってて。』

カウンターに、小瓶を並べて説明してくれる。


(...色でわかるよ...おねいさん...。)


1つだけ知らない色の小瓶がある。


(...これが「あれ」なのか?..。).


『全部で金貨3枚ね。「おまけ」も付けとくわ。

沢山買ってくれた坊やに‥‥”ふふふ”。』なまめかかしい声。


わからん好意に甘えて、金貨を渡し、「アイテムボックス」にしまう。


『また来てちょうだいね‥‥サービスするわ。chu!』片目はウィンク。

色っぽく投げキッスされた。


(...かーーーー......このおねいさん...。)顔に血が昇るのを感じた。

『ど、どうも‥‥。』店を出た。『ふぅはーー』と息を吐き、

 『魔性エルフだ。』呟いてしまった。


パンは買えなかったが、目的の物は買えた。(..帰ろう..。)

宿に帰る道。また迷う。

宿までの道を聞こうとして‥‥あることに気づく。

宿屋の名前がわからない。


(...やらかした...。)


しばらく自力で探してると、朝に見かけた教会があった。

      

(..良かったぁ......”ホッ”とした...。)歩いてると。

紅い点と桃色の2点が見えた。朝に通った、酒場の前のテラス。

かなりかしましい。


(...”触らぬ神に祟りなし”...) ”しれっと”通り過ぎようとしたら、

まんまと妹に見つかった。


『変態じゃん!!うちらと一緒に飲もう!!』

(...やったーー.....巻き込もう...。)

 

『ジュリ‥‥‥口が悪いわよ。』

(...今日の......下は...ちょっと...。)


姉は、ちょっと困った顔で俺を見る。


俺は、妹に道連れにされる。姉妹は、どうやら....絡まれてるようだ。


『‥‥あたいは、悪くないんよ‥。

 B級パーティー‥‥頼まれたから参加してやったのに‥‥。

今日は、家の使いが‥‥来るからって無理って、言っただけなのに、

あいつら怒って、もう頼まんって‥。

あんな奴らこっちから、願い下げさっ‥ったく。あんた!!

今日は、あたいが奢るからさ‥‥これも何かの縁だよ‥‥。

ここにお座りよ。ここに!!』


横に指定される。


姉妹の前に座ってる紅い女性。朝のセクシーダイナマイトだ。

朝は、顔がわからなかったが、紫色の髪のショートボブ。年上だろう。

言葉は、悪いが上品に見える。細い眉で通った鼻筋。瞳の色はグレー。

かなりの美人だ。唇は紅い。肌の色もなめらかそうなベージュ。

つばで隠れていた胸もセクシーなだけある。

紅いシャツの...上からボタンを2つ外している。

そこから黒のセクシーが見えている。

シャツが”キツイ”と、黒セクシーが訴えかける。


(...確かに....縁だ...。)


仕方なく座る。

   

『変態!!エールでいいよね!!』

(...今日のは.....大丈夫...見せられる..。)


『ジュリ‥‥あなたは‥‥ほんとに‥‥。』

(...ちょっと...派手すぎて..見せられないのに...。)


『口が悪いって言うんでしょ!!ねー。』

(...ネーは困ってる......チャンス...。)


『桃色姉妹‥‥あたいに‥‥このイケメンを紹介してよ。』

いきなりセクシーダイナマイトが、俺のあごを‥‥でて言う。


(...酔ってるな....かなり......??イケメン??俺....初めて言われたぞ...。)


妹は、調子に乗るな変態。と言わんが如くにらむ。

(...何.....この女は...。)

顎の手を見た姉は、急に立ち上がる。


覗き込むように、ボインの谷間の赤セクシーが”チラッ”て見えるように、

(...上なら.....見せても...大丈夫...。)

『私達パーティーを組んでダンジョンに潜るつもりなの。

これでいいのよね?A級のゴクトーさん‥?』(...しっかりみてたわ...。)


俺の目線を確認して満足げに”ぺろっ”と舌を出してウィンク。


『あたいもイケメンと、潜りたいわん。』

舌なめずりの、セクシーダイナマイトが”ポツリ”。


(...おいおい.....どうした..突然のモテ期か??...。)俺は、苦笑する。


『あたい‥‥これでもカルディア魔法学院の臨時講師をしてるの‥‥。

冒険者ランクはA級よ。損はさせないわよ‥。』

        

俺の頬に‥いきなりの"ぶっchu"!!


本日2度目のキッスをもらって、かなりの動揺....。狼狽うろたえる。

(...なんだ.....何が起きてる?...。)   顔に血が昇る。


妹が、またさげすんで睨んでる。

(....ちょっとー!!...何してくれるのよ...。)


『ゴクトーさん??  顔が‥‥。』目が笑ってない姉が俺を見る。

(...何を.....横から...。)


『あたいは‥パメラ‥‥。よろしくねん。』

ゆっくりとテーブルに打っ伏す。だいぶ飲んでいたらしい。


『やっと頼んだ‥エールがきたところなのに。』呟く俺。

姉妹から事情聴取。買い物を終えてここを通ったら、

1人で飲んでるパメラに、あっ桃色姉妹‥と呼び止められ、

飲もうと声を掛けられたらしい。

姉妹は、冒険者達の間では有名だからか。なるほど。

姉妹は、断ったが、なんでも、

神様からの贈り物が降ってきた。今日は、おごる...。

半ば強引に付き合わされたらしい。


(...なるほどなるほど......セクシーダイナマイトに...寄付ね...

...なんかスッキリしないが.....目の保養....ヨシとしよう...。)


エールを飲み干してパメラを揺らす。起きない。姉妹達も困惑してる。


いきなり『先生‥‥‥。』と後から声がした。


(...誰??...。)


3人で振り返る。そこには男が立っていた。


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