第1章 出逢う

第12話  桃色姉妹

 



ファルダット‥‥初めての国...。


(...勝手に国を出ると決めてしまったけれど...。)

2人きりで大丈夫なのかと、不安の姉だったが、

この港町を、拠点として活動する。

  

(...もっとランクをあげて...。)

かなりハードな依頼も、共にこなし、確実にランクを上げていく。

        

(...ネー...無茶.. ....キッツイーーー!!....。)

姉の思いを理解し妹もそれに.....付いていく。


Cランクになるのに1年かかった。

(...ジュリは笑顔が増えたけれど.. ...不安だったのよね....。)

           

(...ネー、やっと笑うように....なってくれた...。)

姉妹は、2人っきりの‥何者にも縛られない、生活を楽しんでいた。


それから更に、1年と数ヶ月の間に、高ランク魔物の討伐をしたり。

(...ジュリの魔法の威力.. .上がったわね...。)


(...ネー‥‥わたしをかばって... ...あんな怪我を...。)

ダンジョン踏破をしたりする。


姉妹は、苦労して手に入れた「A級」ランクに、

(...ジュリも...私も... ...もう大丈夫...。)


自信をつけて、他の国へと”冒険”に出た。

(...ネー...絶対見つかるよ...。)


目的の兄...ナガラを探して...。


ナガラが「弟子」と共に、旅していると、

滞在していた街の酒場で、話しているのを聞いた。

弟子の名前は「ゴクトー」と言うらしい。


『その弟子の事‥‥詳しく教えてほしですわ‥‥。』

なまめかしい声‥‥色仕掛けで、聞く姉。


『ちょっとーー!!それしかほんとにしらないのー!!』

わめく‥‥正反対な妹。

          

話をしている冒険者に、詳しく聞いてみたが、

そのこと以外‥‥誰も知らなかった。


旅を続ける姉妹は、「ナガラ・ゴクトー」の噂を、

 一切聴けなかった‥‥。姉妹は諦めず旅を続けた。

持ち出した書物を学びながら......。

        

エルダードワーフが治める国「ゴマ」に滞在し、

活動拠点としていた。


姉妹は、依頼を終え、ギルド支部に入った。

ドワーフ達が酒場で、盛り上がって話す声が、聞こえた。


『アドリアに、新しいダンジョンが出現したらしいぞ』

       

『ああそれな‥B級以上の冒険者奨励らしいが‥、

何階層まであるのか‥まだわからんらしいぞ‥‥。』

     

 『ダンジョンってのは、すごいお宝が眠ってるんだとか‥?』

         

 『命を落とす冒険者もいるらしいぞ‥。』


『ダンジョンと言えば‥‥メデルザードとカイドの国境に、

 あのダンジョンも、あるよなぁ?』

   

 『ああ‥あのダンジョンか‥「ナガラ」が攻略して、

「SS級」に認定された‥最難関のダンジョンだろう?』

  

 ナガラの名前を久しぶりに聴いた。


 (...新しいダンジョン...??...。)

(...もしかしたら兄様が攻略に来るかも..。)


『行くしかないっしょ!ネー!』『あなたは、いつもせっかちね‥。』


姉妹は、顔を見合わせて、”ゲラゲラ”と笑う。


数日後、アドリア公国に向けて旅立った。



姉妹は「ゴマ」から「メルザード王国」を縦断。

各村や街の関所を通り‥‥時間は、かかったものの、

無事にアドリア公国までやって来た。

アドリア公国の北東部の村「ビヨンド」。

田舎村だが、新しいダンジョンが出来たおかげで、

かなり賑わっている。


冒険者が集まってくれば、”金”を落とす。

宿屋・食堂・酒場・魔道具屋・武器屋・鍛冶屋・チェーン店・高級店。

村は”ウハウハ”だ。すぐに街へと変わるだろう.....。

ビヨンドにギルド支部も新しく出来た。

ダンジョン攻略するには冒険者登録証を持っていき、申請。

許可なくは入れない。パーティーを組むことができる。


姉は刀術・扇子舞術・攻撃魔法・治癒魔法・薬草採取・薬の生成が得意。

妹は転移魔法・治癒魔法・攻撃魔法・気配の探知を得意としていた。


冒険者として‥‥有名な姉妹になっていた。


村に着いた姉妹。村をひと通り散策して、宿屋を探す。

『ジュリ‥少しゆっくりしない‥?』

(...ここまで... ..結構無理させてるから...。)


 (...ネーも疲れが出てるしー...。)

『ゆっくりしたい!!』   お互いに思いやる。


2人は、宿屋を見つけ.....ちょっと高いが大きい部屋に泊まって、

疲れを癒した。


丸1日宿屋でくつろぐ。


『ネー‥‥ギルドで兄様が来たか聞いてみない?』

(...早く... ...ネーは... ...見つけたいはずなのに...。)


『ジュリ‥あなたは全くせっかちね‥。』

言いながらも、ジュリの表情を感じ取り、


『行きますわよ‥‥。』



ギルド支部に来た姉妹は、

受付嬢に『SS級のナガラは‥‥来た??』

ダンジョンについての情報、申請手続きを聞いていた。



隣の受付の前に、見慣れない髪色の人がいた。

多分、言われなければ、わからない程度の違和感。


20代の男性。

端正な顔立ち、腰には、見覚えのある刀の「桜刀」。優しい目をしてる。

瞳は黒銀色。鍛え上げてる身体...。

冒険者の中では、かなりの「有望物件」......。


      

姉妹は年頃になっていたので”チラチラ”と、その男を見る。

(...私のタイプの殿方...。)

姉に肘を軽く当て、耳元で『ネーのタイプ?』 揶揄からかう。

(...ネーの顔....赤い......わたしも....タイプなんだけど...。)


2人とも顔が赤い。

何だか視線を感じるが、受付嬢と話を続ける。


『俺は、ソロだ。ダンジョンにもぐりたいんだが‥‥

‥‥ソロでも大丈夫なのか??』


『ソロでも入れますが‥‥パーティー推奨です。』

そう言って、机の下から申請があった、登録パーティー名簿を出す。


(...そうか.. ....ソロだと厳しいのか..。).


『ソロの引き合いは‥‥パーティーから、たくさんありますから‥‥

冒険者証を見せてください‥‥。ランクを確認しますね。

前衛ですか?中衛ですか?見かけによらず後衛ですか?』


受付嬢は、後から次々へとやって来る、冒険者の

対応に追われているのか、早口で聞いてくる。


俺は、聞かれて、かなり困っていた。

見かけって‥‥脳筋に見えるのか‥?。


『ポジションは‥‥わからないな‥‥今まで師匠に、

ほとんど1人で、やらされてたからな‥‥。

おかげで冒険者に、なれたんだけど。 連携して、戦ったことがないな。』


 (.....師匠?... ...まさかあの刀?... ...探ってみなきゃ...。)


横で聞いていた姉が、

『偶然ね、私達もパーティーを、組む冒険者を、

                探がしていたところなの。』


俺と受付嬢が、声をかけられた方を見る。


『異国から来た冒険者!!桃色姉妹!!』

なんだかテンションが......かなりハイの受付嬢。


『????』俺は、びっくりした。


それから2人を、上から下まで、じっと....見る。

声を掛けてきた姉の方は、ロングの桃色の髪を編み込みにして、

髪を結いあげ、かんざしをつけている。瞳は碧で聡明な感じ。

スタイルも良く、胸は、ボイン。

異国の服をアレンジしてるのか、露出度が高い。

ショート丈のせいで、太ももは、あらわになっている。膝までのブーツ。

網タイツがちょっとセクシーでチャーミングな美女だ。

腰には、桜刀が挿してある。



妹の方は黒い三角帽に黒いローブ、

姉よりスレンダーで、髪の色は同じく桃色で瞳も碧。青い短い杖。

こちらは、黒いシャツと、黒のタイトスカートのキュートな美女だ。


(...美人の姉妹... ...なんで俺に??... ...そうか思い出した...。)


 『桃色の髪の姉妹‥‥。まさかヤマトの人か?』....姉に聞く。


『あなたの‥‥持っているのって「桜刀」よね?

              どうやって手に入れたの?』


 ((...もしかしたら...。))


『いや、その‥‥この「桜刀」は‥‥。』

(...困ったな.. ....なんて言えば...。)


 口下手な俺は、答えに詰まる。


『お話中にすみませんが、‥‥ゴクトーさんのランクなら‥‥』


『『え====「「ゴクトー」」===!!』』揃って声を張る。


 (...姉妹でそんなハモらんでも.... ..びっくり...。)


『あなたって?‥‥‥あのゴクトーさん?』姉は、泣きそうな顔。

    

 『??そうだ‥‥なんで俺の名を知ってる?』

 (...俺は聞いてるから... ...なんで??...。)


『あなたの師匠は、私達の兄‥‥噂を聞いて国を飛び出し‥‥

ずっと探していたのよ‥‥。冒険者になってね‥‥。』


声が少し上擦うわずっていた。


(..ネーも......わたしも......探したんだから....よーし...。)

『この木偶でくの坊!!早くナガラ兄の居場所を教えなさいよ!!』

一歩前に出て挑発的に、青い短い杖を構える。

 

(...またびっくり...。)


ポッカーン。


目の前の受付嬢も、どうしていいのか.....わからない様子。


『おいおい何だ?』 ...。『なんだか揉め事みたいだぞ!!』


いつの間にか、冒険者の野次馬が増えてきた。


『おいあれって、桃色姉妹だろ‥‥美人で強いって‥‥。』

         

『よし‥‥俺が行って、ウチのパーティーに。』


「桃色姉妹」に、ダンジョン攻略する、パーティーのリーダー達が、

 気付き勧誘し始めた。姉妹達は有名で、ちょっとした騒ぎになる。

 矢継ぎ早に、何人ものリーダーを、素っ気なくかわす姉。

 ポカーンの俺は無視され.....。受付嬢も固まっている。


(...この姉妹......有名なのね...。)


突然の出来事.....。姉は俺の腕を取り、”ガッチリ”ボインな胸に固定。

妹を連れて.....ギルドを出た。足早に歩く。


『有名なんだな‥‥。君達‥‥。』顔に血が昇りながら歩く。

          

(...嬉しいけどね... ...ぐいぐい...。)


『早く!!ナガラ兄の居場所を教えなさいよ!!』

(..だらしない顔して全く......ネーは大きいから...。)


またわめく。



『少し歩いた所に、私達が泊まっている宿屋があるから、ついて来て。

 逃げられたら困るのよ‥やっと見つけたのだから‥ね‥‥。』

(...タイプの殿方だし.....ふふ......離さないわよ...。)


『あのーーー腕を‥‥。』ボインな柔らかい感触。腕に伝わる。


”ぐいぐい”ボインな胸に、俺の腕を押し付ける。

 

3人は、そんなやり取りをして....宿屋へ向かう。





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る