序章 2 見つける為に

第7話  急報


さかのぼる事1ヶ月ほど前。

「トランザニヤ」では、ある異変が起きていた。

『......ご報告が‥‥。』年配の侯爵から、話があった。

末弟のドミナス・ファン・トランザニヤは、

『何事かね?』優しくたずねる。年配の重臣に、発言の許可を出す。

この国の王爵‥‥長男のオブリオ・ロイ・トランザニヤ三世は、

白亜の王宮の広い玉座の間で、いつもの定時報告を、黙って聴いていた。

『どうした?』横で立っている次男の、

マグナス・ファン・トランザニヤも報告を聴く。


国は2000人程しかいない小さな国。『始祖の一族』の末裔か眷属けんぞく

この国は爵位制度で、王様とは言わずに「王爵」。

トランザニヤ家の長男である者だけが「ロイ」を許される。

弟達は「ファン」を使っており「公爵」。他の重臣達や眷属の一族にも、

「侯爵」以下の爵位を与え、この国を治めている。

数百年の間、この地に移り住み平和に、暮らしていた。


トランザニヤ家には、大きな特徴がある。

「髪と眉の色は銀色・目は赤・瞳は銀・肌は薄青・犬歯」

特殊な能力‥‥。例外もたまにいる。

3兄弟は、仲が良い。

代々受け継がれていた...家訓が彼ら達を、そう育てた...。


長男オブリオは威風堂々として、玉座の間に座ってる。

身長は2メートル位あるのか。30代前半に見える。

銀色の長い髪を後で束ね、鍛え上げられた肉体なのか、

胸板の厚さがわかる。人とは思えないほどの美形。

きらびやかな始祖一族特有の衣冠。


次男のマグナスは、知的で厳格そうに見える。

やはり美形で、30歳前半だろう。

銀縁の眼鏡をかけていて、細マッチョ。

身長は兄より低い。銀色の口髭が似合ってる。

特有な紫色の衣に黒いマント。


末弟のドミナスは、1人だけ髪色は紺。優しい雰囲気を出す紺の瞳。

兄達とは違い、顔はそこそこ。ぽっちゃりして背も低い。20代後半位。

特有な群青色の衣に紅いローブ。


兄弟は年配の侯爵から、まさかの報告を受ける。

報告を聴いた玉座の間の一同は、狼狽うろたえる.....。


閣下かっか‥「ヒドラ」が、突然現れるなど‥あり得ませぬ。

上位の龍種ならわかります。この地にもかつて現れましたから‥‥。

現れたブラックドラゴンをマグナス兄上が、討伐隊を率いて、

討ち取ってくださり、その時は大事に至りませんでしたが‥‥。

「ヒドラ」とは、最上位龍種‥‥別界で生まれし龍。

この世には、存在しないはずの‥‥。亡き父、王爵より聞いております。』

『現れたものは、仕方あるまい‥討伐隊をまた編成するしか‥‥。』

顔をしかめたオブリオは、弟であるマグナスの方を、チラリと見る。

『閣下!我にご命令を!!』察したのか‥‥ひざまずくマグナス。

『討伐隊を編成するのは、マグナスに任せよう‥。

   いいか‥‥決して死ぬようなことがあっては、ならんぞ‥。』

弟の身を心から案じて、不安な顔になる。

『兄上‥。』ドミナスもまた、兄の身を案じていた。

『なぁに‥‥いくら「ヒドラ」でも我が家系の力を、

                存分に見せてくれよう‥‥。』

自信満々のマグナスは、

何人かの重臣たちに『御前達!!我に続け!!』と命令し、

重臣達を引き連れ、玉座の間を勇ましく、出ていった。


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