第6話 思い切り当事者
「それじゃ、配信やってくぞー」
今日はいつものダンジョンではない別のダンジョンに来て配信をつける。
いつも言ってるダンジョンは花坂モモちゃんの事件があってから立ち入り禁止になってしまったのだ。
まあ、★10の魔物が出たわけだからな。
仕方ない。
「……今日はな―素材集めしがてら金策していくぞー」
毎度のことながら最初は誰も来ないんだよなー。
まあ、別にやることは変わらないし……寂しくなんてないんだからねっ!
”おー今日は別ダンジョンなのです?”
なんて思ってたらコメントが書き込まれた。
この前来てくれたねこねこさんだ。
「おー!ねこねこさん、また来てくれてありがとー。だなー今日は別ダンジョンに金策しにきてるぞー」
そう言って俺は★4の魔物であるオークを真っ二つに切り割いた。
「よっと」
”……オークを一撃って頭おかしいのです”
「そうかな?」
そう辛らつにツッコミを入れられてしまうが……まあ、僕は最強だからな。これくらい当然のようにできる。
っていうか流石に、トップ層の冒険者でも同じようなことできるんじゃなかろうか?
なんで思いながら俺はオークからドロップした肉だけを取りカバンに詰める。
魔物は倒すとドロップアイテムになる。
それがこの世界の常識なのだ。
「って、誰に説明してるんだか」
”そう言えば主さんあのニュースってみたのです?”
「あのニュース?」
そうねこねこさんから言われて首をかしげる。
”花坂モモさんのニュースなのです”
そう言われて頷く。
「もちろん知ってるよ。っていうかアレもろに俺当事者だし」
”当事者なのです?”
「うん。だって、あの子助けたの俺だもん」
”うそだー”
間髪入れずそう書かれた。
「嘘じゃないよ!……証拠ないけど」
あ、でも俺の来てた羽織そのままあの子に渡したままだからそれが証拠になるかな? ……まあ、今見せられないって意味では証拠にはならないかもだけど。
”というか、もしも主さんの言ってることが本当だとして……どうして主さんってあのダンジョンは入れてたんです?あのダンジョン、事件が起きてからすぐ立ち入り禁止になったはずなのです”
「この前は深層探索だったからさ、ちょうど事件が起きる前からダンジョンに潜ってたんだよ」
俺は強いが、実は身体能力はそこまで高くない。一般的な探索者に毛が生えた程度か、それより少し強いくらいだ。
そのためというかなんというか、ダンジョンの最奥に行くまではだいぶ時間がかかってしまうのだ。
「完全に俺の強さって、技術に頼り切りなところあるからな……」
そんなことを話しながら、3体のオーク、そして★2の魔物である4体のコボルトを倒す。
それぞれドロップしていたアイテムを袋に詰め、てくてくと奥を目指す。
「今日は、とりあえず4層のボス倒して終わりにしておくかな」
”がんばれーなのです”
「ありがとなー」
そう言いながら俺はとてもリラックスした感じでボス部屋の前までやってきたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます