第7話 苦戦などないだって俺、最強だもん
俺はボス部屋に入ったと同時にボスへと切りかかり一刀両断した。
……苦戦?
そんなものない。だって俺、最強だもん。
ちなみに四層のボスは★5の魔物、ボスオークさんだ。
”やっぱり一撃なのですね……”
そうねこねこさんはどこか呆れたようだった。
何故に……
ま、とりあえず今日の目的は達成したし帰るか
”こんばんわでござる”
「あ、ムサシさんだいらっしゃいー。すまんなちょうどボス討伐して終わる所なんだ」
”あ、そうなのでござるか。お気になさらずでござる”
俺はそう言いながら、ダンジョンの奥へと進む。
「よし、セーフポイント到着―!」
そういって俺は配信中のカメラを向く。
さてとそろそろ終わる……
”あ、そういえば今日姫様パーカーなのでござるね。パーカーも可愛いでござる”
「ん?あ、そうだよー今日はパーカーでしてたんだ。珍しいでしょ?」
ムサシ武将さんにそう言われて、ちょっと照れながら答える。
”そういえばこの前は羽織だったのに変わってるのです。今日はパーカーの気分だったのです?”
「ん?いや、違うよ」
ねこねこさんに聞かれてそう答える。
「……実はさーこの前、前まで使ってた羽織別の子にあげちゃってねぇ。まだ代わりの衣装を用意できてないんだよ」
”あげちゃったのでござるか?”
「そうそう。替えの衣装とかないからねー新しいの買わないと」
そう、この前花坂モモを助けたあの後、服もまともなものが無かったから着せてた羽織をそのままあげちゃったんだよな。
「けど、なかなかいいのが無くてさ……ダンジョンで耐えれる丈夫な羽織ってなかなかなくてね……」
あっても高いんだよな。
まあ、羽織って半分趣味みたいなものだし……普通は革の鎧とかジャケットとかそういうのだから……
前の羽織はバイト先で余ってたのを貰ったから無料だったんだけど、まともに買うと数十万はするんだよな。
”だから今日は金策に来たのですね”
「そうそう、そういうのもある……まあ、そんなに収入にならないけど」
”え、けど今日沢山ドロップアイテム拾ってたのです。あれだけあれば結構お金貰えると思うのです。モンスターの素材全部売らないのです?”
「いやまあ売るんだけどさぁ……あんまお金にならないんだよ」
”けどオークって結構いい値段になった気がするのです”
そう言われて俺は点を仰いだ……
「オーク、俺は売れないからな……」
”オークを売れないのです?探索者なら問題なく売れるはずなのですよ?”
「いや、あの……探索者の免許は持ってるんだけどさ……」
そう言って配信で俺の免許証を見せる。
本来はこういう個人情報は見せない方が良いんだろうが……前に事故って見せてからはもうどうでもよくなってる。
「永遠のレベル1なんだよね……」
そういって見せた免許証にはLvが1/1と表記され、スキルの欄に何も書かれていない糞雑魚なステータスが記載されていた。
レベルにある1/1とは、現在のレベルと最大レベルを表している。1/1というのは、レベル1までしか上がらないという事になる。
”本当にレベル1なのです……”
「だから、オークとかのお肉って売れないんだよ。偽物ーとか言われてさ、ぐすん。売れねぇんだ、高ランクのモンスターの素材……」
そういって俺はしょんぼりと肩を落としたのだった。
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