第2話 フェイクじゃないよ⁉
”す、すごい……ミノタウロスを一撃で……”
そう言ってねこねこさんは驚愕した様なコメントを書き込んでいた。
”主さん凄すぎます!”
”ふふーんそうでしょそうでしょーうちの姫ちゃんは凄いんだー( -`ω-)どや!”
「そうでしょそうでしょ~(ドヤッ)……って、なんでネモさんもドヤ顔してるんだよ」
何故か俺と同じようにドヤ顔をするネモさんにツッコミを入れる。
”因みに勘違いしているっぽいから補足しておくと、今姫様が倒したのはミノタウロスじゃなくて、ミノタウロスキングって別種なのでござるよ”
”ミノタウロスキング?って”
そう言われてねこねこさんは首を傾げた。
それもそうだろう、俺がいる場所は俺以外の人間が足を踏み入れていない未踏の地。
出てくる魔物はまだ見たことない魔物ばかりだ。
……見たことない魔物ばかりでどうして俺が敵の情報を知ってるかって?
それについては、俺が鑑定の眼鏡を使って直々に調べた。
鑑定の眼鏡というのは俗にいう、鑑定スキルが内蔵された魔道具であり、目にかけて見ると魔物などの情報が簡単に見える物だ。
この鑑定スキル、原理は分からないが人類がまだ見たことない物とかでも情報出してくれるんだよな。便利だからいいけど。
まあそもそもスキル自体が原理不明の神の加護とか何やらかんやら言われてるものだから…っと話それかけた。
「あ、えっと……ミノタウロスキングね。ミノタウロスキングは★18の魔物で、ミノタウロスの上位種?に当たる魔物なんだー」
”★18!?え?”
そう説明したが、説明の中に出て来た★18という単語にねこねこさんはたいそう驚いたようだった。
まあそうか、確か先日の★10のドラゴンが誰も倒せない魔物って言われてたくらいだし、こういう反応にもなるか。
そう俺が一人納得していると、ねこねこさんは、ハッとしたようにコメントを書き込んだ。
”★18の魔物を倒した……そもそもミノタウロスを一撃で倒せること自体が普通はおかしい。主さんもしかして……”
「そうそう、僕は強い……」
”フェイカーですか?”
「そうそう、フェイカー……フェイカーってなんだ?」
”フェイク動画を配信をする探索者の事でござる”
「なるほどー…………違うよ⁉」
そう言われ、俺は首をブンブン横に振った。
「フェイカー?じゃないよ⁉」
”そうでござるよー。まあ、フェイクを疑う気持ちは分かるでござるが、姫様の配信は至って普通のライブ配信でござる”
「そう!その通り!」
そう、ムサシ武将さんから言われ俺は思いっきり首を縦に振った。
”逆に怪しい……”
「怪しくないよ⁉」
”フェイクはいけないと思いますっ‼”
「だからフェイクじゃないんだけどなぁ……」
そう言って落ち込む俺。
と、その時だった。
「ん? おかしいな?」
落ち込む俺はダンジョンで聞こえない音が聞こえ、首を傾げた。
”どうしたのでござる?”
「いや、今なんか……人間の声が聞こえた気がしてさ……」
”え、人間の声?そこまだ姫ちゃん以外いない場所じゃなかったの?”
「うん、そのはずなんだけども……」
ネモさんにそう言われ俺も頷く。
「おかしい……」
そう思うが、明かに人の気配を感じる。
足音、呼吸音。そして空気の流れが明らかな人の気配を俺に知らせてくる。
「いる、間違いなく誰かが」
”前人未踏の地なら、人が良なはずじゃないですか?”
「それはそうなんだよ、居るはずがない。けど誰かいるんだよ、間違いなく」
この人外魔境の何処かにね。
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