第46話 迷子解決
Side:テア
朝起きて、色々と考えてみた。
レイラちゃんの両親はモンスターから逃げられたのなら、馬車を停めてポイントカードの機能で飛んで来ることができるはず。
もしかして亡くなった。
状況が分からなくてイライラする。
パン屋の朝の仕込みに店に行ってパンを捏ねる。
「テアちゃん、荒ぶっているね。何かあったの?」
「聞いて」
いきさつをスイータリアちゃんに話した。
「ふーん、何か事情があるのよ」
「連絡ぐらい寄越せると思うけど」
「今日、休み時間にシナグルお兄さんの所で召喚の魔道具を使わせて貰ったら」
「でもレイラちゃんの両親を知っているのは、レイラちゃんだけ。できるかな」
「駄目元よ」
パンを捏ねたのでしばらくは寝かして置く時間。
レイラちゃんを連れてシナグルさんを尋ねる。
「そういう事情なら、召喚を使っても良いよ」
絨毯の魔道具の前にレイラちゃんが立つ。
「ママ、来て。お願い」
だけど、一向に現れない。
「たぶん幼すぎて駄目なんだと思う」
「ママ、来てくれない」
「よしよし、レイラちゃんのせいじゃないわ。泣かなくて良いのよ」
分かった私が何とかする。
善行ポイントを溜めて、レイラちゃんの両親が亡くなっていても生き返らす。
生きてたら絶対に連れてくる。
1日で善行ポイントを溜めるには、普通にやったんじゃ駄目。
パンをただで配ったぐらいでは駄目。
それに私の小遣いではそんなに多くのパンは買えない。
困った顔して歩いていたわけじゃないと思うけど、話掛けられた。
「困った顔しているね。私、3人の人に親切しなきゃならないの。もし私の親切が良かったらあなたも3人の人に親切にして」
そんなことをしている人もいるのね。
頭が良い。
あれっ、レイラちゃんは幼過ぎて召喚出来なかったけど、大人ならありよね。
この3人の親切運動の内容をちょっと変えて、レイラちゃんの両親を知りませんかにする。
知ってたら、パンの詰め合わせを贈ろう。
これならお小遣いで足りる。
3人の人にレイラちゃんの両親を尋ねる作戦が始まった。
偽物が何人か出たけど、召喚の魔道具を使えば嘘を言っているか、すぐに分かる。
情報の受付をクラリッサお姉さんがしてくれることになった。
レイラちゃんもクラリッサお姉さんに任せる。
エプロンを着けた女性ならレイラちゃんは誰にでも懐くみたい。
エプロンを着けたクラリッサお姉さんに、レイラちゃんは懐いていた。
レイラちゃんの両親を知りませんかというポスターも作った。
そこには3人の知りませんか運動も書いてある。
シナグルさんがポスターを作るのにプリンターという魔道具を貸してくれたので、ポスターは簡単に用意できた。
そして、遂にレイラちゃんのママが召喚された。
報せを受けていくと、レイラちゃんはママと抱き合っている。
「何でもっと早く来れなかったの」
怒りがこみ上げてきた。
「あなたが、レイラの面倒をみてくれたのありがとう。ごめんなさい、色々あってここに来れなかったの」
「それはレイラちゃんを放って置いてすること? それに謝るのならレイラちゃんに謝って」
「ママを虐めないで」
レイラちゃんがママを庇う。
「レイラ、ごめんね。ママを許してくれる?」
「うん」
レイラちゃんは許したけど、私は許せない。
「色々を説明して」
「ポイントカードの防御機能でモンスターを撃退したのだけど、ポイントカードが壊れたのよ。モンスターが強すぎたのね」
「懸命に祈れば裏口が使えたはずよ」
「裏口があるなんて聞いてないわ」
魔道具が欲しいと祈れば現れる裏口は、知っている人が少ないのね。
怒りがちょっと和らいだ。
レイラちゃんと、ママはシナグルさんが転移で送っていった。
ポイントカードが光る。
今の目標は、迷子を送り届ける魔道具を作ってもらうの。
そのためには、ポイントを溜めないと。
レイラちゃんの両親は見つかりましたのポスターを貼ったけど、相変わらず知っていると言ってくる人がいる。
召喚して偽物か試すのもレイラちゃんのママに迷惑だろうから、バンをただで渡す。
渡すと時たまポイントカードが光る。
パンが欲しかったのね。
騙されておきましょう。
きっと空腹だったに違いないから。
尋ね人って多いのかもね。
3人に尋ね人する作戦はここで終わらせるのは勿体ない。
でも召喚の魔道具を使えば、問題ないのよね。
シナグルさんが貸してくれるかどうかは分からない。
たぶん緊急性がないものはだめね。
ええと、3人の尋ね人は猫探しからやってみようかな。
猫がいなくなったという話を聞くと、ポスターを作り、3人に訪ねる作戦をやった。
捕まえてきてくれた人にはパンの詰め合わせ。
意外に猫探しはみんな協力してくれた。
見つけて飼い主のもとへ戻すとポイントカードが光る。
休憩時間は今まで暇だったから、良い暇つぶしができたわ。
子供の迷子の時はシナグルさんは流石に召喚魔道具を使ってくれた。
幼過ぎてということはなくて、大抵は子供が親を召喚して終わり。
親が子供を探す逆パターンもある。
犯罪性が疑われると、義賊王のおじさんが嬉々として首を突っ込んだ。
私は人探しのテアという二つ名が付いた。
二つ名は嬉しい。
これからも頑張ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます