第22話 開店準備

Side:シナグル・シングルキー


 交易都市に行く前に。

 始まりの魔道具を作らないと。


 それはこれだ。

 『Japanese-English translation』、和英翻訳の魔道具を作る。

 これができれば百人力。

 歌は『ララーラーラー♪ララー♪ララーラーラ♪ララー♪ラーラ♪ラ♪ラララ♪ラ♪ラーラララララー♪ラ♪ラーラ♪ラーラーラ♪ララーララ♪ララ♪ラララ♪ララララ♪、ラー♪ララーラ♪ララー♪ラーラ♪ラララ♪ララーララ♪ララー♪ラー♪ララ♪ラーラーラー♪ラーラ♪』だ。


 よし、次は。

 『summon』、召喚の魔道具だ。

 歌は『ラララ♪ラララー♪ラーラー♪ラーラー♪ラーラーラー♪ラーラ♪』だ。


 ケアレスにこれを持たせて、交易都市に行ってもらった。

 俺がまず宿屋の一室で召喚された。

 うむ、愛弟子を召喚。

 そして、引っ越し組を召喚した。


 宿から出て交易都市を観光する。

 愛弟子達は4階建てのシナグル魔道具百貨店を建てるべく奔走している。

 俺もやろうとしたら、任せて下さいと言われた。

 うん、人に任せる所は任せないと。


 俺のやるべきことはマニーマインや他の人に言われた宿題を片付けることだ。

 散歩すると何かアイデアが浮かぶかも知れない。


 交易都市は本当に広いな。

 王都より広いかも知れない。


「ばっかもん! 金庫室の鍵をなくしたって。お前なんか金庫番失格だ」


 怒鳴る声が聞こえたのでそちらを見る。

 商人らしき人が揉めていた。


「すいません」

「どうしようか。悪人の手に渡ったら」

「その心配はないですよ。私しか使えないですから。シナグル工房で作ってもらった特注品です」


 ああ、そんなのも作ったな。

 仕組みは魔道具が個人識別して、その魔道具を起動すると、あるパスワードを魔力で発信する。

 金庫室の扉はパスワードで開く。

 だからパスワードを知っていれば誰にでも開けるのは可能だ。

 鍵魔道具を作ってやるか。


「シナグルだ。鍵の複製なら作れるぞ」


 パスワードは覚えているからな。


「偶然の出会いに感謝を」


 俺は宿に帰ると金庫室の鍵魔道具を作った。

 『Key with personal identification.The password is open sesame』、呪文はこの英語の文章だ。

 歌は『ラーララー♪ラ♪ラーララーラー♪、ララーラー♪ララ♪ラー♪ララララ♪、ララーラーラ♪ラ♪ララーラ♪ラララ♪ラーラーラー♪ラーラ♪ララー♪ララーララ♪、ララ♪ラーララ♪ラ♪ラーラ♪ラー♪ララ♪ラララーラ♪ララ♪ラーララーラ♪ララー♪ラー♪ララ♪ラーラーラー♪ラーラ♪、ラー♪ララララ♪ラ♪、ララーラーラ♪ララー♪ラララ♪ラララ♪ララーラー♪ラーラーラー♪ララーラ♪ラーララ♪、ララ♪ラララ♪、ラーラーラー♪ララーラーラ♪ラ♪ラーラ♪、ラララ♪ラ♪ラララ♪ララー♪ラーラー♪ラ♪』だ。

 魔道具のがわはカード型。


 ああ、入室に個人識別か。

 カードで転移アイテムは良いかもな。


 となると来店ポイントがあるポイントカードか。

 これなら毎日店にくるご褒美にもなる。


 商品購入でポイントが溜まるのはありがちだけど、うーん商品管理がめんどくさい。

 いちいち商品ごとにデータ入力と更新が必要になるからね。


 来店ポイントは一律で良いとして、何かないかな。

 鍵を納品しての帰り、教会を通り掛かった。


「善行を積むと良い事が訪れます。親切にしましょう」


 宗教くさいが、こういう行為は良いかもな。

 そうだ善行ポイントだ。

 俺が判断するのはめんどくさい。

 神にやらせよう。

 となると神の硬貨だ。


 神の硬貨は一度だけ願いを叶えることが分かっている。

 ただその力は永遠に発揮されるだろう。

 筋力を望めばずっと強化してくれる。


 ポイントカードに神の硬貨を埋め込んで、個人識別、店への転移、善行ポイントの計算、暴漢からの防御、ポイントカードの機能。

 これを纏めていっぺんにポイントカードとして願おう。

 通るかな。

 やってみるだけだ。


 『membership card』、この呪文で、ポイントカード魔道具を作った。

 歌は『ラーラー♪ラ♪ラーラー♪ラーラララ♪ラ♪ララーラ♪ラララ♪ララララ♪ララ♪ララーラーラ♪、ラーララーラ♪ララー♪ララーラ♪ラーララ♪』。

 これで核石を作って、溜石の代わりに神の硬貨。

 そしても導線を繋ぐ。

 転移をポイントカードに願うと、店の予定地の前に転移した。

 帰還を願うと元の場所へ。

 来店ポイントの魔道具を後で作れば良いな。


 次は善行だ。

 俺は物乞いに銀貨を恵んでやった。

 ポイントカードが光った。


 やった成功だ。

 前に魔道具で確かめたところ、魔道具神と邪神は仲が良い。

 邪神だが、悪い事をする神ではない。

 負の感情から発生される邪気を浄化するという神だ。

 邪気の神だが、浄化の神と言った方が良い。


 この魔道具は善行を積めば、ポイントが入る。

 おそらく魔道具神と邪神は喜んでいるに違いない。

 邪気を減らす行為だからね。


 来店ポイント加算の魔道具は。


 『Add visit points』で良いな。

 歌は『ララー♪ラーララ♪ラーララ♪、ララララー♪ララ♪ラララ♪ララ♪ラー♪、ララーラーラ♪ラーラーラー♪ララ♪ラーラ♪ラー♪ラララ♪』だ。


 よし、着々と準備が整っていく。

 ポイントが一定数溜まったら、好きな魔道具を俺が作る。

 物騒でない物に限るが。


 さっそく今までの顧客にでき上がったポイントカードを配った。

 まだ開店前だが、善行を無駄にしたくないからな。

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