ねこが机にのるまで/遠道 八千代

遠道 八千代

ねこが机にのるまで

ボロ切れの道で鳴いたる「わぁ」の声 猫でいいのか審議を要す


とりあえずうちにくるかい猫らしき 喉を震わせ「わぁ」鳴くらしき


猫の子になってきたねえ猫らしき 煮干しと茹でたキャベツが好き


毛が生えていよいよ猫になりにける ハゲワシからのイリュージョン


ハゲワシの後ろ姿でしがみつく獲物はあっち私は主人


早起きが得意ではなく起こされる猫の腹時計次第の朝よ


生サバの寿司をシャリだけにす極悪非道に机を禁ず


面白きことしかないかお前には塵と戦う尾も黒いねこ


髪型は七三分けといわれたる 今日もカメラが人と撮る君


アポロだね鼻の模様がよく似てる昔はもっとジューシーだった


君よりも早く起きる朝が嫌だよ息をしてるか確かめるのが


君が死ぬ夢を毎朝見て起きる きっと明日から生きた夢になる


君が今冷たいことに安堵する 冷えていくのが寂しくて手の


花よりもキャベツの葉を降らせよう 買い物袋襲う君がため


虹の橋ちゃんと渡れ寝るなこら お盆の日には焼きのり出すから


花かつお お前のことを想うたび 天に降れよと願うまたたび


荼毘に伏す旅に出るのと同じよに 長い散歩に付き合うよ、また


ねこよねこ、お前が灰になるまでを見てみたかった星が生まれる


白黒が白一色になったねえ 拾った頃の重さに似てる


ねこは今、きれいな小瓶在住で机にのるの許されている

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