第39話 千載二遇(4)

3ヶ月前に後輩の潮田と取材に行った"ジガリア"という駅地下の占い屋さん。

そこの"TAKESHI"というクソダサネームのチャラチャラした占い師さんが目の前にいる警官だ。

若者を中心に人気のある占者だけど、当の本人は占いや霊的な事象に関しては全く信じていない。

(詳細は♭.4参照)


なんであの能天気占い師がここに…?

というわたしの表情から察したのか


「やだな鮫川さん。おまわりさんはサイドジョブってヤツですよ。サ イ ド ジ ョ ブ。いいでしょ?"占いのできるおまわりさん"」


とドヤ顔で勝手に説明する。


胸元のネームプレートには【五十嵐 武史】と本名が書いてある。

【TAKESHI】なんていうクソダサネームより絶対【五十嵐】を占いネームにした方がいいのに。


五十嵐 武史。韻を踏んでてなんかヤダな。

と失礼なことを思う。


「…おまわりさんって 副業OKなんですか?」


目を合わせずにわたしは尋ねる。


「なに古臭いこといってんすか!副業なんて今の時代当たり前っすよ。二足のわらじってヤツです。」


ナハハと笑う占い師さん改めおまわりさん。

『二足のわらじ』なんて物言いの方が古臭いと思うんだけど。

たしかに今思えば、1回100円の占いでご飯を食べていけるわけないか。。


「お隣さんはお友達ですか?もしかして彼氏さん?」

占い師…いや、今はおまわりさんの五十嵐さんがジェットとわたしを交互に見て冷やかしてくる。


「…わたし恋愛の話しないって 第4話で公言しましたよね?」


「4話ってなんすか?」

五十嵐さんが眉をひそめる。


そんなことより、とジェットが冷静に会話を本題に戻してくれる。


そうだった。お京を追わないと。

息を整え、わたしは五十嵐さんを見る。


「おまわりさん お仕事です。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る