第1話 オリエンテーション 新たな物語の始まり

国はある時突如としてスキルを覚醒した人間の力に対応すべく従来の高等教育機関、従来の大学機関は崩壊し一変させる必要があった。全ての高校教育機関は過去の私立制を廃止され国営の国立のものとなり、授業料は全額国負担の全寮制のものとなった。個々の高校は、各々の伝統を育みつつ、個性を出していった。

一人の少年が今から通うこととなる二等高度教育専門機関、二高の正門の前で立ち止まった.。その高校生活を送ることとなる高校は新しくできたと言ってもいいほど綺麗で近未来の風貌だった。

少しの緊張感を覚えつつ学校を眺めながら正門を潜る。

正門を潜ると辺りには自分と同じ新入生が多くいた。ほとんどはどこかしらに向かって歩いていたが中には複数人で話しているものもいた。迷うことなく見た感じ人が集まっている校内の中に入った。少し中に入ると多くの人が集まって見ている掲示板があり、それに視線を移した。

それには生徒の教室が割り振られた番号が記載された大きい紙が貼られていた。

掲示板に書かれた番号を確認して、指定された教室に向かう。


教室の前についた。

教室のドアは自動で開くタイプで教室に向かう際に生徒が教室に入っていく様子を見て確認した。

少年は自分の教室を前にこれから仲間になるであろう人たち、新しく始まる学園生活に少し胸を踊らせる一方で、どこからともなく緊張感を感じ、それと同時に心臓の鼓動が早まり出した。

ドキドキしながら自動ドアの前に立つ。

ドアが横に「ビーン」とずれていき徐々にクラスの中の様子が見えてきた。

少年の目にしたのは座るクラスメイトの顔や立って話し合うクラスメイトの姿でも無かった。

まず目に入ってきたのはボールだった。


手に持つにはいいサイズ感で投げやすそうな形をしていた。質感は当ったらひと溜まりもなさそうな硬い素材であろう。そんなボールが少年向かって投げ込まれたのである。放置したら顔に直撃するであろうボールの軌道だった。

少年は瞬発的にボールをかわした。

(う!あぶな)

そして当然投げられたボールの軌道の直線状に目をやる。視線の先にはボールを投げたらしき体格に恵まれた男が一人廊下に転がるボールを拾いに走ってきていた。

その男と少年の視線が一瞬のうちだけ交差し、すぐ解かれた。

男からの詫びの言葉は一言もなかった。

あったのは『おい、とれよ』とクラスメイトの誰かへの言葉だけだった。

少年は最初は何かの間違いかと思っていた。こんな奴がいるものなのかと思った。だがこの世の中には他人に一切気を使わない奴もいるらしい。一連の男の動作を見てまぁこんな奴もいるものかと楽観的に捉えることにした。

それから何事もなかったかのように少年はクラス全体を一望した後自分と同じ番号が貼られた席に座った。少し落ち着いた後クラスメイトの様子を観察した。物静かな奴やさっきの態度がでかい奴,見た目通りのクールな奴など、みんな自分の好きなように過ごしていた。

しばらく経った後クラスメイト全員が揃ったようで、立って話していた生徒も自席に座り始め全員が今では座った状態である。少年は隣の人と話すでもなくじっと静かに先生が入ってくるのを待っていた。

(話したいが、どう声をかければいいんだ?俺は友達付き合いが苦手なんだよな。今までできた友達といえばあいつらぐらいだし)

少年は誰かが話しかけて来てくれるのをずっとずっと待っていた。だが少年のもとへ話しかけてくる人は誰一人としていなかった。

それでも隣の人も誰とも話していないみたいで安心した。


そして「ビーン」自動ドアが開く音がした。

今日から担任になるであろう先生が教室に入ってきた。第一印象は綺麗な感じの人であった。メガネをかけていて、長髪に黒色のスーツがよく似合うすらっとした体型だった。

「今日から第2クラス担当する事読だ。担当科目は国語だ。よろしく頼む。早速で悪いが今からレクリエーションを兼ねた軽い勝負をしてもらう。出席番号の前から5人ずつの合計8チームに分かれろ。チームに分かれたらリーダーを一人決め、私に知らせに来い」

いきなりのことで教室は一瞬の静かさの後、ざわつき始めた。

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