第5話


『食べ物をくれる子が好きだそうです』

『???』

『長十郎の好み』

『もう聞いてきてくれたんですか? ありがとうございます!』

『いえ、全然』

『食べ物って具体的にはどんな感じのものですかね? クッキーとか?』

『お菓子よりはご飯ですね。腹持ちの良い食べ物が好まれます。少し難しいかもしれませんがお弁当を渡すと喜ばれると思いますよ』

『お弁当……いきなり渡して受け取ってもらえるでしょうか?』

『やつは食べ物なら絶対に拒みませんので安心してください』

『分かりました。作ります。明日』

『明日ですか?』

『はい。思い立ったが吉日、それ以外は全て凶日と言います。料理は得意と言えるほどではありませんが、頑張りたいと思います』

『分かりました。それでは明日の昼、西校舎の四階、屋上ヘの階段の踊り場に行ってください。私が長十郎を誘導しておきます』

『ありがとうございます。それとなのですが、辰川くんはいつもそこでご飯を食べているのですか? 一人で?』

『基本的にはそうです。すみません、家の手伝いがあるので今日はこれで』

『いえ、こちらこそありがとうございました。このご恩は忘れません』

『(頭を下げる猫のスタンプ)』

『(お別れを言うおばけのスタンプ)』

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