第6話
「おねえさん、さあ、りきんで!」
「ふっ……ふーっ!!」
「ほら、もう少しだよ、頑張って!」
いざ出産となったときに、そばにいてくれるのはやっぱりルゥだけだった。森に動物たちは戻ってきたとは言え、私の知る限り、人間は戻ってきていない。
産婆さんも存在しないので、やっぱりルゥに手伝ってもらうしかなかった。
私の身体は隅々までルゥに見られているし、ルゥに出産を手伝ってもらうのは嫌ではないけれど……。
長い長い時間陣痛に耐えてきているのに、まだ赤ちゃんは生まれてこない。立ち会ってくれているルゥの額にも、汗が流れている。
それからどれだけの時間が経ったのか……。気が付いたら、赤ちゃんが泣いていた。出産は無事に終わり、私は気絶していたようだった。
「おねえさん、よくがんばったね。かわいいおんなのこだよ」
赤ちゃんは、その名の通り、真っ赤な身体で震えていた。あまりに小さくて、本当に人間なのかと疑いそうなくらいだった。
「おねえさん、ぼく、いま、すっごくしあわせだよ」
涙を流して喜ぶルゥに、私も、と口の動きだけで伝えた。
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