第3話
「ねえ、おねえさん、ぼく、へんかもしれない」
無事に家に着き、夕食を共にしたあと、食器を洗っている私のところに、ルゥはすり寄ってきた。
「さっきくまにあったでしょ? ぼくもおねえさんをまもろうとひっしだったんだけど、こうしてぶじにかえってきたら……」
食器を洗っているときに、まとわりつかれると作業が進まなくて困るのだけど……。ルゥは言葉を慎重に探している様子で、こちらも真面目に向き合わないといけないなと、手を止めて彼の方を見た。
「ん? なあに?」
「おねえさんとこづくりしたくてたまらないの」
ちょっと思ってもみなかった言葉が出てきて、面食らう。返事を迷う私に、ルゥは気にせず口づけしてきた。
「ん……ちょ、ちょっと……んっ……ルゥ……! 待って……!!」
「まてないよ。ずっとがまんしてきたのに、おねえさんはちっともきづいてくれない」
水洗いで濡れた手のままの私を、ルゥはひょいと抱き上げて、寝室へ移動するようだった。いつもは洗濯物をたくさん干していたそこは、珍しく片付いていて、寝台までのルートを遮るものはなかった。
「待って……! ルゥ、待って……!! 心の準備ができてないの……」
「だいじょうぶだよ、おねえさん。おねえさんのからだのじゅんびはもうできてる」
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