第18話 空の戦い(後編)

マーシャリアン歴

元年の7月4日 

新国家・タラーナ・パメラン魔導連合王国、

王都・マーシャリナ(旧中央難民避難所)

午前10時01分頃


【注意・その2】

今回は僕の視点ではなく、戦いが終わった後、聞いた話と自分の目で見た話しをする。


弥生はチューウェン労働者連邦人民騎兵団の団長、モン・クンエイを瞬殺した後、

すぐに戦いの戦火に身を投じた。

ワイバーンに乗っている団員を日本刀で切り捨てながら、サンノモト皇国の戦闘員を援護していた。


「強いが、数だけの烏合の衆。」


あっけなく切り捨てられていく人形化された団員たちに対して哀れみ、軽蔑、悲しみを混ぜわせた感情を持っていた。


「こんな非人道的なことをした輩が必ず断罪しなければならない。」


モン・クンエイは無敵の超人と豪語していたが、弥生からしたら団員は少々強いレベルだった。


ワイバーン15騎が彼女の周りを囲んだ。

小型魔法砲が発射されるかと思ったら、15騎、全員は同時に、小型魔法砲、槍と剣を捨て始めた。

捨てられた戦闘装備がはるか下にある地面と防御結界の上に落ちていった。


「我々は降参する、サンノモト皇国の勇者、黒岩弥生様。」


一人の団員が無表情な人形の仮面のままだったが、悲痛に満ちた声で話した。


「降参?」


「はい、我々は苦しみから解放されたい。」


「苦しみ?どういうことだ?」


「人形の体にされて以来、捨てたはずの肉体が痛む。耐え難い痛みに襲われる。」


「脳だけになっても、ないはずの体が痛む?」


「はい、我々全員です。モン団長だけは特別製の体だったので我々のような耐え難い痛みを感じなかった。」


「今も痛むか?」


「今は麻痺している、脳に直接大量の麻酔導入が常にされている。」


「それじゃ、あなたたちは?」


「苦しんでいるのです。麻酔が切れると自殺する者が出る始末です。」


弥生はさらに周りを見た。

先ほどまで戦っていた団員のほとんどが戦闘行為を止めていた。


サンノモト戦闘員が困惑していたが、すぐに生き残った団員を囲むようにして、地上へ降りるように誘導していた。


「サンノモトの軍人はやはり優秀だな。」


弥生は頭の中に思った。

飛行専用のヘルメットに組み込まれていた魔法通信機からクシヤメン大佐の声が響いた。


「敵が降参したようだ、マーシャリナ市の外で騎兵とワイバーンを集めてください、弥生さん。」


「わかった。」


王都・マーシャリナの外に生き残った127の騎兵とそのワイバーンたちが大人しく待機していた。

飛行戦艦【ヤマト】は迂回し、またマーシャリナの上空に留まった。


【注意・その3】

ここからまた僕が関わることになった。


「マーシャリ様、チューウェン労働者連邦人民騎兵団が降参しました、あなた様の力を借りたい。」


結界を解除した僕に弥生は声をかけた。


「何があった?」


僕は弥生に聞いた。


それから弥生が団員から聞いたことを僕に話した。


僕は団員たちの前に立ち、声をかけた。


「チューウェン人の騎兵たちよ、もう敵意ないか?」


弥生と話した団員が前に出た後、僕の前に跪き、ゆっくりと話した。


「魔王殿下、我々はもう敵意もありません、魔族、魔物、亜人、超(ハイパー)人間(ヒューマン)も恨んでいません。我々はもう人間ですらない存在になったので。」


「騎兵殿、名乗るがいい。」


「ジン・シンエイと申します、魔王殿下。」


「君たちのことは弥生から聞いた。今すぐ治療を含む対策など思い付かないが、痛みを和らげるためとして、君たちを魔法で冷凍保存をします。いいかな?」


「はい、全員魔王陛下の決定に従います。そして我々が魔王陛下に忠誠を誓いましょう。」


「わかった。ありがとう。なるべく早く治療や対策を執行できるように約束しょう。」


「ありがとうございます、慈悲深き、魔王陛下。」


僕はこの元騎兵団たちの悲痛な心を感じ取った。


参謀のキュリー、大魔導士のインムン、医療担当のエルマー、鍛冶、修理、衣類担当のローハン、魔法及び魔術担当のリミエラと共に彼らを救う方法を模索することになった。


127名の元団員たちに冷凍魔法をかけ、その上、強硬な結界を張った。


「私も魔王様の力になりたいのです。」


女性型人形(オートマタ)のリンは僕の前に跪き、話した。


「動けるようになって、良かった。是非僕たちに力を貸してください、リンさん。」


僕は女性型人形((オートマタ)に対して微笑んだ。



日本語未修正

次回:神の名を持つ男











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