第14話 妖艶な勇者と人形たち(前編)

マーシャリアン歴

元年の7月4日 

新国家・タラーナ・パメラン魔導連合王国、

王都・マーシャリナ(旧中央難民避難所)

午前9時35分頃



僕たちの前に4体の自動人形(オートマトン)が立った。

1体目はデフォルメに作られた大男のようだった、2体目はガリガリ男の外見、3体目は優男で4体目は黒髪の女性のようだった。


デフォルメに作られた大男は上半身が大きく、足が太くて、短かった。その1体目は棍棒を握っていた。


「四天王のトクトンだよ。感情がないので無慈悲で容赦なく攻撃してくるよ。」


勇者のアオキ・シェルが笑いながら紹介をした。


「ゴリラの玩具かと思った。」


勇者の顔が怒りで歪んだ。


「下等生物のくせに、神の信者たちが作った自動人形(オートマタ)を笑うな。」


「下等生物?それは君たち邪神エリアスの使徒のことだろう、アオキ君。」


「その口を永遠に葬ってやるよ、魔王君。」


「強いと勘違いしている新米の勇者に言われてもね。」


「トクトン、全員殺しなさい!!」


ヒステリックな声で勇者が自動人形(オートマタ)に命令した。


僕は前に出ようとしたら、ラームネンに止められた。


「俺を戦わせてください、マーシャリ様、あの木偶のぼうを葬ります。」


「わかった。」


僕は警護担当の家臣であるラームネンを信じることにした。


「魔王君、出ないの?それとも怖いの?」


妖艶な姿と男の思えないような美しい顔で勇者が僕をからかった。


「マーシャリ様は雑魚相手にしない。」


自分の拳をぶつけながらラームネンが勇者に答えた。


「黙れ、薄汚い超(ハイパー)人間(ヒューマン)め。」


その妖艶で美しい顔が怒りで醜く歪んだ。


「勇者さんの本性、恐るべし。」


ラームネンが皮肉を込めて、一言を放った。


「トクトン、そのゴミを今すぐ殺せ!!!」


妖艶な顔に更に悪の本性がにじみ出た。

身長の高いラームネンがトクトンの前に子どものように見えた。

トクトンと呼ばれた1体が巨体の割、素早く動いた。ラームネンの前に立ち、

棍棒を両手で持ち上げて、思い切り振り下ろした。

鈍い音がなった。


「死ね、死ね、汚れた変異体め!!」


勇者が狂乱のごとく、罵った。

僕はラームネンの立っていた位置を見た。彼は両腕を上に上げて、クロスし、棍棒を受け止めていた。


「危ない、危ない。」


笑顔を浮かべながら、つぶやいた。


「何?トクトン!!!殺せ!!粗大ごみにするぞ!!」


勇者が怒り狂った。


トクトンと呼ばれていた自動人形(オートマタ)が再び棍棒を持ち上げて、

ラームネンに振り下ろした。ラームネンが今度、思い切り拳で振り下ろされていく棍棒を殴った。

棍棒がコナコナに砕けた。感情がないはずのトクトンは一瞬驚いた反応をした。


ラームネンがカラテの突きのように構えた。


「能力(スキル)解放!!爆破(ブラスト)拳(ナックル)!!」


叫びながら力を込めた正拳突きをトクトンの腹部へ叩き込んだ。

殴られたトクトンが腹部を触り、全身が震えだした。そして恐怖を感じているかのように

勇者を見た後、爆発した。


トクトンの体がコナコナに砕き散った。頭が飛んで、勇者の足の近くに落ちてきた。

自動人形(オートマタ)の核と言える部分が頭にあった。トクトンの人工の目が勇者を見た。勇者の情けにすがるようにだった。


「くそゴミが、くそゴミが!!!」


勇者、アオキ・シエルが癇癪起こしながら、トクトンの頭を踏みつぶした。


「モー、出ろ、ゴミを殺せ!!!」


勇者がヒステリックに叫び、命令をした。


2体目、ガリガリ男の外見をした自動人形(オートマタ)が前に出た。

モーの両手が地面に落ちた。手首から鋭利なサーベルの刃が伸びてきた。


「いいですか、マーシャリ様?」


サマリナが質問してきた。


「任せるよ。」


「ありがとうございます。マーシャリ様。」


サマリナがサーベルを抜きながら、前に出た。


「ラームネン、戻って、そいつは私がやるよ。」


「了解、選手交代だな。」


ラームネンは笑顔でサマリナとハイタッチした。


勇者が少し冷静を取り戻していた。悪がにじみ出ている笑顔をまた浮かべていた。


「モー、そのハーフエルフ切り刻むが良い。」


モーと呼ばれた1体が会釈した。


サマリナがフェンシングのように構えた。


「ハーフエルフの肉は柔らかそう。」


勇者が醜悪な本性を露わにしながらサマリナを見た。


「勇者の本性を露見しすぎではありませんか?」


皮肉を込めて、サマリナが勇者に言った。


「モー、その出来損ないハーフエルフを細かく切り刻むがいい!!」


モーが走り出し、サーベルとなった両手でサマリナを切ろうとした。

そしてそれが起きた。


モーの両腕が地面に落ちた、サマリナのサーベルで一瞬のうちに切り落とされた。

サマリナがサーベルをゆっくりと鞘に戻した。

モーが落ちている腕を見た、彼の脳であり、魔法の核が状況を理解出来なかった。


サマリナがモーに背を向け、僕たちが立っている位置へ戻っていった。


「油断したな、くそエルフめ!!」


勇者が叫んだ。


サマリナが後ろへ振り向き、素早く弓を構えて、矢を放った。

矢がモーの額に当たり、自動人形(オートマタ)が後ろへ倒れて、動かなくなった。


「油断?とんでもない、もう終わってたよ。」


サマリナが軽蔑の眼差しで倒れている自動人形(オートマタ)を見た。


「ありえない、ありえない!!こんなぼくの玩具が負けるはずない!!!」


勇者、アオキ・シェルが再び癇癪を起した。


「シュー、リン、全力でゴミをつぶせ!!リミッター解除許可するよ。」


残り2体、優男型と女性型の自動人形(オートマタ)が僕たちの前に出た。


勇者が癇癪起こしている間、僕はあることに気づいた。

自動人形(オートマタ)は感情がないとアオキ・シェルは言っていたが、それが間違いだった。


僕だけにはわかっていた、あの女性型の自動人形(オートマタ)には感情があった。

その感情が僕は読み取ることができた。


女性型の自動人形(オートマタ)の感情は途轍もない絶望と仲間の破壊による深い悲しみだった。


次回:妖艶な勇者と人形たち(後編)

日本語未修正。

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