第5話 異世界の現実

異世界歴

現時点ではまだ不明。

13時頃


難民避難所の者たちが全員僕の周りに集まってきた。


「何故僕の言うことをすぐに信じ、家臣になりたいと思ったのか?」


ミラに聞いた。


「あなたが放つオーラと魔力です、わが主。」


「わが主はやめてくれ、マーシャリでいい。」


「そういわけにはいかない、せめてマーシャリ様と呼ばせてくださいませ。」


「わかった。」


「ありがとうございます。」


「それでも納得できない、何故そう簡単に僕に従う、会って、まだ数時間しか立ってない。」


「この世界に唯一不変の理がある。弱肉強食です、強い者は正義です。マーシャリ様が魔族、魔物、亜人、人間の頂点なので、我々はあなた様に従う、本能的に。」


「それでもこんなに簡単。。。」


「古から我々はその理に準じて、生きてきた。」


「わかった。ミラ、僕はまだ転生して数時間、正直、この世界のことを何もわからない。頼む、教えてほしい。」


僕は頭を下げた。


「頭を上げてください、マーシャリ様。」


「正直、女神パメラ様の力により転生したが、何もわからないし、もっと今の現状、この世界の現実を知りたい。」


「私のわかる範囲で良ければ、説明します、マーシャリ様。」


ミラは応じてくれた。


「ありがとう。頼む。」


「太古の昔から人間と魔族、魔物、亜人が誕生し、それぞれの生活圏を侵さず、平和に暮らしていたのだが、強い繁殖力を持つ人間は徐々に他の種族の生活圏へ侵略しはじめた。それでも大体平和に過ごすことが多かった。しばらく経つと徐々に人間の神、エリアスの教えが広まり、その加護と祝福が人間は授かりはじめた。人間だけ神、エリアスの寵愛を受けた。」


「あの神が元凶なのか?」


「はい、それでも比較的平和に暮らすことができた。人間たちは国を作り、人間の国々同士で戦争して、争い、更に我々の生活圏に対して侵略を続けた。」


「こんな状況になったのは最近だな?」


「はい、5年前、この世界の住民、全員、同時にエリアス神の声が頭の中に聞こえてきた。」


「頭の中?」


「はい、エリアスの声が響いた。”私はエリアス、この世界の唯一で絶対的な神だ、これから告げることを心せよ。魔族、魔物、亜人、人間の変異体は唯一神である私の敵、滅ぼされるべき存在、彼らと関わる者、配偶者になる者、彼らと子を持つ者、友情を持つ者、も同様、滅ぼされるべき存在である”と恐ろしいお告げが全世界の住民に同時に伝えられた。」


「突然に。」


「はい、そしてすぐ大(グランド)粛清(パージ)が始めた。ユ・エリアス宗教国をはじめ、カンク公国、ペイルネ王国、チャベースリ帝国、チューウェン労働者連邦共和国、ベルガ共和国は素早くそして組織的に虐殺をはじめた。」


「すぐに?」


「はい、昔から準備していたかのように我々を狩り始めた。逃げるのは精一杯だった。中立自由貿易都市オオサキンは名前の通り、中立だったが、難民の受け入れ上限を理由に新たな受け入れを拒否。カンク公国の前にある荒くれるサンノモト海の向こうにあるサンノモト列島皇国だけはエリアス神に対して沈黙を貫き、虐殺に加担しなかった。いくつかの難民船がそちらに向かったものの、荒くれるサンノモト海のわたり難さと皇国の孤立主義のため、避難した者たちはどうなったか誰にもわからない。」


「こちらの森は?」


「ずっと人外の領域でほぼ無人だったので大量の難民が押し寄せてきた。亜人大陸へ出発した難民船も多数いた。虐殺されたのは人間の領域に住んでいた者、人間の支配下になった土地に住んでいた者、旅や商業、学業のため人間の領域を訪れていた者、その数、数千万です。」


「数千万?」


その時、キュリーが話に割り込んできた。


「ミラ殿、申し訳ありません、こちらで正確な数がわかります。」


ミラはキュリーを驚いた目で見て、頷いた。。


「7千万657名です。そのうち3千万は神のお告げの1週間以内に虐殺された。」


キュリーは告げた。


「恐ろしい数。」


「この世界の人間の総人口は現在、25億人です。魔族、魔物、亜人、超(ハイパー)人間(ヒューマン)の総人口は残り5億人です。」


「完全に数で負けている。」


僕はつぶやいた後、再びミラに目をやった。彼女は僕を見て、また話し出した。


「マーシャリ様、我々はここへ逃げても、まだ狩られている、そして殺されている。あなた様は我々の救世主です。」


「まだ救世主かどうかわからないが、皆さんを心から助けたいと思っている。」


その時だった。強く、恐ろしく、不快な気配を北の方向に当然現れた。同時にキュリーの念話が頭の中に聞こえてきた。


「マーシャリ様、この気配は?」


「ああ、キュリー、気づいた、とんでもなく強い、そして不快な者と複数の兵士が転移魔法でここから北の3キロ地点に現れたな。」


キュリー以外に、ミラは他の家臣たちが一斉北の方向に視線を向けた。


僕だけは気づいた。侵略者の軍勢の一人、心の奥で絶望と戦いながら助けを求めていた者がいたことを。



タラーナの森

難民避難所より北の方向3キロ地点


カンク公国の勇者で異世界の転生者、シマ・ジュンキチ、カンク公国魔導士主席、カン・インムン、そして400名からなる部隊が突如現れた。


「流石インムンよ。」


歪んだ笑みを浮かべながら、勇者、シマ・ジュンキチがつぶやいた。

勇者は銀色の全身鎧、銀色の角付きのフルフェース兜、そして瞬殺の大剣、カンクの秘宝を背中の鞘から抜き、全員の前に立った。


インムンは部隊の展開に対して指示を出し始めた。

部隊は効率良く、展開し、難民避難所へ進軍し始めた。


「お前ら、唯一神エリアス様の敵、一匹の残らず、殺せ。」


勇者が大きな声で全員に命令した。


「あなたの心の声が聞こえてきた。僕はマーシャリ、魔王マーシャリ。」


インムンの頭にマーシャリの声が響いた。


「私はインムン、マーシャリ様、私の手を罪なき者の血で塗るのは疲れた。」


「インムンさん、僕はあなたの声、あなたの懴悔、あなたの悲しみをすべて聞こえた。まずは私の目になってください。」


「わかりました。」


僕は思った、魔物の神、パメラ様より授かった能力(スキル)はとんでもなく強い。

人間の勇者、同じ日本人の転生者とすぐに戦うことになるが、負ける気がしなかった。


「インムンさん、これから出す指示をよく聞いてください。」


僕はこれからの戦いに必要な指示はインムンに出した。



次回:魔王と勇者 

日本語未修正。

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