第4話 家臣なる者たち
異世界歴
現時点ではまだ不明。
昼頃
僕は跪いている難民たちを見た。
「皆さん、立ってください。」
全員、一気に立ち上がった。
「わが主、この避難所には161張りのテントに759人の難民がいます。」
キュリーが僕に報告した。
「マーシャリ様、どうか、我々全員を配下にしてください。」
ミラは再び、頭を下げながら、お願いをした。
僕は避難所にいる難民を見た。
オーク、オーガ、ゴブリン、ワーウルフ、エルフ、ドワーフ、コボルト、人間、獣人、ゴルゴン、超(ハイパー)人間(ヒューマン)など、そしてこれらのハーフブラッド。
「わが主、この森、タラーナの森と言い、この避難所が中央に位置している。」
キュリーが更に報告した。
紫色のローブを羽織った緑色の髪をした若いエルフの女性が前に出た。
「マーシャリ様、私はここの副官で昼間の警備担当、ハーフエルフのサマリナです。」
僕は彼女を見た。
「ミラ隊長が私たちの気持ちを代弁した、お願いです、我々を配下にしてください。」
「君たちは僕の配下だよ。お願いされなくても、そうしたと思うよ。」
サマリナとミラが安堵した表情でほほ笑んだ。
「マーシャリ様、わが主、サマリナ以外の責任を持つ者たちを紹介します。」
ミラは数人を手招きした。
「私はワーウルフのカルーノ。狩り及び食糧調達担当です。」
筋肉質の若い男性が前に出て、自己紹介した。
「調理担当のゴベアです、ゴブリンです。」
若いゴブリンの男性が前に出て、自己紹介した。
「私は夜間警備担当のスメールです、種族は元人間のスケルトンです。」
全身を羽織る黒いローブと黒いマスクをかぶった男性が自己紹介した。
「鍛冶、修理、衣類担当のローハンです。ドワーフと人間のハーフです。」
日焼けした肌の茶髪で筋肉質な若い女性が自己紹介した。
「治癒魔法、医療担当のエルマーです。ゴルゴンと人間のハーフです。」
長い黒髪の黒メガネ姿の美女が前に出て、自己紹介した。
「諜報担当のミスル、超(ハイパー)人間(ヒューマン)です。」
金髪で華奢な体をした女性が前に出た。
「商業担当のパルノスです、コボルトです。」
若いコボルトの男性が出た。
「魔法及び魔術担当のリミエラです、獣人と人間のハーフです。」
猫耳の美少女が前に出た。
「保育及び教育担当のマーナオ、オークと人間のハーフです。」
豚耳の銀髪の若い女性が自己紹介した。
「わが主。報告があります。」
念話でキュリーが話しかけてきた。
「はい、どうしたのキュリー?」
「この者たちを真の配下及び家臣にするには名前で呼ぶ必要があります。それで絆の回路ができるのです。更に共通の名前、わが主の元世界でいう、名字を付けると更に強い繋がりが生まれます。」
「わかった。キュリー、君は元、僕の能力(スキル)だったが、独立した人格と自我があるみたいので、君にもこの共通の名、名字を付けるよ。」
「ありがとうございます、わが主。」
「わが主はやめろ、マーシャリでいい。」
「いけません、マーシャリ様が魔王で女神の代理人です、呼び捨てができません。」
「わかった、好きにするがいい。」
念話での会話が終わって、前に出ていたこのの難民避難所の責任者たち、一人ひとり、名前で呼んだ。
呼ばれる度、彼らの全身が光、絆の回路が作られるのは感じた。
後でキュリーに聞いたが、ハーフブラッド、魔族、魔物の一部、超(ハイパー)人間(ヒューマン)、人間を除いて魔物のほとんどが名前がなかった。
家臣の共通の名字以外、名前がない者に名を付けねばと思った。
「僕は魔族と魔物の女神、パメラ様の力により転生し、魔王となるべくこの世界にやってきた。」
家臣となった者たち、僕を見た。
「我々の共通の名、家族となる名を付けます。」
全員が喜びの表情を浮かべながら、僕に視線を注いだ。
「僕たちの女神、パメラ様にちなんで、パメランズとする。」
キュリーを含む全員、再び光った。
そして僕の分身体であったキュリーの体、黒い霧ではなく、本物の血肉の体になった。
それから家臣となった者たちに共通名以外、役割を連想させるもう一つの名字を付けた。
元能力(スキル)で元分身体のキュリーはキュリー・プリモジアル・パメランズ。
ハーフオーガのミラはミラ・プリメラ・パメランズ。
ハーフエルフサマリナはサマリナ・セコンダ・パメランズ。
ワーウルフのカルーノはカルーノ・カザール・パメランズ。
ゴブリンのゴベアはゴベア・ガストロン・パメランズ。
スケルトンのスメールはスメール・ノクターン・パメランズ。
ハーフドワーフのローハンはローハン・ヴァルカン・パメランズ。
ハーフゴルゴンのエルマーはエルマー・サナー・パメランズ。
超(ハイパー)人間(ヒューマン)のミスルはミスル・シノビス・パメランズ。
コボルトのパルノスはパルノス・コーメジオ・パメランズ。
ハーフ獣人のリミエラはリミエラ・マジカン・パメランズ。
ハーフオークのマーナオはマーナオ・エスクエラー・パメランズ。
彼らは後に誕生する、僕が魔王で帝王の他民族国家のパメラム帝国の基盤となる魔族ノーブル25家の最初の12家の開祖となった。
気づいていると思うが、この世界で最初は名前がきて、それから名字がくる。
この時、僕はまだ知らなかった、今いる避難所は後、帝国の首都になることを。
同時刻
グランド・エリアス歴5年6月21日 初夏
カンク公国首都サウル市
王族宮殿内の訓練所
勇者、シマ・ジュンキチが列になって、気を付けの姿勢で立っている
カンク公国騎士団、魔族・亜人特別殲滅部隊、通称:レッド・デッド部隊を満足気に見ていた。
「戦士300名、更に自我消去済の超(ハイパー)人間(ヒューマン)の戦闘奴隷100匹を用意しました、ジュンキチ様。」
青いローブのフードを深くかぶっていたインムンが報告した。
「流石、インムンよ。やはり君は仕事が早いな。」
「これから転移魔法陣を発動し、タラーナの森の中央へ転送します。」
「着地の少し位置をずらしてインムンよ。」
「何故です、ジュンキチ様?」
「神の敵どもを殺す前に観察したいよ。わかっているな、インムンよ。」
勇者の言葉に軽い脅しを感じたインムンが頷いた。
それからローブのフードを下げ、短く切った艶のある綺麗な黒髪を出した美しい素顔の女性魔術師、カン・インムンが転移魔法陣に必要な呪文を唱え始めた。
勇者、シマ・ジュンキチが知らなかったが、インムンの祖先の一人がエルフだった。
そんな彼女はこの国の大公、貴族や軍人には黙っていた。
インムンの見た目は二十歳そこそこだったが、実年齢は80歳をはるかに超えていた。
生まれ持った膨大の魔法力で老いを遅らせていると周りに言いふらしていたが、実際エルフの血のおかげで若さを保っていた。
カンク公国では亜人、魔族、魔物、超(ハイパー)人間(ヒューマン)、そしてそれらのハーフブラッドに対して大変厳しい国だった。偏見も差別、大(グランド)粛清(パージ)以前から根強く存在していた。
カン・インムンは虐殺や差別には反対だったが、混血であること、この世界の在り方に対する意見、自分の思想を隠すのは必死だった。
彼女の正体が明るみに出たら、ここの人々にすぐ殺されるのはわかっていた。
「インムン、あなたは人間として生きなさい。」
短い耳のハーフエルフだった行方不明の祖母の言葉を思い出して、呪文を唱えていた。
次回:異世界の現実
日本語未修正。
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