第一章 13話 分かりあえること と 分かりあえないこと
とりあえずこの場は彼女の言うことに従うことにした。
黙って前を歩く彼女、
その後ろをついてゆく僕。
言ったい何処へゆくのだろうか。
今はただ彼女に付いてゆくこと
以外、頭が動いていなかった。
少し彼女と話した事で、
緊張が解れたのか、
さっきまで混乱の末、
動かなった足は動きくようになっていた。
まだ油断してはいけないだろうが。
彼女は僕を殺すことを諦めた?
訳では無いと思うからだ。
前にあった時のルリスは、
あんなにも優しい笑顔だったはずなのに。
確か、アイリスとか言ったかな。
魔法、、、
大魔法使い、
きっとそのままの意味だろう。
それは分かる、しかし、
実在していたということか?
しかし、それはそうだとしても
ルリスの中に存在する
ということなのか
魔法だったら、そんなこともありってことか?
そんなことを、考えてはいるが
正直今まともに受け答えをしろと、
言われたら普通に難しいと思う。
それぐらいには混乱しているし、
はたからみても今の僕は気迫がないだろう、いつもあるほうじゃないが。
いつも以上に。
混乱のせいか、いつも以上に
変な部分で頭だけは良く回った。
しかし行動は棒人間のような。
「こっちじゃ!」
と前を歩きながら手だけをふい
っとやり、
右の通路に入るように案内された。
「あぁ」
そう言うと、
こちらを振り返ることもなく
彼女は右の通路に入っていった。
僕もそれ後に続く。
右に曲がり、
もう一回右に曲がった。
そして、細い通路を通って、
急にその場所がひらけていた。
「よし、ここなら大丈夫じゃろう」
「ここは、」
「なんじゃ、主知らんのか、
わしはたまに来るぞ
少し故郷に似とる、ここに来てはボーっとするんじゃ、ここに来る人も少ないしの」
こんなところがあるとは知らなかった。
アルベルクシミスには
細い川がいくつか流れている。
それはアルベルクシミス近くにある
山から流れて来た湧き水が
川となりやってくる。
その川の畔近くの、
ちょっとした広場。
こんなところがあるとは。
山から来た湧き水は、透明度が高く。
水面がキラキラと輝いているように見えた。
キラキラしているのは、
街灯の灯りが反射しているだけだが。
さっきまでの緊迫感から
急に雰囲気が変わった場所へ。
来たのか少し緊張が溶けた。
ルリスがこの場所を知っていて、
来たときに見たものを、彼女、
アイリスが
ルリスを通して見たものを知っていたということなのだろうか。
そして、入れ替わってここにくるように。
「はー流石のわしも少し疲れた、
とりあえず、あの辺に座るか、
そして少し話をするぞ」
そういうと彼女は川の畔近くの
階段を指を指した。
「ああ、分かった」
「しかし、主はなんかあれじゃの
、ルリスの時も見ておったが、
少し頼りなさそうじゃの」
「な、そんなこと、、、、、
悪かったな」
なんだか言い返す元気がなかった。
そして恐怖から言い返すこともできなかった。
もし喧嘩になって気が変わったらとも思った。
とりあえず、色々な混乱故だ。
しかし一応僕とは初対面ということになるんだよな?
アイリスの存在を信じるのであれば、
結構無神経な持ち主だ。
「まぁ、そうツンケンする必要はない、
とりあえずそこに座れ」
そういうと先に階段のところに座ったアイリスが、目の前の階段を指さして
言った。
そうしてアイリスは物事を先に決めてゆく。
僕は言われたままそこに座った。
「それで、ここまで連れてきて
まさか、まだころ」
「それはもうせん、
言ったじゃろ、魔力もそんなには消費できる量をもっとらんし、
それにわしとしても彼女の悲しむことはできるだけしたくない」
「悲しむ、
今は、諦めると言ってたよな、
今じゃなければってことも」
大体、今本当なら
こいつと戦うべきなのか、
魔力がないとか言っていた。
なら小さな女の子でしかない。
いや、そうなるとルリスを傷つけることになるか。
僕自身も彼女は傷つけたくない。
となると逃げる?
「わしも、少しさっきはイライラしておった
事故の後じゃしな、
見られたからっと言って
殺すのはかなり軽率な判断じゃったの」
「お前、人の命をなんだと」
「だからの、
だからの取引をしよう
お主を殺さんと約束しよう、
しかし主も誰にも言うでない
今日見て聞いて知ったことすべてを」
「見て聞いてって、
大体全然実感もないし、
何が何だか」
「まぁ主が信じる信じん
は今となってはどちらでもよい
約束しないならば、わしもそれなりの判断するまでじゃ」
結局どこまでも強引さは残ってる気がするが。
「分かった分かったよ、
それに別に信じるさ
なら一つ条件をつけさしてくれ」
僕はとある条件をつけて、
受け入れる事にした。
「条件じゃと、生意気にじゃ
分かった、とりあえず言ってみよ」
殺されかけて生意気扱いされた。
まぁいいとりあえず、今は冷静になることだ。
「正直、混乱しているんだ僕だって
だから、少しぐらい説明をしてくれないか
君の知っていることを
でないと信じることもできない」
そう言うと、彼女は少し
沈黙していた。
がすぐに口を開く。
「そうじゃの、、、仕方ない
ならば少し話してやるとするか」
と彼女は座ったまま肘をつき、
やれやれと言ったポーズで話を始めた。
しかし彼女は暗いテンションだ。
最初から暗いが、もう一段というか。
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