第一章 14話 逃げ続けた先に、賭けた未来

「うむ、そうじゃの

私はここではない世界からやってきた

、とりあえずそんなことから話すとするか」

そういう彼女は遠い目をしていた。

そしていきなり受け入れにくい内容から話は始まった。


「ここじゃない世界、何処からきたんだ?」

僕はオウム返しのように、会話を返し、

とりあえず話を聞くだけ聞くことにした。


「そうじゃの、わしの世界は

戦いに明け暮れていた

来る日も来る日も、そんなことにうんざりしたんじゃ、わしは

わしは、、、、



だから何もかも投げ出した、

だが組織は簡単にはそれを許さなかった、

そもそも許される人間ではないのかもしれんが、、わしは」

とても重たい雰囲気で

話す彼女

何もかも信じられないし、話の内容は入ってこないが、

彼女の中で何か大切なことではないかということは感じ取れた。

彼女は世界に嫌気をさして、

こっちの世界にやってきた。

どんな物語だ。

だがしかし、それをそう言えないのは

彼女の重い雰囲気故だろうか

彼女が言ってることが本当のことであるように受け止められる。


そして、今だにルリスでないことを信じられないが、

そんなことを喋る彼女を見ると、

アイリスと呼ばれる女性なのかもしれないと、少しばかり本当に少しばかりそう思った。


「それで、そのどうしたんだ

君は?

それにどうしてここに」

とりあえず、話を合わせて聞いていく。


「わしはひたすら組織から逃げて逃げた

しかし、限界があった

そんな時ある魔術道具を見つけたんじゃ、

それはわしにも、賭けだった」

賭け、

それはどんな賭けだろうか。

なにか違う世界から来たのと関係があるということか?

「それは、」

アイリスは坦々と僕の言葉に被せるように話し出す。

「それは、世界を超えるものだった、世界から世界に移動できると言われるものじゃ

しかし、実際に移動できたのは魂だけだった、まぁわしもそれ自体使うのは始めてじゃったし、どうなるかは実際に使うまで分からんかった」

実際に使ってみた

彼女にとってはうまくいくか行かないかはそれは賭けだったというこか

そして

魂だけ、だから彼女の体を借りている?

何故ルリスだったのだろうか

それもどうなるか分からない

賭けの結果ということだろうか

「それでルリスの中に?」


「そうじゃ、目覚めた時には彼女であった、そして彼女の意識が濃いうちはわしも自由に体を動かせん、彼女が寝静まるような時間帯

こういう時間でないと」


彼女は自分の手を

伸ばしグーパーしてそれを眺めながら、そう言った。

今、自分の体が動かせることを確かめているように見える。


「だから、こんな夜に出かけていたということか」


「そういうことじゃ、

わしが自由に動けるのは一日のうちこの時間帯前後2時間というところじゃな」

確かに辻褄は合う

ルリスの行動とアイリスの行動なら、

今出歩いているのも、

だだそれは辻褄が合うというだけだ。

まだ僕は色々信じていなかった

というより他にも色々聞かなくては

「魔法というのは」

言葉を選びながら話すが、言葉が出てこない

「こっちの世界ではあんまり馴染みがないようだな、まぁわしとしてはこっちの世界の表現として一番、魔法がしっくりくる感じがあるな、わしの世界ではまぁそこそこ当たり前な

ことなんだが」

彼女の世界では表現

が違うのか

しっくりくるということは

他にも近しい言葉があるのか

「科学とは違うと?」


「そうじゃな、まぁあんなに便利ではないの、確かにできる幅は広いが、

ずっと使えるわけでもないし、

まぁ似てはいるがの

科学とは大体同じ現象が見られることじゃろ、再現性がある、やったことに対して結果が見える、しかし結果が毎回同じになるとも限らん、まぁそのへんは使い手次第かの」

なるほど、確かにそれなら科学とは違う

科学なら一定の法則がある

誰がやったとしても同じ結果が得られる

それが魔法では違うというなら。


「魔法では何ができるんだ

言葉が分かるのは魔法なのか?

住んでいた世界とは違うんだろ?」


アイリスは急にこちらをギロッと見て

「なかなか鋭いの

まぁそうじゃ、まぁ半分魔法と言ったところか、

後半分は自力で覚えた」

自力で、だだ魔法が使えるということではなく、頭もいいということか


「最初は解読魔法を使ったんじゃ

わしもこんなもんを持ち歩いておるとはな、まぁそれにしてもまさか

世界が違っても解読魔法が機能するとは思わなかったがの」

そういう彼女はポケットから

小さな古い紙切れのようなものを出して、おもむろにそれを見ていた。

解読魔法を使うものだろうか。

言葉から取るに。



違う世界では日常的に使われていた

そしてその魔法の効果はこっちの世界でもそれなりの効果をもつ

何故こっちの世界は魔法が

日常的に使われていないのか。

そんな疑問が少し生まれた。

「科学技術はあるのか

そっちの世界には?」


「まぁ無いわけではないが、

こっちの世界程使用されてはいないかもな」

こっちの世界とは違う

文明が栄えたのだろうか


「魔法を使うためのエネルギーはどうやって」

「それはこいつを」

と彼女はポケットから小さな小瓶を取り出した。

その中にはキラキラと光る何かが入っていた

それは青にも緑にも見えた

僕が見たことのあるどの物質ともあてはまらなかった。

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