第一章 9話 日々のなかに訪れるパスタとピザ
ここの図書館はもちろん普通の図書館のように、一般的に開放されている部分もあるが、
一部制限され、
カードがないと入れない箇所もある。
僕はそのままヘイストさんと分かれて、
3号棟へと向かった。
3号棟では、僕と同じような科学者の人やその学生が、チラホラ調べ物や勉強をしている。
僕も今回で必要そうな。
資料を探しに、資料や本が並べられた棚に向かい。
彷徨う様に歩いた。
ザラーっと目を通して、
その後適当に目ぼしい資料を
手に取った。
いくつかの資料を見ては、
メモをしてゆく。
その中で気になる文面があった。
それは研究者のポリシーまた、
願いのようでもあった。
「研究とは暗闇中を彷徨い続けて、ありもしないものを探すのに等しい、
しかし、それでもたまに光のようなものが見えるときがある、
そのために僕らはたくさんのことを費やす、いつだってその光は天才ではなく、諦めの悪いやつに見せてくれるものだと思わずにはいられない」
分かりきっていることだが、
大事なことではある。
ありきたいな文章とも言えなくはないが、
僕はそれをおもむろにメモした。
何だかんだ。
昼過ぎから資料を探索して、
一通り色々な資料を、
サラサラ見てるだけで、
時間は過ぎ、いつの間にか外は暗くなっていた。
いつものことだが、こんなにもすぐ時間が過ぎてしまうとは。
「そろそろこの辺で今日は終わりにするか」
今日もいつものように、適当に晩飯を済ませるか、
学生のレポートもチェックしなくちゃいけない、などと考え席を立った。
その後諸々の資料を元ある場所へ戻し、
ホテルへ戻った。
ホテルへ着く途中。
屋台があったので、適当に晩飯を買って、
ホテルで晩飯を済ませる事にした。
食べた晩飯の味はまぁよくある味だった。
昨日彼女食べた食事より、少し味気ない。
その後学生レポートに目を通し
、諸々の作業を済ませた。
そんな日々の繰り返しが、
2週間程過ぎていった。
「今日もこんな時間か」
今日も僕はダイメルク図書館に居た。
そろそろ帰るか。
今日も適当に晩飯を買って。
そう思って帰ろうとしたのだが、
スマホに着信があった。
それはあの観光案内の女の子であった。
僕は折り返し、着信相手にかけ直すことにした。
「もしもし、僕だけど、何かあったかな?」
「もしもし、パソスさん、
あ、あの今何してますか?」
「今はちょうど、
ダイメルク図書館から帰るとこだよ」
「あの、仕事終わって、
良かったら、夜ご飯とかどうですか?ご飯まだですか?」
「あ、、そうだな
ご飯まだなんだ、
それに最近大したもの食べてないし、是非」
「良かった!それなら、
ピザとスパゲティが美味しいお店があるんで!行きましょう!
ちょうど、ダイメルク図書館と私の距離から間ぐらいにあるんで」
「それはいいね
僕が奢るよ」
「わ、私も出しますよ!」
「いいんだいいんだ
美味しい食事を紹介してくれる
お礼だよ」
「あの、」
「ん?」
「奢ってもらうために電話したんじゃないですからね」
「ふっ、はっはっはっは」
「あの、」
「分かってるよ、そんなふうに思ってないよ」
見ていれば分かるし、喋っていれば分かる。きっと彼女はそんなに器用じゃない、
しかし、彼女は器用だとそう思われたくないのだろうな。
「そーですか、じゃパリアス通りの
アビスアというお店の前で、落ち合いましょう、パリアス通りに行けば目立つので分かりやすいと思います」
「分かった、そこで落ち合おう」
「じゃあ」
「じゃあ、またあとで!」
そんなこんなで、
適当に済ませる晩飯はやめて、
僕はパリアス通りへ向かった。
路面電車で15分程移動したところに
、その通りはあった。
待ち合わせ場所のお店は、
スマホで調べると少し変わった雑貨屋さんのようで、
その看板は派手そのものだった。
パリアス通りにつくと、
派手な看板と言われると、すぐ分かるぐらいの見た目で、
誰しもそれを見つけることができるだろうと思えるぐらいだ。
目的の待ち合わせの場所に、
着いて数分後、
「あ、お待たせしました!」
と手を挙げてこちらに近づてくるルリスの姿が。
「いやいや、僕も今着いたとこだよ」
「そうですか、良かった
じゃあ行きましょうか」
「ああ、そうだね」
というと二人で歩きだした。
「あ、あっちの角を曲がったあたりです」
パリアス通りの入口と反対側を指して
いた。
彼女の指指した方へ歩き、
待ち合わせ場所から、
5分程歩いた辺に、彼女の言うお店はあった。
テラス席もあるような、
レンガ調のお店で、
外には植物が植えられていた。
古くから店を構えてそうな、店構えだった。
「入りましょうか」
という彼女の言葉と共に、
僕達はお店の中に入った。
予約はしていなかったが、どうやら座れる席はあるようで、店の中に入ることができた。
それでも平日というのに、店内はそこそこのお客で賑わっていた。
席に着いた僕らは、
席に置いてあるメニューを開き、
眺めた。
「雰囲気よくないですか?」
メニューを眺めつつ、そういう彼女。
あまり、他の人には聞かれたくないのか少し小声である。
まぁ大声でいうことでもないが。
「ああ、確かにね」
それにしても、
仕事柄の観光案内故なのか、それとも
単純に彼女が、色々なお店を見ているのか。
よくこんな雰囲気のいいお店知っているんだなと思った。
「さてと、何にしますか?」
「君のおすすめは?」
「えーっとですね、このさっぱり魚貝パスタと、キノコとベーコンの森森ピザが美味しいですよ!」
「じゃとりあえず、それにしようか」
「あの、いいんですか?自分で選ばなけくて?」
「いいんだよ、君のオススメが食べたいかな」
この街をよく知らないというのはあるが、それ以前に不思議と彼女のオススメなら美味しいだろうと、謎に信じる気持が生まれていた。
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